第1話 創使者≪クリエイター≫ その3

「俺の名前は礼部 伏義人れいぶ ふぎと、今年で39歳だ」

「そして童貞じゃ」

「どっどどどどどどどどどどどどどどっ、童貞ちゃうわ!」

「では初体験はいつですか?」

 え?お前も聞くの?

「……今年………………の、予定です」

「くっくっくっ、それはおめでとうなのじゃ。今年はまだ

10ヵ月あるしのぉ」

 からかってるてのは分かってるけど容赦してください。おあずけも容赦してください。

「大丈夫です。伯父さんは絶対卒業できます」

「———勘弁してください」

 俺は顔を覆って泣きそうになった。

「おいおい、オヌシが保証するようなことでは無いじゃろうが」

「いいえ、ワタシが保証します」

 バチッチッ!

「出しゃばるでない馬の骨!」

「貴方こそ都条例対象のくせに、ワタシは伯父さんの姪ですよ!」

「ワラワは合法じゃ!オヌシこそ非合法ではないか!摘発されろ!」

「間女風情が言ってはいけないことをおおおお!」

「誰が間女じゃ!ワラワは旦那様の相棒にしてロリ奴隷のジョーカー様じゃぞ」

 ロリ奴隷ひっぱるんだ。

「何ですか、ロリ奴隷の方がアウトですよ!大体銀髪に赤い目とかウィッグとカラコンでしょ。合法とか言ってコスプレとか詐欺でしょ!」

「コスプレは詐欺ではないのじゃ!というかワラワのは地じゃ!そういうオヌシは無表情ぱっつんおかっぱロングのモブ顔のくせに!」

「ぱっつんおかっぱロングじゃなくって姫カットですぅ。無表情も加えて個性です!これがトレンドなんです」

「何がトレンドじゃ!地味な恰好しておるし、これが前に話題になったの猫娘という奴かの」

 確かに少し前に猫娘が話題になったが。

「それを言うなら芋娘よ。って誰が芋娘ですか!」

「良いノリツッコミじゃの」

「黙りなさい、このメスガキのコスプレ!」

「♀ガキのコスプレをしておるわけじゃないわ。コスプレでもなければ♀ガキでもないのじゃ!」

「どこがよ。ロリ体形が和服風の着物を着崩してるとかただの♀ガキよ!」

「これは旦那様の趣味じゃ!」

 こっちに振らないでください。———こっちを見ないでください。

 しかしこのままではらちが明かないし。

「とりあえずお互いの名前を知るとして、こっちのいも―――今どきの子が姪っ子の伊佐 鏡美いさ かがみ、今年で17才だったよな」

「はい。伯父さんと最も親しい現役の女子高生です」

「で、こっちのイタイ―――けな女の子が」

「今、イタイって言おうとしたかの?」

「いたいけな女の子が仕事仲間のジョーカーちゃんだ」

「ちゃんはいらぬぞ。それとやっぱりイタイって言って居るよな」

「ジョーカーってなんですか。あと仕事って伯父さん何をしているんですか」

「クリエイター……のお仕事です」

「クリエイター?伯父さんそんな経験ありましたっけ」

 そんな風に目を覗き込まないで。やましいことがなくってもつらい。

「守秘義務があるので―――」

「他人には言えないような仕事ですか?」

「やましいことはしていません。———それより2人の趣味の話とか」

「ワラワは料理じゃな。旦那様にご馳走してあげるつもりなのじゃ」

「ふっ、とか言いながら買い物袋から見えるのは出来合いのつまみばかりじゃないですか」

「今鼻で笑いよったな。今は修行———じゃなくてじらし中なのじゃ」

「ご飯の蒸らしじゃあるまいし、じらしても美味しくはなりませんよ」

「空腹が美味くするのじゃ。そう言うオヌシは何ができるのじゃ」

「ワタシは薙刀を少々、なんでしたら泥棒猫でも狩ってみせましょうか?」

「ふっ、中国人は足の生えているモノはイスとテーブルと猫以外何でも食べると言うらしいが―――」

 その理屈で行くと人間も食べることにならないか?

「猫しか狩れんようじゃ喰るところがあらんようじゃのぉ」

 喰わずとも猫を傷つける奴は許せない。とか言ったら俺が狩られそうなので黙っていよう。本当に人間が食べられちゃう。

「え~~~と、それじゃぁ……この後は若いお2人で―――」


「「お見合いか!」」


 俺に仲人役は無理があります。

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