第21節 文章力の上げ方って?


 小説を書く上での文章力、欲しいですよね。

 執筆を始めたての方、これも完璧主義寄りな方が通る道だと思います。文章力や語彙力が足りないと、思った通りに描写できずに書き詰まりがちです。


 そんなお悩みを抱える方へ。


 前置きとしましては、書き続けていれば文章力というものは勝手に伸びます。

 主述のねじれをなくす、修飾被修飾の言語を近付けるなど、意識しておいた方がいいことはあるにはありますが、そこまできっちりしなくとも最初は大丈夫です。


 となると、インプットとアウトプットを繰り返すだけです。

 小説を読む→書く、ですね。時間はかかりますが確実に身になります。また余計なことを考えなくとも、ゆっくりとですが勝手に文章力はついていきます。

 全てを投稿しなくとも良いので、とにかくたくさん書きましょう。


 ただ、書いてれば伸びる──そんなのは当然のことです。


 ということで、しっかりと文章力上達のためになるものの他に。

 私が初長編を書いた時まで使っていた、即効性のある裏技的なものを含めて。


 これまで特に効果があると感じたものを、四つ紹介します。



①文章表現が上手な本一冊を、じっくりと読む


 基礎中の基礎で、今の私にも足りないものです。戒めとして……。

 純文学、大衆小説は問いませんが、書籍化されている本がいいですね。


 とにかくじっくりと読みましょう。その際、文章表現に特に注意して。何度か読み返したことのある作品だとしても、新たな発見ばかりになるはずです。


 私たちは小説を読む際、必要性が薄いと感じた文章は知らず知らずのうちに読み飛ばしてしまっている──なんてことが多々あります。そこを意識して読むことで、文章力を高めることができるというわけですね。



②好きな小説・文体を真似したい小説を写経(書き写し)してみる


 ①から発展したものです。私も好きな小説丸々三~四冊をかつて写経しました。

 処女作を生み出す前にやったことですね。


 正直なところ、身になる代償としてかなりきついです。

 一日二千文字と決めてやっていましたが、時折さぼってしまいました。


 しかしその分、効果は絶大に感じました。

 文体の他にストーリーのリズム等も身につくので、頑張れる方におすすめです。


 あ、書き写すと言っても手書きでなく、ワープロソフトにですよ!



③X(Twitter)で二百文字ぴったり、何かしら投稿してみる


 写経よりは大分やりやすいと思います。


 ……そのうえで、意外と効果がある気がするんですよね、これ。

 というのも、Xでは投稿文字数に二百文字という制限が設けられています。

 そこにぴったり収める文章を考えると、必然的に文章について考えます。


 私は宣伝やお礼ツイートをする時なんかによく考えています。


 ここをこういう表現に変えて、でもこれだと文章が伸びすぎちゃうから、ここを削って……のように、ぴったり収める訓練としては上々です。



④人が書いた作品の文章を借り受けて、可能な限り全ての表現を別のものに変える


 はい、これが私の言う即効性のある裏技です。

 小手先のものでもあるので、身になるかどうかで言えば怪しいです。


 借り受ける……という部分から、なんとなく忌避感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、著作権法には引っ掛からずに、かつ有効な手段です。


 意味が何とか伝わるよう、順を追って説明していきますね。


 例えば、深く傷ついた少女が胸の内を曝け出すシーンが書きたいとします。

(例えが大分尖ってますが、許してください……)


 お手持ちの小説から、そういったシーンがある小説を探してみましょう。今回は例として、私の書いた小説『親に捨てられて~』の、第三話から借り受けます。


────────────────


 悲痛な叫びは、ようやく晒された少女の本心だった。

 心に入った罅を庇うように胸に手を当て、少女は髪を振り乱す。


────────────────


 このように、見つけた表現を、一度ご自身の小説の続きに貼り付けてみましょう。

 ただ、そのまま文章を使っちゃうと著作権侵害になっちゃうので、ここからこの文章を、あなただけのものにしていきます。


 推敲する時のようなイメージで、類語辞典を見ながらできる限り文章を変えましょう。そして、変えたものが以下の文章になります。


────────────────


 ようやく吐き出された悲痛を訴える言葉は、少女の心からの叫びだった。

 少女は髪を振り乱し、痛みを抑えるように胸に手を宛がう。


────────────────


 これは一つのイメージです。分かりにくかったらすみません。


 要するに、この裏技の手順を説明すると。


⒈ 書きたいシーンを考え、それと似たシーンがある小説を探す

⒉ 一旦、人の書いた小説の文章(一文程度)をコピーしてくる

⒊ 全ての表現を類語辞典などを見ながら書き換える


 これで、いとも簡単にあなただけの文章が作れます。


 勿論、シーン全体をコピーしてきてしまうと、あなたの作品自体が別の方の作品に寄ってきてしまうので、使いどころを見極める必要性はありますが……。

 借り受ける時はほんの一部のシーンだけ、ということを忘れずに。

 また、書籍一冊から借りる表現は1、2カ所くらいにしておくのが無難です。


 ついでに文章中のキャラクターの行動について、今回は全く変えませんでしたが、一部変えられるのであれば変えてしまえば、完全にオリジナルの文章になります。


 この裏技を使いこなすことができれば、至る所で良い感じの文章が作れます。

 私の説明が下手なので、伝わったかどうかかなり怪しいですが……。


 分かりにくい点がありましたら、コメント等でお気軽にご質問くださいね。



 文章力を上げる方法、まとめに入ります。


・小説をじっくりと読んでみる

・好きな小説を写経(書き写し)してみる

・Xの投稿等で、文章の添削に慣れる

・人の文章を借り受け、その表現を全て変えてあなたの文章にする



 その他にも色々あるとは思いますが、今回の節は以上です!

 またいつか、もう少し理論的なことについても話せればと思います。

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