3日目


 断ればやつらは新たな女を探しに行くだろう。

 私は一晩かけて考え直し……いや、一晩かけて化粧を試行錯誤して、朝飯を持ってきた元女衒の隊員に結局手伝ってもらった。


「恩に着る。ええと」

「トーホスだ」

「ありがとう、トーホス」


 私は礼を言ってドレスを翻し、盛大に転んだ。


「ヒラヒラして動きづらい…!」

「マジでアンタ、冒険業一筋なんだな」


 化粧をしてもらいながら聴いた話で、だいたいの状況を把握した。


 私を雇い入れたのは『フランブワヤ』パヴァ王国で活動する一級テロリスト集団だ。

 仕事を受けてしまった以上は様子を見るほかにない。

 彼らの手はどこまで及んでいるか計り知れないのだから。

 リーダーはセイントと呼ばれている。なんとも大仰な名前だ。私の方が似合う。


「そういう訳だから、舞踏会ぶとうかいではよろしく」

武闘会ぶとうかいならまかせるが良い」


 私は華麗なフットワークを見せつけ、もう一度転んだ。

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