第9節 ストーリー(プロット)の作り方





 まずもって……そもそもストーリーの作り方が分からないよー、という方は、書きたいシーンを思い浮かべましょう。


 それも思いつかない? でしたら、書きたい小説と近いジャンルの小説をたくさん読みましょう。ストーリーがあればアニメや漫画、ゲーム等でも構いません!

 インスピレーションから書きたいシーンが思い浮かぶことは多いはずです。


 書きたいシーンが思い浮かべば、そこからストーリーを広げていくだけです。

 簡単ですね。以上でこの節はおしまいです。


 ……たったこれだけかと思われるかも知れません。これだけです。

 ただこれでは味気ないので、プロット作りについて説明していきますね。 



 プロット、と聞くとあなたは何を思い浮かべるでしょうか。

 何も思い浮かばない人もいるかもしれません。


 Google先生に聞くと、物語の筋、しくみと出てきます。またハウツー本などでは、物語の因果関係を定めたもの──などと書いてあるものもありました。


 ただ、どちらも私が書いているプロットととは捉え方が違います。

 では何がプロットなのか──ですが、簡単に言わせていただくと、「まだ原稿になっていないストーリー設定の書き溜め(メモ)のこと」、です。


 つまり、原稿未満設定以上、という立ち位置の、ただのメモの集まりです。

 今回の節では私なりの考えのプロットについて、話していきますね。


 プロットがしっかりしていると、執筆が非常にスムーズに進みやすく、また途中で展開に躓いたり、最後まで書き切れなかったりなどを防ぎやすいです。


 ですが、先に言っておくと。

 ストーリーは必須ですが、ストーリーを書いたプロットは必須ではありません。

 特に短編ではほぼほぼ要らないとまで言えます。


「……?」と、脳裏にクエスチョンマークが浮かんだ方もいるかもしれません。


 これまで書きたいシーンなどを沢山メモしてきた(もしくは脳内にある)あなたであれば、プロットを改めて書く必要はないということです。


 例えば、滅びゆく世界でラストのキスシーンが書きたい! というストーリーメモは、それだけで実質プロットの役割を果たします。


 小説を書きやすいように展開をメモしていくのがプロット作りだからです。

 メモがたくさんあれば、それはもうプロットと同義です。


 更に言います。プロットはキャラクターと違って必須ではありません。


 ハウツー本によっては、プロットを書かないといい作品が書けません! のように書かれてあることも多々ありますが、実はそうでもないのです。

 人によっては書き出さずとも頭に入っているということもありますし。


 また、魅力的なキャラクターが話したり、動いているだけで面白い作品はたくさんあります。プロットを書くという手順が面倒なら序盤だけでもサクッと書いてみる──なんて書き方も、私はもちろんありだと思います。


 プロットの書き方自体、自分自身にあった書き方でいいんです。

 時系列や登場人物まで綿密に書くのも、大雑把に書くのも。完成すれば一緒です。(完成度には多少かかわってくるかもしれませんが……)




 さて、プロットの書き方は人それぞれだという前提のもと。

 ここからは、私なりのプロットの書き方について触れていこうと思います。


 まず大前提として。私は最初からプロットを固めるタイプではありません。

 大体のストーリーは決めていますが、途中でころころ変わります。


 なぜそうなるかと言いますと、私がプロットを書く時は「執筆に詰まった時」だからです。そうなるまではほとんど書きませんし、触れません。


 続きを書きたいけど、そのまま原稿に落とし込んでも上手く書けそうにない……でもちゃんと書けてないとテンションが下がるし……という時にプロットを書きます。


 プロットって、執筆に入る前に決めておくものなんじゃないの?

 そうである決まりはありません。


 そんな適当な感じで上手くいくの?

 はい。少なくとも私はこれで困っていません。


 そんな緩い感じでもいいのです。書き方は人それぞれですから。

 もちろん私が書くようなプロットの書き方が合っていない人もいるかと思います。(というかむしろ、私の書き方は異端かもしれません……)



 ここでは私が過去に執筆した未発表作『終末世界とレプリカント』のプロットを実際に載せてみるので、参考程度にどうぞ。(読まなくても構いません!)

 分かりづらいと思うので先に謝っておきます。すみません……!



────────────────


 前提:滅びかけている星。世界には主人公を除いて機械の人間しかいない。

 シアという主人公の人間、ノゥトという名の自動人形、その二人の少女の話です。

 二人は『工房』と呼ばれる楽園を目指して旅をしています。



・第4章『AIしてる』_プロット


①ノゥトの知る工房までの道のりで、最後の町に辿り着く。大きな町。

 買い物をする前に腹ごしらえをする。屋台で売っている流動食を食べて、そこで。

 屋台のおじさんが困り顏をする。

「これはエン、か。久々に見た。……ここじゃ通貨がトルなんだ」


 お金が使えずに困っているところに、フロースと名乗る女性が来る。

 彼女はお金を払ってくれて、家に招いてくれる。

「困っている子を放ってはおけないわ。きっとサイファもそう言うから。ほら、着いてきて?」


 フロースに歓迎される。フロースはサイファを愛おしそうに呼ぶ。

 まるでそこに居るかのように。(実際にシアとノゥトの目には見えない)

「ね、サイファもこう言ってることだし、泊まっていって? お金はいらないわ」


②フロースの家で二日、生活を共に過ごす。温かい生活。

 花が好きだとフロースから話を聞く。本物を見たことがないという話も。

 しかし生活の中で、フロースの身体にガタがきている話を聞く。

(心核と呼ばれるもので自動人形は動き、寿命がくると壊れてしまう)

「……サイファには、内緒にしててね?」


③その日の夜。眠れないシアは、僅かに開いた扉の中に人影を見つける。

 ベッドの上に横たわるそれと机上にあった遺書を見て、息を呑む。

(そこにあったのは、サイファの遺書。先に寿命が尽きかけたフロースに、サイファが自分自身の核を移植した。僕の分まで生きてくれ。という内容。)

 この時点では遺書の内容説明はしない。

 ──と、そこで。「何をしているの?」と聞かれ、シアは後ろを振り向く。


 フロースが淡々と説明してくる。

「──そう。サイファは私のために死んだの。だから、私は彼のために彼を生き返らせないと」(実際には、完全に死んだ自動人形は心核の移植では生き返らない)

「……ノゥトちゃん。彼女の心核は、あとどれくらい持つのかしら?」


 起きていたノゥトがそこにやってくる。

 ノゥトとフロースの短い戦闘。ノゥトがフロースの身体を組み敷いて、

「……残念です、フロースさん」と告げ、拳を振り下ろそうとする。

「ダメ──! ノゥト、壊さないでっ……!」


 シアが二人を説き伏せる。サイファはきっとそんなことを望んでいないと。


 フロースはその場に横たわったまま動かない。

「そう。……私、間違っていたの。そう……」


④翌日、旅立ちの日。起きてこないフロースの元へ行く。

 そして、彼女の部屋に、動かなくなった冷たい遺体を発見する。

 ノゥトに頼み、サイファの遺体のすぐそばにフロースの遺体を並べてもらって。

 造花を買って二人の側に添えて、置手紙を置いて二人は旅に戻る。


⑤遺書の内容を綴る。

 フロースが先に機能停止しかかっていたこと。技師に頼み、サイファが自身の核をフロースに移したこと。君がいない世界で生きられなかったという謝罪。

 少しでも長く生きて欲しいということ。

 フロースとサイファが同シリーズの機体(同時期に作られた自動人形)であること。そのため寿命はほぼ同じだということ。

 ──先に待っているということ。

 もしまた会えたら、もう絶対離さないから。




 大体、こんな感じです。

 プロットとしての、台詞や説明の割合の参考になればと思います。


 書き方としては、ストーリーの⑤から逆行する形で私はメモを書き始めました。

 遺書の内容を先に書き、そこから逆算してフロースとサイファを作った感じです。


────────────────



 いや、これを見てもプロットの書き方が分からないんだけど……という方は。

 ストーリーを後ろから考えていくような作り方をしてみてください。


 ──魔王を倒すのが最終シーンなら、そこに至るまでに何があるか。

 直前に魔王の側近を倒すのであったり、最終決戦前に仲間との会話があったり。

 どんどん時を遡って、ストーリーを考えていきます。


 最終的にこういうシーンが書きたい、そのためにはどんな前置きがあればいいかを考えていき、それをメモすればプロットになります。


 ──原因があって結果が生まれる。その結果が原因となり、新たな結果が生じる。

 ハウツー本らしく言えば、こういったものですね。


 最終的な結果から逆算していけば、プロットを立てる難易度は下がっていきます。

 

 他に形式ばったやり方は必要ありません。私はそれで一度挫折したので……。

 自分だけが見てわかる形であれば、それでいいのです。


 一応、私が気を付けている(自然とやっている)こととしては、場所、時間、ストーリーの3つだけは、ある程度書き記しておくようにしています。

 この三点だけちゃんと書いてあれば、あとは台詞だけのプロットだろうが、説明文だけだろうが何でもいいと思います。後から見返して分かるかが重要です。



 ぐだぐだですが、まとめです。


 ストーリーが思いつかない人は小説を読む!

 ──プロットとは、ただのストーリーのメモの集まりだということ。

 形式はなく、作者の好きに書いていい。


 この三つになるかと思います。



 プロットを入れた関係上、長くなってしまいましたが、本節は以上となります。

 纏まりがなく、文字数の割に内容が薄くてすみません……。

 ちゃんとした読者の目を惹くストーリーの書き方もいずれ書く予定ではあります。



 次節は箸休めで、その次から次章に入る予定です。

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