第六話
世界のどこか、雪深い山奥の小屋。一人の疲れた旅人が、暖かい暖炉にあたり船を漕いでいた。
と、ふと誰かに話しかけられたような気がして目が覚めた。
一体いつから居たのか、目の前に老人が座っていた。老人は旅人を見、にやにやわらってこんな話をした。
ある雪山は死体で出来ている。古来から病の発生を防ぐため、戦で命を失った身体を一か所に集めて捨てていた。やがてそこに雪が降り出したために死体は腐らず、時とともに姥捨山や間引き、流行病の犠牲者たちが積み重なり山となった。そして儂もこの一部になるのじゃ。
老人はそう言うと立ち上がって扉を開け、雪吹き荒ぶ闇の中に消えた。翌朝旅人が探しても彼は見つからず、雪が少し厚くなっていたという。
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