22日目


「助けてくれぇ!」


 野営中、不意に助けを呼ぶ声が山に響いた。


「ヴィ、ヴィーヴルだ! 行くぞ!」

「急に言われても困ります」


 私たちが到達した時にはすでに遅く、行商の馬車は無残な姿を晒していた。


「どこへ逃げた?」

「上空ですね、今追いかけるのは無理です」


 タンクがラーナとロバ竜を担いでくる。


「ロバ竜だって飛べるだろ」

「この子は指先くらいしか浮けないんです」

「ホヒーー」

「使えぬ……」


 倒れていた行商人の腕がゆっくりと上がった。私はその手を取る。

 タンクが鞄から薬を取り出した。


「ば、化け物が……空から降って……」

「無理をするな。手当をしてやる」

「意外にやさしいんですね」

「お前も手伝うんだラーナ」


 手当してやった後、後から来た騎士団の馬に乗せてやった。


「あ、本物の騎士だ」


 タンクは何気なく発した言葉を飲み込み、私はその腹を裏拳で小突いた。


「やはり宝石は必要だな」

「馬車には残ってませんでしたし」

「漁るな」

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