第2話:Clash②
「あれって雲田サキじゃん!」
「え!有名人じゃん!やっぱこの大学だったんだ!」
聞き覚えのある名前の方向を振り向くと紅黒い髪の女性が歩いていた。
彼女の名前は雲田サキ。同じ大都天神大学に通う2年生。何故彼女が有名なのかというと、
高校での実績であろう。
それは高校の実習でのことだった。
奇しくも俺とサキは同じパーティーになったのだ。4人組でC級魔物3体を討伐する課題を
クリアした直後だった。B級の魔物と出会ってしまい、焦っていた俺を含めた3人を差し置いてサキは単身でB級を討伐してしまったのだ。
その功績から最優秀戦士賞を受賞。
大学も実技だけで筆記は免除。その実技でも
満点を叩き出すなど、もう完全エリート出世コース直行みたいな感じで遠くの存在になってしまっていた。
(まぁ、もう俺には関係ないか…)
「あれ…?もしかしてヒロトかな…」
「はぁ…帰ってMTube見よ…」
MTubeとはこの世界の動画共有サービスであり、世界中で見られている。
俺はその中でも好きなのは動画配信者の
「ゆーちゃんねる」だ。
この国が世界に誇る女性動画配信者でA級やB級の魔物討伐を主にやっているが最近はS級の
魔物討伐も行っており、その強さと人気から登録者も世界一。あと可愛いし。そんな彼女は
あのGlory Clubの一員であることが噂されている。
Glory Clubとは。最近急上昇中の名門・パーティー。メンバー数は100を超える精鋭たちがいるとか。今、若者が入りたいパーティーNo. 1。
まぁ、そんなこと俺には夢のまた夢だし。
「ただいま…」
…
親父が亡くなってから家は暗くなった。
親父は2年前に世界政府に殺されたのだ。何の見覚えのない反逆罪の濡れ衣を着させられ、親父は獄中死したのだ。
「…」
「姉ちゃん…いたのか…」
姉のミナミは親父が居なくなって変わってしまった。いや、俺が光のスキルと判明した時から変わってしまった。
俺が光のスキルからか、当時の大学のクラスメイトから嫌がらせを受けたり、付き合っていた彼氏と別れたりしたらしい。
それから俺への当たりは次第に強くなっていき、今では会話もしていない。
姉は優秀な火のスキルの使い手なので、フリーで活動している戦士だ。母さんから聞いた話によると、Glory Clubに入るために頑張っているだとか何だとか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます