第498話 馬とタケンコ
1日後。
12月8日。
次の日。サシントン領、ネヴァーランド 厩舎で。
ニコルは厩舎の掃除にやって来た。
『シルフィード、なんかやつれたな。効かなかった?』
『いいえ。効き過ぎました。いい気になって、日頃のご無沙汰を穴埋めしようとして頑張り過ぎました。凄いですね。ワカタカとカブトヤマにも分けてやりたいです。』
『じゃあ、その辺に植えておく?勝手に増えるらしいし。』
『それはやめてください。牝馬に食べられたら、俺達は死んでしまう。』
『それはうっかりしたな。じゃあ、ここに今置いておくから、直ぐに食べさせたら。俺はお前達では行けない畑に植えてくるから。それで、今日来たのは塩をスポケーンに運んでもらいたいからだよ。馬車で言ってもいいから馬が4匹もいれば問題ないと思うけど、どう?』
『いや。ここはやはり馬1頭が200㎏を運んでいきましょう。運動不足ですから。』
『今回は1500㎏だから、7頭か8頭必要になるけど、大丈夫か?』
『勿論です。いつですか?』
『片道5日かかるとして、余裕を見て遅くても明後日には出たい。』
『分かりました。大丈夫です。明後日の早朝に出ましょう。』
『よろしく頼む。アルファが行くから。』
『はい。では、8頭で行きます。』
ニコルはタケンコを3つ地面に残して、厩舎をクリーンで清掃してから、畑へ向かった。ニコルは勿論このタケンコの繁殖性が極めて高い事を知っていたので、土魔法で区切った畑に植え付けた。そして促成栽培で少しだけ根付きを良くして、後は放っておく。
その日の夕方、ニコルは農場の点検をしていると、
『ニコルさん。食べられてしまいました。』
『タケンコの事か?ワカタカとカブトヤマは食べられなかったの?』
『いいえ。2人は食べて、非常にありがたがっていました。俺の分が食べられちまったんです。』
『牝馬にか?』
『そうです。そして、タケンコのことが全員に知られてしまい、もっと用意してほしいと頼むように言われました。』
『今育てているから、暫くかかるぞ。』
『それでいいです。ただ今一つください。プレッシャーに押しつぶされそうなんで。』
『ああ。そら。』
シルフィードは一つ食べて、
『頑張ってきます。』と駆けて行った。
馬も大変だよな。
ニコルは、タケンコを植えた畑に戻ってきて、畑を拡張し、タケンコを傷つけないようにしながら、畑の深い部分を耕して柔らかくした。こうするともっとソフトなタケンコになるのではないかと思ったからだ。そして、促成栽培をかけて、1月ほど先に進める。3か月ぐらいで食べられる大きさになるだろうから、このぐらいからは自然にまかせる。そうしないと、風味が欠けたりする作物もあるからだ。このタケンコ、ニコル自身には、あまり影響がないから分からないが、味は分かる。今度は刺身で食べてみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます