26日目
「宝石を返しに来た」
私たちはドラゴンの祠に戻ってきた。
ヴィーヴルの巣穴に埋まってしまった分は回収できないが、返せるだけを置く。
"持ち去ることもできただろうに"
「捧げ物を懐に入れるのは我が騎士道に反する。新たな鎧さえ手に入ればいい」
"その騎士道に免じて、願いをひとつ叶えてやろう"
「願いを?」
魔法を使うドラゴンはこのような取引までするのか。
正式な騎士になるのは自分で叶えるとして、私の願いとは……
"もう叶えた"
「なに?」
振り返る。
ラーナは両手を組んで何かを呟いているが変化はない。
ロバ竜は足元のクズ石を食んでいる。
その後ろでタンクが、自分の身体をパタパタと触っている。
「どうした」
「お、お、おれ」
股間をぐっと握って、なぜか顔を赤らめていた。
「女の子になっちまった」
「……なんじゃそりゃあ!!」
ドラゴンは眠ってしまった。
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