最終話 路線バスでGERO
小学生のころ、遠足や社会科見学で大抵一人はバス酔いで嘔吐してしまう子がいた、と記憶しています。長距離長時間を移動しますからね。
そんな児童期の思い出彼方の二十代、二十代も半ばのころ。
私はやらかしました。旅行とかの非日常とは関係なし、毎日の通所で使用する路線バスでです。
ある日、クリニックに行くために私はとある路線バスに乗りました。駅に行く際は大体使う乗り慣れたバス。
始発のバス停から乗れるので確実に座れることが良ポイント。
んー。なんでか幼少期のGEROや給食でのGEROはくっきり鮮明に覚えているんです。
でもこの時のGEROはなんでか薄ぼんやりしていて。その、輪郭がぼやーっとしていると言いますか。二十代半ばのいつだったかも曖昧ですし。
その日、なんだか最初から気分がよろしくなかったのです。前兆が確かにありました。
でもまさかオヴェエエするなんて夢にも思わなくてメンタル不調かな? くらいにしか思っていなかった。
――まあ、なんとかなるでしょ。ふふーん。
のー天気七草はそう考えつつ乗り込んで……。
コロナ前なのでバスの窓は閉め切られていました。密閉状態。さらになんだか乗客がいつもより多い。
それはいいんですがだんだんと空気に見えないにおいを感じるというか……、満員電車でもよく感じるアレに鼻と口を覆われ、呼吸が上手くできなくなって。
――あれ、なんだか気持ち悪い?
でもまあもうちょっとで着く……なんて己に言い聞かせたのが悪かったです。目まいもプラスされて吐き気もして、ヤバイヤバイヤバーイヤバー
ヴォエエエエエエェェェェエエエエエエエエエエエエエエエ
はい。やらかしました。路線バスでGEROです。しかも。
ふらっ。ぱたっ。
目まいがひどすぎて。座席から綺麗に弧を描いて転げ落ちる七草!
「きゃあ!」
「大丈夫ですか!」
騒然とするバス。止まるバス。
「学生さんかしら?」
ちなみにこの時七草はマジで目まいがフルスロットルでした。みんな優しかったので介抱してくれて、声かけしてくれたのが救い。
運転手さんが救急車を手配してくださり、七草はそのままクリニックに搬送されました。なんか診察受けて休憩して、親に迎えに来てもらったはずです。
名前と年齢、行きつけの病院は自分で言えたのでしょうね。
…………GEROしたバスは代わりの車両を出して、なんとかできるとのこと。いえ、本当に申し訳ない。
…………。
……………………。
いろいろあったなあ(遠い目)
ただ私がGEROしても、まわりの人たちは優しかった。本当に救われました。
気持ち悪くなった時は無理せず早めにお手洗いに駆け込んだほうがいいです。
嘔吐は自分でコントロールできるものではないので。
というわけで、ここまでお送りしてきたGEROエピソード、いかがだったでしょうか。
最後までオヴェエ話にお付き合いいただき、ありがとうございました。
【食事中閲覧注意】本当にあったGEROの話 七草かなえ @nanakusakanae
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます