21日目


 二日目もなにも来なかった。


「魔物ーッ! なぜだーッ!」

「襲っても実入りがないと悟られてるのかも」

「まあ、宝石を食うとか聴くもんなヴィーヴルって」


 キャンプでだらつきながらラーナとタンクがつぶやく。

 ロバ竜は仰向けになって死んだように寝ている。


「ここで立ち往生していてもジリ貧だ。宝石はどうしたら手に入る?」

「行商から奪うとか」

「それだとおれたちがお尋ね者ですね」


 行商の護衛につくとか言えないのか。

 ふと空が陰る。大きな雲かと思われたが突風が吹き下ろしてきて悟った。


「ドラゴンか」


 巨大な、羽根を持つ白色の光が空を飛んでいた。

 ドラゴンは岩山に降り立ち、洞穴へ姿を隠した。


「よし、宝石はドラゴンの祠から頂戴しよう」

「馬鹿なんですか?」


 すこしだけ泣いてから、出発した。

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