本編1 正面入園口付近
電車でゴトゴト揺られ、バスでフワフワ上った先にある遊園地。そこはイルミネーションが有名で、時々テレビで放送される有名な【よみうりランド】。
遊びに行くとたくさんの人の笑い声が溢れる幸せな空間。そんな遊園地だけど、今日は様子がいつもと違う。
賑やかだけど、子どもしかいなくて。
笑っているのは分かるけど、見えるのは口だけで。
いつもはかわいく見えるあの犬のマスコットも、何だか目が不気味にニヤっと笑っているように見える。
ここは、本当にあのよみうりランドなの? そう思ってスマホの電源を入れると、上に出ている日にちに驚く貴方。そこには、2025年2月29日と表示されていた。
2月29日はうるう年。4年に1度しか訪れない珍しい日。
だけど、前にうるう年が来たのはいつだったっけ…………
そう。うるう年が来たのは2024年。なのにその1年後の今日。またうるう年がやってきていた。
まだ1年しか経っていないのに、どうしてうるう年が来たのか。
なぜ今日がうるう年だと、今まで気付かなかったのか。
…………呆然と立ち尽くす貴方に、一人の子どもが近づいてきた。
「君、一人なの?」
そう言った子も顔は霧に覆われたみたいに見えなくて、でも唯一見える口から出た声と頭に付けている赤いピンから女の子だと分かった。
貴方が恐る恐る頷いてみると、その子はふわっと笑って「じゃあ、一緒に遊ぼうっ」と手を引っ張って走り出した。
その手は白く、靄に覆われているように朧げだった。でも貴方はその手を振り解くことなく、彼女に付いて行く事にした。なぜならその手が、じんわりと温かく。不安な心が少し和らいでいくような気がしたから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます