第1話 創使者≪クリエイター≫ その8
「それでは君たちに任せる仕事の具体的な話を始めよう」
ようやく神様から仕事の内容が説明される。俺はどんな仕事をすることになるのだろうか。
「簡単に言うと君たちにはクリエイターになってもらう」
「クリエイター、そういう創造的な物は経験者がモノを言うんじゃないんですか」
この仕事の求人情報には未経験者歓迎とあったが明らかに専門職ではないだろうか。
「経験者を募集したとしてもボクたち神々でも経験者は少ないからね」
「ワラワたちに何を作らせるつもりなのじゃ?」
ジョーカーの疑問に神様は自慢げに答えた。
「世界だよ。君たちにはワールドクリエイトに参加してもらう」
正直話が大きすぎて理解が追い付かない。
これってSFならテラフォーミングの具体的な方法を求めらえているようなモノじゃないのか。
「それって新世界にゴキブリを大量繁殖させるとかそういう感じ」
「はぁあ?何故そのような発想が出てきおるのじゃ」
ジョーカーが信じられないものを見たような目で俺を見てくる。
気持ちは分かるけど俺の発想じゃないから。
「止めてよ。ボクもそっちは苦手なんだよ」
神様でもGは嫌いらしい。
「まずは経緯から説明しよう」
そう言って神様は机から立ち上がりフワフワ浮かびながら俺達の周りを回り始めた。
「遠い昔、この世界でボクたち神が産まれてからボクたちはこの世界を良くしようと働いて来た。しかし神というのは人間が思うような全知全能というわけではなかったのだよ」
別に俺は神様が全知全能とか信じていないし。むしろこの目の前の神様を見るまで神様とか信じていなかった。
てかこの神様がすごいとは思うが信仰するかと言われれば……なぁ?
「その為に失敗も繰り返した。地球を氷漬けにしてしまったり、恐竜を絶滅させてしまったり」
「恐竜の絶滅って神様の失敗だったんですか?隕石が原因ってされてますけど」
「間違いじゃないさ。8千万年前にケツァのマヌケが地球に降臨するときに出力と座標設定を間違えて落っこちて恐竜が絶滅したんだよ」
神様の中にはお星さまを神格化したものがあると聞いたことあるけど、神様がそのまま隕石になって恐竜の大絶滅を引い起こしたとか他人には言えないな。
「まぁそういう失敗をちょくちょくやらかしていたわけだけど」
「おい、大絶滅みたいなのをちょくちょくでやらかしていやがったのか」
「ふん、神というのはワラワたちとは価値観が違うのじゃ。こ奴らには竜種だろうとアリの巣だろうと同じ話のはずじゃから気にするでない」
だとしてもうっかり1つで世界が滅びていてもおかしくなかったわけだろ。よく人類生きているな。
「まぁ「失敗は成功の基」と言うようにボクたちも学習して成長しているんだ」
「なるほど、それでその成長で余裕が出来て」
「けど最大の失敗が―――」
いきなり不穏な言葉が出てきたぞ。
ジョーカーも額を押さえている。
「ある一柱の神が人間におだてられて調子に乗ってさぁ、その神は取り巻きの人間と一緒にやりたい放題しちゃったんだよね」
いるいる、人間にもそういう奴。
「そいつは自分以外の神を見下してたもんだから信者は他の神々を否定するようになって、そいつだけで済まずに他の神の信仰も巻き込んで人間の在り方を歪めちゃったんだよね」
「あんまり聞きたくない話題のようなんだけど」
「結果、世界は手が付けられないほどバグっちゃったんだよ」
俺の話は無視ですか。そうですか。
「それでその神はどうしたのじゃ」
「ここに来て皆に助けを求めてきたけど総スカン喰らってるよ」
ざまぁ系だな。
「それで世界はどうするんだ?」
「もうどうしようもないから諦めた」
「「…………はぁ?」」
「そういう訳でボクたちは新しい世界を創ることにしたんだ」
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