第1話 創使者≪クリエイター≫ その6

「なんじゃこ奴は、ワラワの顔を見るなり叫び出しよって」

「あぁ彼は幻覚を見ているんだよ」

「あぁキマッておるのか」

 人聞きが悪い表現しないでほしい。

 吐きそうになるのをこらえていると意識のゆがみと言うかズレの様なものが収まってきた。

「うぅ~、奇面フラッシュを食らった気分だ」

「むっ、ワラワの顔がその様に面白おかしく見えておったのか」

「奇面組に異世界おじさんが混ざっていたぐらいのインパクトだった」

「凄まじいコラボじゃの」

 ようやく視界が安定すると神様の他に幼女が居た。

 神様も幼女なので幼女が2体。おじさんが1体。これが現実なら即事案であろう。だがこれは現実では―――現実だとしても常識は通用しないだろう。

 2人目の幼女は斬バラと言うか歌舞伎役者の様なライオンのたてがみのような銀髪をしていた。

 肌は病的なぐらい白く瞳が真っ赤である。ラノベなどでよく出てくるアルビノ体質という奴だろう。

 ただし、八重歯までは個性とか体質と言えるだろう―――が、角はその範疇ではない。

 彼女の額から立派な角が2本生えていた。

「————どうやらまだ酔いが抜けてないようです」

「見ての通りオニなのだが」

「問答無用で現実を突きつけないでください」

 人が現実逃避しているのに神様が容赦ない。

 それでもちゃんと見てみれば角が生えている以外は―――かなり着古した感じの着物を着崩していて、両肩や鎖骨だけじゃなくって胸に巻いたサラシまで丸見えである。

 しかしサラシが必要なほどじゃない真っ平ぷりだけど……サラシで押さえているのだろうか?

「おい小僧、じろじろ見るモノじゃないぞ」

 悪態をつきながら片足を上げて反対の足の太ももを足で掻いているけど、————ふんどしかぁ。

「あぁ!」

「———っごく」

 詰め寄られて喉が鳴ってしまった。

「カッカッ、オニが恐いか?」

「——————角、……舐めてみたい」

 つい本音がこぼれてしまった。

「————————————こ奴、ヤバイのぉ」

 ドン引きされてしまった。

 でも仕方ないじゃないか、のじゃロリアルビノ鬼っ娘貧乳サラシふんどし幼女とか―――大好物のドカ盛りじゃないか。

 例えるならファミレスで【ハンバーグ+ステーキ+唐揚げ+フライドポテトのプレート、オムライス、コーンポタージュ、ジャンボパフェ】の大人向けお子様ランチと言うべき豪華っぷりである。

「大人向けのお子様ランチってなんだよ」

 神様、普通に人の心を読まないでください。

「もちろんおもちゃが大人向け」

「はっはっはっ、まさにジョークグッズ」

 神様と2人で笑った。

「———————神も人もヤベェのじゃ」

 妖女、もとい幼女がドン引きしていた。

「それで神様、仕事のパートナーというのは?」

「もちろん協力してもらう必要がある」

「分かりました」

「ワラワは気乗りせんのじゃが」

「大丈夫、アットホームな環境を目指すから」

「安心ですね」

「何処がじゃ!」

「それで貴方の名前は?」

 フレンドリーに接したつもりが。

「フンッ!高貴なワラワが人間風情に名乗るものか」

 と拒まれた。なぜだろう。

 神様の方を見てみると。

「鬼はもとより妖怪とか神秘に近い存在は名前で魂を縛られる性質があるんだよ」

 と説明してくれた。

「そういう訳じゃから貴様に名乗る名はないのじゃ」

「っていうことで伏義人君の名前にかけてジョーカーって名前にしたから♡」

「ちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ、何してくれておるのじゃああああああああああああ!」

 えっと、つまり?

 首を傾げていると神様が追加説明してくれた。

「これで伏義人君の名前で縛られたからジョーカー君は君に逆らえない。つまりロリ奴隷の完成だよ」

「つまり忍野忍みたいなモノってこと」

「そういうこと」

「……世間体が」

「ジョーカー君の方が年上」

「じゃあ何してもいいってことですね」

「よくないのじゃあああああああああ!」

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