本編2 バンデッド前
その手に導かれるようにしてやって来たのは、【バンデッド】という大きなジェットコースター。並んでいる子たちがいるのにどんどん長い長い階段を駆け上って行く彼女に戸惑う貴方は、抜かしていった子どもたちを振り返る。
だけど子どもたちは文句一つ言わず、ただ笑っていた。
彼女と共にコースターに座った直後。いきなり動き出したことに驚いた貴方は、慌てて安全バーを降ろす。だけど、隣の彼女はいつまで経っても降ろそうとしなかった。声を掛けようとした貴方だが、バンデッドが勢いよく加速したため、貴方の声は彼女に届かない。
だけど焦った貴方の表情に気付いた彼女は少し微笑み、前を指差した。そこには、彼女と同じように安全バーを付けていない子どもたちがいた。
ゆっくり上へと上がっていくコースター。そして、一気に急降下した時。
貴方の目には、その反動で子どもたちが次々と空へ飛ばされるのが見えた。
それから少しの間が開き、【ドンッ】という音が聞こえた。
貴方はその音の正体を見ることができず、強く目を瞑った。
その間、辺りにはずっと――
「あはははは」「あはははは」という楽しそうな笑い声が響き続けた。
発射位置に戻って来た貴方は怖くなって、早く降りてこの場から逃げよう。そればかり考えていた。
「どうしたの?」
すると隣から、心底不思議そうな彼女の声が聞こえて、バッと振り向く。貴方の青白い顔に「大丈夫だよ。さっきの子たちなら無事だから」と声を掛ける彼女だけど、「無事、ではないか」そう小さく呟いて不気味にフフフと笑った。
「次、行きましょう」
その言葉に、貴方は怖くて震えながらも頷くしかなかった。
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