第六話
ハイヒールが日本で流行り始めた頃、靴音高く歩く婦女子の中に馬人間が混じっているという噂があった。
大抵の人々は時代遅れな話だと一笑に付したが、単なる都市伝説にしてはなかなか飽きられることがなかった。
馬人間は夜歩く。背が高くて獣臭い。コツコツと音をたてる足元をよく見れば、 靴の代わりにひづめがある。人間のように服を着、帽子を目深に被ったそれの動きはぎこちない。
追い越しざまに顔をのぞくと、突き出た鼻に剥き出しの歯茎。紛れもない馬であるそうな。
この噂の真偽のほどは定かでない。しかし夜分ハイヒールを履いて歩く婦女子の中に、馬人間だと罵られ暴行を受ける者の多かったのはどうやら事実であるらしい。
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