第1話 創使者≪クリエイター≫ その4
ジョーカーという同居人だが出会いは仕事に採用されて職務内容を説明された時になる。
アレは確か――――
【秘密厳守、フレックスタイム制、日当1万、各種手当追加報酬アリ、未経験者歓迎、資格習得補助アリ、昇進アリ】
などと言う怪しい求人を見かけて、前の仕事先がつぶれて無職だった俺はむしゃくしゃして飛びついた。
博打を打つにもパチンコよりはましだろうという判断だ。
面接を受けてすぐに合否判定が下されて―――
「おめでとう。礼部 伏義人君。君は全人類80億の中から選ばれた特別な存在だ」
面接官とは違うやたらテンションの高い子供が現れた。
大丈夫か?
面接官もやたらカッチリしたスーツ姿でオールバックに眼帯というヤクザを通り越して海兵隊の面接官みたいなヤバさがあったけど。
「これからボクたちでアットホームな環境を創って行こうじゃないか」
あっ、これダメかも。マジでそう思いました。
「まずは自己紹介をしよう。ボクの名前はナコトノミコト。神様です」
どうやらブレーキなしで展開が暴走していくらしい。
「あっ、その顔は信用していないなぁ」
「その自己紹介で神様は信用された経験がおありですか?」
「確かにここ千年ほどでは全然ないねぇ」
「でしょう」
「良かろう。ならば証拠を見せよう!」
「いや、いっ――――」
断る間もなく宣言した自称神の姿が爆発した。
比喩でもなんでもなく文字通り爆散した。
ただし火薬による爆発の様に血と臓物がまき散らされることはなかった。
アニメで見るような核爆発や超新星爆発の様な光の爆発である。光に圧力がある様な体が押し倒されるような光の奔流であった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!目があああ!めえええがああああああああああああああああああ!」
「はっはっはっ、神の本当の姿を例え一瞬、例え片鱗と言えども人間が直視すればバルスるのは当たり前だ」
「ああああああああああああああああああああああ!」
「…………当たり前田のクラッカー」
だからツッコむ余裕はねえよ!
「これでは話にならんな、仕方ないから治療してやろう」
顔に温かさを感じると目の痛みが嘘のように引いていった。
「これでボクのことを信用出来ただろ。偉大な姿よりも深き慈悲の心に」
何が慈悲(笑)だよ。マッチポンプじゃねぇか。神様というものに本当に遭遇したら崇敬よりも恐怖を感じるよ。
感動したとかいう奴は頭がどうか成ったんだろうな。
「うぅ、やっと目が見えるように―――にゃも!」
奇声が口から出た。むしろ目ん玉が飛び出るかと思った。
「なっ、ななな、なんで裸⁉」
すっぽんぽんに神様はなっていた。
しかもその姿でお尻を浮かせた体育座りの様な感じに屈んで俺を覗き込んでいるので俺の視線も神様を下から覗き込む形になって――――見えちゃってます。
「うむ?あぁこれは市販の服を着ていたから吹っ飛んでしまったようだ」
神様は恥じらいが無いのか。平然と立ち上がるなよ。
あと、神様はボクっ娘女神様だったのですね。背がちっこいくせに意外と胸がおありです。
「ほいっと」
神様が手を一振りすると純白の神社で巫女さんが舞いをする時の様な衣装が一瞬で裸体を覆った。
それと同時にボクっ娘らしいショートカットの黒髪がロングのストレートに変わった。
その姿は確かに神秘的で―――
「どうだ。見直しただろ」
両手を頭の上で組んで体をしならせたセクシー(ぽい)ポーズを取られて。
「……台無しだ」
おまけに脇の部分の布がないのでツルツルの脇と横乳がモロに露出していてけしからん。
「さて、そろそろ職務の説明に移ろうと思うのだが――――先に言っておかなければならないことがある」
神様は鋭い視線で俺を見据えて。
「ごくっ」
「まずはそのおっ起てているモノを始末しろ」
「誰のせいだよ!あと始末とか言うな!」
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