第二話

 魚を生で食うことが得意な人がいた。踊り食いというやつだ。

 彼は金に困ればその特技を披露しておひねりをもらっていた。

 祭りの日、彼はいつものように踊り食いを人々に見せていた。三匹目を飲み込んだところ、彼は急にえづき出した。

 観客がざわめいていると、口から勢いよく魚を吐き始めた。百匹ほど吐いてから倒れたがまだ息はあったらしい。

 観客は近くの家に彼を運んで寝かせた。次の日彼はいなかった。村のどこにもいない。

 すると、その家から何かが出てきたところを見たという者が現れた。

 話によると、その何かの手足にはウロコが生え、顔は魚のようだった。そして四つん這いで動いていたという。

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