第105話 続 先行投資
朝。
早朝、運動を兼ねて、ターシャと魔獣狩りに行った。今回の縛りは攻撃魔法は無し。ターシャは短剣で、俺は剣で戦った。ターシャは素早い身のこなしで相手を攪乱し、急所を攻撃するのが上手だ。ネリーに似ている。俺はちょっと力に頼り過ぎな気がする。一度正式に習いたい。40匹程狩って終了。ゴブリンはそのまま捨てておいた。オークとウルフは回収した。そして、ダンジョンを100m位ずらした。一日100mだと領境まで80日かかってしまう。1㎞で8日。4㎞は動かさないと。あと1㎞移動しておくことにした。朝でも魔獣は驚かないな。
このころから幻影を使って、軍の監視員にダンジョンが移動していることが気付かれないようにした。
女将さんの手料理は兵士2人組に人気がある。そろそろサービス期間を終了するか。いや、他の兵士にも見せつける必要がある。兵士が来てから二日後ぐらいかな。それから宣伝もしてもらおう。
午後になって、ンーマンが帰ってきた。
「只今帰りました。ほぼ決まりました。ダンジョンができたら冒険者ギルドが管理します。ですので基本的にダンジョンで採れたものは冒険者ギルドに売ります。一般的ですね。相場の値段を約束してくれています。最初は軍隊が討伐役に付きます。これも予定道理です。冒険者が押しかけてきても、宿泊施設や他の施設が足りないので。その間、軍は練習としてダンジョン周辺の魔獣を倒し、その魔獣は換金して軍に入ります。問題ないですね。場所はこの村から400m位離れたところが良いということでした。問題は危険性ですね。ここのところどうですか?」
「街のど真ん中にもダンジョンがあるプラハ街があるから、壁を作るかすれば問題ないと思う。まず、魔獣除けを手に入れた。それでほぼ大丈夫だと思うが、堀でも作るか?ダンジョンと村の間に。」
「魔獣除けがどれぐらい効果的か分からないので、ダンジョンの周りに堀も作りましょう。それかダンジョンの入口に扉を付けるとか。」
「堀の方が簡単かな。」
「では、堀で。」
「いつ軍隊は来るんだ?」
「4日後ですね。」
「分かった。それで家とか畑とか考えたか?村長から許可を貰って来たか?」
「家を建てることにしました。ここに居ない間は冒険者パーティーにでも貸しておきます。」
「素晴らしアイデアだ。今から経済的独立を目指す。場所はもう決まっているのか?」
「この宿屋の隣です。飯を食べに来れますからね。」
「ほー。いいね。それに女将さんの護衛ができる。まあ、ここに居るときだけだけど。」
「そうですね。」
「では、その土地を見に行こう。」
*****
「隣だったな。直ぐだった。昨日宿屋を増築したんだ。あんな四角い家でいいなら簡単に作れるけど。」
「いいですね。すっきりしていて。お願いします。」
「間取りとかを考えてほしいんだよな。何人のパーティーが来る予定だ?4人とか5人とか。その辺だと思うけど。」
「大目に5人にしときます。」
「5部屋、キッチン、トイレ、居間、食堂。風呂どうする?水をだせるか試してみて?」俺が手から水を出して見せる。
「おや、水が出せますね。」ンーマンの手からも水が溢れてくる。
「女将さんもステラちゃんも生活魔法を手に入れて水が出せるようになったんだよ。ンーマンもそうなのかな。風呂付けとくか?一応?」
「そうですね。」
「トイレも2ついるか。」
「そうですね。」
「まあ、こんなもんが一通りなんだよ。後は部屋の大きさとか整地するから線で描いて。ターシャ、整地やってみる?」
「はい。マスター。えい。」
「お、上手いね。」
「ありがとう。マスター。」
「うん、うん。」
*****
「よーし、線通りにいくぞ。土台作って排水システムパイプは太く作って、その上に部屋割りを一気にほい、そして屋根。窓を抜いて。トイレ、トイレの外にも小さい流し、風呂場、風呂を付けて、キッチンに流しを付けて、上には鍋が3つ置ける竈二つ、倉庫と。こんなもんかな?中を見て問題なければこれで固定するぞ。確認してくれ。」
「おおおおお、凄いですよ。想像してたのよりも。ありがとうございます。」
「よし、では、硬化固定。トイレはガラス硬化。流しは陶器硬化。風呂場は陶器硬化。風呂桶には、先ずこのオークの魔石を付けた2つの蛇口を足して、これに水を出すを付与、熱湯を出すを付与。この部屋から出したら崩壊するを付与。全部まとめて陶器硬化。これでいいか。全て排水パイプと繋げたし。しまった。暖炉を忘れた。居間と食堂に暖炉を足して、煙突も繋げた。これでどうだ?」
「ますます凄くなりました。」
「風呂の使い方を教える。此処に蛇口があるだろう。赤が熱湯が出る。青が水が出る。魔力を流してくれ。」
「はい。おお、水が出てきた。」
「これ以上の量は出ないから、ちょっと時間がかかるな。半分ぐらい入ったら、熱湯の方に魔力を送る。熱いから気をつけろよ。」
「本当に熱いお湯だ。」
「適当な量入れて混ぜて好きな温度にしてくれ。風呂桶に入る前に湯をかぶって体を洗った方が湯が汚れなくていいぞ。ンーマンはもうクリーンを使えるだろうから関係ないけどな。二人ぐらいなら入れる大きさだから、のんびり浸かってくれ。丁度お湯をいれたから入れば、といいたいが、先にトイレの使い方も教えるからまってくれ。これがトイレ。こうやって座って使う。内側はガラス化しているから汚れが付き辛いが、使う前に周りに水をかけてくれ、こんな感じ。使った後も水をかけて流してくれ。分かった?裏からスライムを入れておく場所に行けるから、後でスライムを置いておくよ。分かった?」
「はい、大丈夫です。」
「外の流しも水が出るようにしとくよ。言っとくけどあの魔石をこの家から持ち出したら壊れるから盗んでも意味ないぞ。そうしないと盗む馬鹿がいるからな。それやったら、俺は宿屋に戻るから、ゆっくり風呂にでも入ってから来いよ。じゃあな。お疲れ様。」
「ありがとうございました。」
宿屋で。
ここでも結局風呂場と流しに全て水と熱湯が出るようにした。場所柄大きめの魔石で全部やったので風呂の溜まり具合はかなり改善された。お風呂自体が大き目だからな。3,4人入れる。確認したら、女将さんもステラちゃんもクリーンも使えるようになっていた。水いらないんじゃない?まあ、いいや。使い方も説明したし、盗もうとする奴がいるだろうことも説明した。今は二人で入れたお風呂に入っている。クリーンもあるから完璧でしょう。その後、ンーマンの窓と家具を忘れていたので、明日やろう。今日は宿屋に泊まってもらった。
朝。
「お早うございます。」
「お早うございます。」
「皆さん、ベッドの感想を聞かせてください。」
「快適でした。身体もいたくありませんし、いいと思います。」
「私も良かったですよ。同じベッドを入れてください。」
「全然問題ないよー。もう元には戻れないよ。」
「私も問題ありませんわ。マスター。」
「了解です。全てのベッドを同じものに変更します。ということは、宿が12ベッドと2段ベッドが3つ、ンーマンにベッドが5つ、ドレッサーが5つ、椅子が5つ、テーブルが5つ、食堂のテーブルが1つ、椅子が6つ、居間の長椅子が3つか。やります。」
*****
全部終わったよ。2時間ぐらいかかった。いつかソファーを作りたい。俺の糸を使えばできそうだけど、やってみてないからな。今度だな。
「ンーマン、昨日言いそびれたけど、君の家、土足現金にしたら。まあ、ンーマンもクリーン使えるようになったからもう掃除は簡単だからいいけど、貸した人がそうとは限らないぞ。外でゴブリン踏んだ靴で家の中うろつかれるんだぞ。どう思う?」
「でも、強制できないですよね。俺はここに居ないですから。」
「それもそうか。帰ってきてすぐクリーンすればいいか。」
「そうしますよ。そして、一応掃除道具を置いておきます。」
「しかし、皆クリーン使えるようになって良かったよ。すごく楽だろう。女将さんたちなんか特に。」
「本当に。何でもっと早く魔法の練習しなかったのか、悔しくなります。」
「わかります。」
「さてと、俺とターシャは少し仕事をしなくては。ンーマンはどうする?」
「参加します。」
「じゃあ、出発。」
「あまり減らし過ぎても、軍隊に悪いかなと思うんだよ。ターシャ、今魔獣は何匹ぐらいいる?」
「外にいるのが60匹ぐらいで、中にいるのが60匹ぐらいね。」
「では、2人で適度に狩ってください。40匹も減らせばいいと思う。よろしく。」
2人はかけていった。俺は魔獣除けを全て感知、回収した。これをこっちの村の境に撒くつもりだ。グルゴウィル領主は、魔獣が今は全然来ないから、魔獣除けが効いていると思っていることだろう。そう思ってくれないと困る。
「マスター、終わったわ。」
「ご苦労様。」
「では次にダンジョンの移動をしておこう。ターシャ、頼む。」
実は俺がやっているのだが、ターシャにやっている振りをしてもらう。
ズズズズズズズ。
今日も2㎞動かした。あと5㎞ほどだ。明日3㎞で明後日2㎞で完了だ。
「ンーマンもターシャも、これが魔獣除けだよ。青っぽい石みたいだろう。4つづつあげるよ。いつか役に立つかもしれない。さあ、帰ってこの石を村の境界に撒いておこう。」
後でンーマンとターシャが討伐した魔獣は俺が清算しておいた。
グルゴウィル領主城。
「ワルタカ、まだスタンピードは起きていないな。」
「はい、まだ情報は入ってきません。」
「どのぐらいかかる物なのだろうか。」
「環境次第らしいですから、まだしばらくかかるかもしれません。」
「そうか。少なくともわが村の方には来てないようだから、魔獣除けが効いているんだろう。」
「そのようです。メリル領から連絡はありましたか?」
「いや、ないな。何か変化があれば教えてくれるだろう。」
「便りが無い事は問題がないということですね。安心しました。」
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