24日目


 黒い影が上空から迫るのを察知した。腰に吊るした宝石の匂いに釣られたのだろう。

 羽根で打たれそうになったが躱して返す刀で切り伏せる。


「来たな、ヴィーヴル!」


 敵は五体、私の剣とタンクの拳で対処していく。

 しかし、


「きゃあっ」

「ラーナ!」


 気付いた時にはラーナが連れ去られていた。

 尾にロバ竜が噛みついたが千切れてしまう。

 私たちは走る。


「ムッチャムッチャムッチャ……」

「なぜだ、ヴィーヴルが人間を持ち去るとは聴いてないぞ!」

「あっもしかして、ローブの中に隠し持ってんじゃないか宝石」

「ラーナ! 宝石を放せーッ!」


 遠く上空から『絶対イヤ』の声が届いた。


「見上げた根性だ」


 突然タンクに抱えあげられた。


「なっ、急になんだ!」

「奴らにもねぐらがあるはずだ。俺なら追い続けられる。しばらく辛抱してください」

「ああ、そうか、そういう!」


 タンクに抱えられたまま獣道を進む。葉っぱが少し口に入った。

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