第7話

 音楽もダンスも佳境に入ったのか、お地蔵さまがかぶっている笠までも高速で回転し、シュっと止まってはまた高速で回転するを繰り返しています。放たれる光線が光の輪となって飛び回っているようです。


 おばあさんは目をうばわれ、その光景を口を開けて見ていました。ふと笠の上の玉ねぎは何かしら、と気になりました。動体視力をふりしぼって見つめると、それは自分が作った藁の花だったので口をつぐみました。


 そこへ二体のお地蔵さまがごっつんごっつんとふたりのもとへやってきて「YO!YO!」とダンスに誘ってきました。おじいさんもおばあさんも「よ、よぅ」と返してダンスに加わりました。ふたりは最初わけも分からず、お地蔵さまに足を踏まれないようステップを踏んでいましたが、そのうち熱いものがこみ上げてきて、今このシーンが胸を打つ最高のビートなのだと分かってきました。


いつのまにか月のかわりに浮かんでいたミラーボールの光が白い蛍のように上に下にと廻ります。会場は最高潮に達し一体となりました。


そこで音楽が止まり、おじいさんとおばあさんはスチャッと見得をきめました。

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