第4話 【怪談】水風船おじさん

私の友人Mさんが体験した話。

小学一年生の頃、Mさんは祖母の家によく預けられていた。

Mさんは祖母の家に行くのが好きだった。


しかし、祖母の家にはちょっと怖い人がいた。

それは祖母の家の仏間にいる小太りの小さい知らないおじさんだ。

祖母が夕飯を作り、Mさんが食卓に食事を運ぶ手伝いをしていると、

いつの間にか食卓のテーブルの前にそのおじさんが並んでおり、

一緒に食卓を囲んでいたという。

大きさはMさんと同じくらいで、腕や脚はガリガリなのに、

異様にお腹が出ていたという。


おじさんに「おじさん誰?」と聞いても、

祖母に「このおじさんは誰?」と聞いても、

どちらも相手にしてくれなかったと言っていた。


小太りの小さいおじさんは、

いつも顔に笑みを浮かべながら怒っていた。


何故それが分かるかというとドンッドンとテーブルを叩くから。

子どもながらにその暴力的な異常性が怖かった。

祖母には聞こえていないようだった。

小太りの小さいおじさんがテーブルを叩くと、

気付けばお腹も顔も膨らんでいる。

怒る度にどんどんと膨らんでいく。


夕飯を食べ終わり、デザートが出て来る頃には、

テーブルを何回も何回も叩くことから、

体全体がパンパンになっているおじさん。

他人が食事していることが気に食わないようで、

水風船のように膨らみすぎてパンパンになっていた。

そしてその小太りの小さいおじさんは、

しまいにははじけ散って消えるとのことだった。


「はじけるってどんな感じですか?」と聞くと、

七色の破片が飛び散り、意外にもとても綺麗だったそう。


Mさんが高校生の頃、祖母がなくなり

遺品整理をしている時に分かったそうだが、

その小さい小太りのおじさんは祖母の父の顔と同じだったと言っていた。



(おわり)

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