第七話

 死んだ資産家の祖父宅には離れがあった。

 四十畳ほどもある広い和室があったが、本来あるはずの床の間がなかった。

 父はその和室が好きであり、夜よく寝場所にしていたが、朝起きると自分の位置が変わっていた。

 部屋の中央で寝ていたはずが、すみにいる。よく畳を見ると入れ替わっている。

 机や座布団の置かれた場所も見ていないうちに動いた。開け放したふすまは勝手に閉じている。

 あるとき怖い風貌の男達が訪れてきた。祖父は和室に一晩泊めた。

 次の日男達は誰もそこから出てこなかった。祖父に聞いてもお帰りになったとだけ言う。

 ふすまを開くといつもより広くなっていた。

 畳の枚数が増えていた。

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