第3話 給食でGERO

 皆様ごきげんよう。これをお読みになっているということは、前のエピソードをご覧になったということですね?


 もしも何かの間違いでいきなりこのエピソードをクリックまたはタップしてしまったあなた様は、いったんブラウザバックしないと多分後悔すると思います。お食事中の方も同様です。


 ……え、それでも良い? そんな覚悟ガンギマリの勇者な方はどうぞ続きを。



 大人になった今でも、忘れられない記憶があります。


 破れた初恋、上手くいかなかったテスト、ぎくしゃくした友人関係。

 ……そして、給食中皆の前でのGERO。

 

 当時私は小学五年生。

 近い年ではアメリカ同時多発テロがありました。

 罪無き人々の乗った飛行機が、罪無き人々のいたビルに突っ込んで何もかも壊れていく映像。

 今でも思い出せる悲鳴、涙、怒り、祈り。


 世界すべてがが平和だった時なんて、歴史のどこにも無いのかもしれません。


 それでも平和を望み行動していけるのが人間なのだと思います。



 話がそれました。有事が起きても食べて眠らなければ生きていけないのも人間です。


 当時発生した一連の出来事にショックを受けながら。


 少女七草は本を読みゲームで遊び、おやつを食べてアニメを見て日々を過ごしていました。

 今とそんなに変わらないですね!


 さて、シリアスになりすぎないうちにやっと本題入りまーす。


 私の通っていた小学校は自校式給食でした。温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままの出来たてが提供されるのは嬉しかったものです。


 たまーにどこかのクラスが食缶をひっくり返してみんなのご飯をぶちまけ、他クラスに頭を下げて食糧確保していたりして。


 で。ある日の給食。黄色く色づけされたご飯に大量の海老とアサリが入ったメニュー――パエリアが出てきました。黄色いご飯はサフランライスですね。


 海老……? 貝……?


 正直この時点で七草はめまいを起こしかけました。

 海老類と貝類(ただしホタテは平気)が超絶苦手なのです。


 私が苦手というだけで、決して海老にも貝にもパエリアにも罪はありません。


 多分残してもそんな怒られなかったはずなのですが……見栄を張った私は牛乳で流し込む作戦でパエリアに挑みます。


「え? 何このにおい?」


 困ったのはサフランライスの独特、というか変なにおいでした。


 何かしら香辛料を使っていたのでしょうが、本格スペイン料理のお店のようなものが学校給食に出てくる訳でもなく。


「なんか……へん」


 しかしファイター七草はへこみません。

 むしろ壁は高いほうが燃えるぜ精神でパエリアを牛乳もとい水分で胃に流し込みます。


 だんだんと黄色い山が減っていきます。ああ、できる。私、食べられる。あと少し……。


 ……………………うぉっ。


 ……………………うぉえっ。


 ゲヴォヴェエエエエェェェェッッ。


「七草さんっ?」


 吐きました。みんな食べてるのに。

 しかも結構飛距離がある吐瀉物でした。めっちゃ飛んでた。


 ただ同じ班の子たちは私が吐きそうなのを何となく察していたらしく、野生動物並みの反射神経で机ごと避けてくれました。


 おかげで被害は私の机と教室の床のみに留まったわけで。いや、良くないけど!


 なんかそのあとすぐ大騒ぎになり先生が飛んできて、親が着替えを持って飛んできました。服も汚れていたんですな。


「だ、大丈夫?」


 割と本気で困惑気味のクラスメイトたちに心配されつつ。

 とりあえず教室内が深刻にならないように「やっちゃったー☆」という感じを保ちつつ。


 まあ原因が苦手な食べ物を無理に食べたからということもあって、早退することも無くその日はフツーに過ごしました。どういうメンタルしてたんだ。


 本当に誰も私を責めなかったんですよね。さすがに驚いてはいたけど。


 二月だったので時期的にインフルエンザだったらアレだと、保健室で検温だけしたのは覚えています。


 まあ、そこから無理にだめな飲食物は頼んだりしない。出されたら謝って断るということを覚えました。これ結構な進歩でした。


 


 そして。月日は流れて二〇代。

 私はついについに、公共交通機関の中でやらかすのです。

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