25日目


 タンクは寝ずに走り続け、ついにヴィーヴルの巣を見つけ出した。


「行くぞ」


 私は剣を抜き放ち巣穴に入った。

 床だけではなく壁一面に、コウモリに似た羽根が貼り付いている。

 やつらのガーネットの眼光。非対称の一つ目がこちらを見つめている。


 その奥に黒いローブを確認した。


「ラーナを返してもらう!」


 私は突進した。

 目の前の二体だけを切り伏せ、ラーナを抱え込む。


 入口めがけて集まって来たやつらの間を抜ける。

 鋭い爪が鎧を引っかけた。思わず転びそうになるが留め金を外して巣穴を抜け出した。


 追手を切り伏せながら叫ぶ。


「タンク!」


 外には巨石を構えたタンクが待ち構えていた。

 その足の間を潜り抜ける。


「うおおおぉ!」


 巨石に封じられ、ヴィーヴルたちは生き埋めになった。


「ラーナ! 無事か!」


 頬を叩く。

 目覚めた少女は両手で顔を覆い隠した。


「ああ、怖かったな」

「宝石全部取られたぁ……」


 少女の口から出たのはその言葉だった。


「………」


 タンクは地面に寝転がり、私も天を仰いだ。


「ホヒーー」


 ロバ竜が勝利の雄たけびを上げた。

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