第七話

 世界のどこか、木々生い茂る熱帯魚の棲む水辺。

 流行病の治療のために医者がその近くの村を訪れていた。すぐに患者を診たが傷跡から小さなキノコが生えている。

 こんな病など見たことも聞いたこともない。はてさてどうするかと思っていると、患者が川の水をかけてくれと言う。

 不衛生だと一旦は断ったが、患者の暴れ方が尋常ではない。腕を振り回し大きな声で叫び出す。そこで仕方なく水を汲んできた。

 患者は一心不乱に水を傷口にかけ始めたが、それを見て医者はぎょっとした。

なんと傷口のキノコがみるみる大きくなっていく。加えて患者の体中から皮膚を突き破り小さなキノコがあとからあとから生えてきた。

 肝をつぶした医者は逃げ出し、村には当分寄りつかなかった。

 数年後恐る恐る村に足を踏み入れると、人っ子一人見当たらない。代わりに人間大のキノコが複数、静かに水辺に佇んでいたという。

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