10日目
鎧と剣は郊外のゴミ捨て場で見つけた。腹が立ったが怒りをぶつける先はここにはいない。
「なにはともあれ馬だ。騎士には馬が必要だ。竜炎団の名を出せばまだツケは利く、はずだ。うむ」
二日かけてあらゆる店で試してみたが、私が追放された報はすでに行き渡っているらしかった。
馬もろくなものがない。
「………」
「魔法で作りましょうか?」
「……不安だが頼む」
「エルゼンさんは魔法生物差別主義者ですか?」
ローブから出た小さな両手が、宙をなでて光を並べる。
「できました」
出てきたのはロバほどの大きさの魔竜だった。
「こんなものに乗れるか!」
「差別主義者ですか?」
「ホヒーー」
「鳴き声までロバか!」
ロバ竜の首を掻き抱いてラーナはさめざめと泣き真似をしてみせる。
「……しばらく馬はあきらめる。徒歩で行くぞ」
「はい」
「ホヒーー」
「消えないのだな…」
我が騎士道に相応しい国を探す旅はここから始まる。
私たちは外門を出た。
――バスト・エルゼンが国を滅ぼすまで、あと90日…
■キャラクターしょうかい
バスト・エルゼン:竜炎団元団員 騎士♀。主人公。巨乳を理由に追放された。
夢は国付きの騎士、の自称野良騎士。
ラーナ・ケインベルグ:パヴァ王国付きの宮廷魔術師♀。
弱い男と面白そうな人が好き。
(『馬』について、この世界では乗って移動できるもの全般を馬と呼んでいるのでトカゲでも魔法生物でもかまわないのです。)
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