第2話 冒険者二人
「エリー!!ここは俺に任せろ!!」
「了解!援護する」
わたしは、鋭い牙を持つサーベルタイガーから距離をとって、弓を放った。
弓は、サーベルタイガーの胴体に、二本同時に刺さった。
わたしが続けて連射したのだ。
サーベルタイガーは、突然の出来事に
突然、寝込みを襲われて怒りを
相棒のフィニアスが、魔法の技でサーベルタイガーを動けなくした。
その間もわたしは、弓を射かけて弱らせる。
とどめに、フィニアスがサーベルタイガーの心臓に手入れの行き届いた剣を突き立てて終わりだ。
もう、サーベルタイガーは、動かない。
この、山間のチェストの村に住んでいる人々は、サーベルタイガーに家畜の被害に悩まずにすむのだ。
一匹のサーベルタイガーが山に住み着き、家畜を襲うようになって二年。村人たちは、貧しい生活の中から、お金を出し合って、サーベルタイガーの駆除を冒険者ギルドにクエストして来たのだ。
「今回のクエストは、簡単だったな」
相棒のフィニアスは、簡単に言う。
「フィニ……何を言ってるんです? サーベルタイガーの牙を持って帰ってこそ、最高金貨二枚の仕事ですよ」
フィニアスは、わたしと同じ22歳だというのに、実に子供っぽい顔で言う。
「めんど~ 死んでるんだから、途中からボキッと折ってけば良いだろう? なんなら、風の魔法で解体してやろうか?」
わたしは、怒る気も失せた。
「
わたしは、肩から弓を降ろすと、マジックボックスを取り出し、中からノコギリを取り出した。
そして、小振りなノコギリで、チマチマとサーベルタイガーの牙を切り始めた。
魔法使いでもあるフィニアスには、こんな作業が見ていてイライラするようだ。吞気に居眠りなぞしている。
今にして思えば、この作業が原因だった。
二本の堅い牙をノコギリで切ったのだ。わたしは疲労困憊だったのだ。
だけど作業が終わって、フィニアスは直ぐに、ギルドに帰りたがった。
これも下心があったのだろうな……と思われる……今となっては……。
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