第四話

 大きな木があった。

 ある長く美しい髪を持つ女が夫からの暴力に耐えかね、その木で首をくくった。

 生前自分を助けようとしなかった村人たちに呪いの言葉を吐きながら、切った髪を木の枝と首に強く結びつけて飛び降りたらしい。

 文明開花の時代になり、公道づくりのため邪魔だということで木を切ろうとしたが、幹の中から大量の髪の毛が出てきた。根を除こうとしても根元の先端から生えた髪の毛が地中に埋まり、土ごと掘り返す他なかったという。

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