第20話 実家近くの公園
今、僕の実家には父、母が二人で住んでいるが、僕の帰省に合わせて妹夫婦も二人の子供を連れて来ていて、幸之介と甥と姪とが早速遊び始めた。
活発な甥と姪が狭い家でかくれんぼや鬼ごっこをやろうと言い出し、幸之介が付き従って遊んでいる形で、学校での幸之介の姿と同じだ。
小一時間子供達は遊び、僕達と妹夫婦は休憩した後、甥、姪と幸之介、父と僕とで近くの公園へ出掛ける。
妹一家は近くに住んでいて、しょっちゅう実家へ来ており、甥と姪はいつもこの公園で父に遊んでもらっている。
僕が子供の頃、父が運動の苦手な僕を心配してよく連れて来た公園だ。この公園には嫌な思い出もあるが、同級生と遊んだ楽しい思い出もある。
実家へ帰るたびに来ているが、昔と様変わりしたのは、子供の姿をあまり見なくなり、高齢者がストレッチのようなことをやっているのが目立つ点と、昔は公園の中央に鎮座していた円形の回転式ジャングルジムがなくなっていることだ。
子供の頃はあのジャングルジムを登ったり降りたりしながら、鬼ごっこやかくれんぼやターザンごっこなんかをやった。てっぺんまで登ると怖いし、落ちたら大怪我をするだろう高さでジャングルジムを回転させ、きわどいバランスを取りながら激しく追い掛け合ったりつかみ合ったりするので、今思えばかなり危険だった。
今、自分が親となると、子供にあんな遊びはさせられないと思う。あの頃の子供は親の知らない所で平然と危険な遊びをしていたし、親の方も黙認しているようなところがあったのと、危険に対する認識が今よりは大ざっぱだったように思う。
時代の経過とともに子供の危険に少しでもつながる遊具は撤去されているようだが、あの回転式ジャングルジムも時代の流れに呑まれて消えていったのだろうか。
今年七十歳を迎える父は病気ひとつせず元気で、孫相手にノックをし、ゴム球だが遠くまでよく飛ばす。
僕も時々父が休憩する間、代わりにノックを試みるが、三回に一回は空振りするなど、ぶざまな姿をさらしてしまう。運動能力は昔から何一つ変わっていないようだ。
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