第98話 リザレクション?
5日後。
俺たちは、ハーシーズ領、領都パークに着いた。マーガレット様の家族がいる街だ。さっさと司祭様に会って、リザレクトをネリーにかけてもらおう。俺はすぐに教会を訪れた。
「お伺いしますが、司祭様にお会いしたいのですが。」
「ご用件をお伺いしても?」
「私の娘が事故にあい、その後目を覚ましません。シスターに相談したら、司祭様のリザレクトならば、奇跡を起こせるかもしれないと伺いました。司祭様にお願いできないでしょうか?」
「少々お待ちください。」
*****
「司祭様がお会い下さるそうです。お嬢様を連れてついてきて下さい。」
「ありがとうございます。」
俺は凄く軽くなってしまったネリーを抱きかかえ、後に続く。
「此処にお嬢さんを寝かせてください。司祭のグレゴリオです。お嬢さんを診させてもらいます。」
「お願いします。」俺は深くお辞儀をした。
グレゴリオ司祭は丁寧にネリーを診て、鑑定などもしているのだろう。
「やってみましょう。しかし、彼女が目覚めるかどうかは分かりません。宜しいですね。」
「よろしくお願いいたします。」
司祭は詠唱を始めた。司祭の体に魔力が高まっていき、発光し始め、ネリーの上には魔法陣が描かれた。俺はそれを食い入るように見る。司祭の声はさらに大きくなり、リザレクトと唱えた。ネリーの体に魔法陣から光が降りかかり、吸い込まれていった。とても綺麗だった。司祭は疲れ切った感じで、手をネリーが寝ている台について休んでいる。
「リザレクトは発動しました。しかし…。」
ネリーの指が少し動いた気がしたが、それきりだった。俺は涙が止まらなかった。
「グレゴリオ司祭様。本当にありがとうございました。ネリーは少し良くなったと思います。そう感じます。お布施は受付でお渡ししておきます。心から感謝します。」
俺は泣きながら、ネリーを抱きかかえると、外へ向かって歩いていった。受付で金貨50枚を寄付し、馬車に戻った。俺はそのまま、街を素通りし、北へ向かった。
林に乗り入れて、焚火を眺めていた。焚火には心を休める効果があるらしい。俺はボーっとしながら考えていた。スレイニー司祭ならば成功したのか?グレゴリオ司祭も凄い司祭だった。たぶん無理だろう。勘だ。人を頼っていてはだめだということか。最後は自分でやろう。成功しても失敗しても。ネリーに謝ろう。ステイタスチェック。
名前:タロウ(仮)
種族:スライム(Huge)small -> medium -> large -> great -> huge -> giant -> gigantic->mammoth->monstrous->behemoth-> mountainous-> mighty->ultimate -> chaos
年齢:0
レベル:76 (冒険者で言えばBの中あたり)
HP:2100/2100
MP:2500/2500
能力:成長促進:71 魔力増進:74 強運:25 異常耐性:101 隠形:102 感知:102 五感向上:102 器用:101 変装:40 体捌き:46
鑑定:69 魔力操作:101 身体強化:102 硬化:90 糸操作:92 糸生成:90 毒耐性:100 毒生成:88 水泳:22 吸着:101(壁でもどこでも移動できる)水魔法:91 火魔法:86 土魔法:96 風魔法:95 光魔法:60 闇魔法:101 生活魔法:53 無属性魔法:76 状態異常魔法:91 呪術:89 魔法耐性:88 隠蔽:57 錬金術:65 解錠:34 罠感知:47 罠設置:37 毒付与:36 神聖魔法:30 剣術:32 短剣術:18 弓術:5 話術:17 詐術:10 斧術:11 馬術:25 槍術:17 盾術:20 兵術:22 武術:25 記憶術:18 木工:8 千里眼:23 投擲:32 鍛治:29 栽培:7 味覚向上:17 杖術:21
戦術:9 念話:12 料理:10 木こり:5 織物:2 刺繍:2 無音:3 賭博:1 時短:1 整理:1 暗視:4 結界:30
種族能力:吸収:63 分裂:72 集合:72 収納:70 物理耐性:100 リサイズ 擬態:56 腐食:22
特殊能力:自由。
加護:ラレイロ(小)
神聖魔法:30ある。魔法陣はさっき見て、覚えた。おれのMPを全て使えばネリーを起こせるかもしれない。やらないより、やって後悔か。他人の命を扱う時に言っていい言葉でもないよな。
俺は馬車の後ろに乗り、ネリーを見下ろす。優しく頬を撫でて、目を閉じて、さっき見た魔法陣を思い出す。それに集中し魔力を集中してゆく。どんどんと流れ込んでいく。まだまだ。今までここまで魔力を込めたことは無かった。頭はズキズキ、ふらついてきた。だが、まだいける。魔法陣が恐ろしく発光しているのが目をつぶっていても分かる。これ以上は無理だ。
「リザレクト」俺は静かにつぶやいた。
ネリーを包んだ魔法陣は輝きながらネリーを包み込む。その発光は遠くからでも見えたことだろう。暗くなった後に俺は目を開けた。ネリーは寝たままだ。
「そりゃ、そう簡単にいくわけないか。ネリー、すまん。」
俺はボーっと焚火を見ていた。ステイタスチェック。
名前:タロウ(仮)
種族:スライム(Huge)small -> medium -> large -> great -> huge -> giant -> gigantic->mammoth->monstrous->behemoth-> mountainous-> mighty->ultimate -> chaos
年齢:0
レベル:76 (冒険者で言えばBの中あたり)
HP:2100/2100
MP:4/2500
能力:成長促進:72 魔力増進:76 強運:30 異常耐性:101 隠形:102 感知:102 五感向上:102 器用:101 変装:40 体捌き:46
鑑定:69 魔力操作:109 身体強化:102 硬化:90 糸操作:92 糸生成:90 毒耐性:100 毒生成:88 水泳:22 吸着:101(壁でもどこでも移動できる)水魔法:91 火魔法:86 土魔法:96 風魔法:95 光魔法:66 闇魔法:105 生活魔法:53 無属性魔法:80 状態異常魔法:93 呪術:93 魔法耐性:90 隠蔽:59 錬金術:65 解錠:34 罠感知:47 罠設置:37 毒付与:36 神聖魔法:40 剣術:32 短剣術:18 弓術:5 話術:17 詐術:10 斧術:11 馬術:25 槍術:17 盾術:20 兵術:22 武術:25 記憶術:18 木工:8 千里眼:23 投擲:32 鍛治:29 栽培:7 味覚向上:17 杖術:21
戦術:9 念話:12 料理:10 木こり:5 織物:2 刺繍:2 無音:3 賭博:5 時短:1 整理:1 暗視:4 結界:30
種族能力:吸収:63 分裂:72 集合:72 収納:70 物理耐性:100 リサイズ 擬態:56 腐食:22
特殊能力:自由。
加護:ラレイロ(小)
何だろうな、このステイタスの変化は。強運、光魔法、闇魔法、無属性魔法、状態異常魔法、呪術、魔法耐性、隠蔽そして博打が上がっている。それもかなり。リザレクトにそんな要素があるかな。想像つかない。やはり魔力を限界まで使ってリザレクトをしたから進歩したんだろうが、神聖魔法は10も伸びた。毎日やれば、いつかネリーを起こせるかもしれないぞ。はー。
そろそろ寝るかなと考えていると、馬車が動いた気がした。ネリーは寝がえりをうたない。馬車を見ていると、後ろの垂れ幕が上がって何かが下りてきた。こっちに寄ってくる。
「ネリーか?起きたのか?!」
俺は立ち上がって行って、ネリーを抱きしめた。今分かった、何故強運と博打が上がっていたのか。
「ネリー、ネリー。よかった。よかったよー、ネリー。上手くいったんだ。神様ありがとうございます。」
「…マスター、痛い。」
「…ネリー?」
「ネリーって誰?」
「……君、誰?」
「私はターシャ。上級悪魔。」
「えっ?」
「えっ?」
「…」
「まさかネリーの体に憑依したの?」
「呼び出されたからね。この体に召喚されたんだから、しょうがないわよね。」
「俺、召喚魔法なんて知らないけど。さっきかけたのはリザレクトだよ。」
「そんなこと言われても、私は召喚陣に凄い魔力で引き寄せられてここに来ただけだから分からないわ。ここどこ?」
「ここはワンディアーナ星の大陸で、ハーシーズ領だな。」
「全く分からない。地球かと思ったのに。」
「地球を知っているのか?」
「それはそうよ。悪魔は地球にしかいないもの。」
「何それ。」
「悪魔を作ったのは地球を管理する神様よ。だから、地球にしかいないの。実験の一環なんじゃないのかしら?」
「じゃあ、何でお前がここに居るんだ?」
「お前じゃなくて、ターシャ。それにマスターが呼んだからここに居るのよ。それに何が、悪魔よ。人間の方がよっぽど悪なやつがいるわよ。あの呼び名変えてほしいわ。」
「ターシャ、この身体は俺の娘のネリーの物だから、返してくれないか?帰ってくれると嬉しい。」
「うーん、どうだろう?この体妙にしっくりくるのよね。普通は私みたいに他の世界から召喚されてこっちの器に入れられると、仕組みが合わないので時間がたつと戻ってしまうの。だけどこの体はそんなことないみたいだわ。既にカスタムされてる感じね。貴方はどうやってこっちに来たのかしら?」
「俺は地球の使徒さんと此処の使徒さんが同僚で、俺を地球から此処に引き渡したんだ。」
「でしょうね。ちゃんと上の方で契約があって転送しているから、その時にここに合うようにカスタムされてるのよ。この体もそんな感じでカスタムされてるから、私の体にも適合してるのよ。」
「ていうことはネリーも地球からきていたかもしれないということか?」
「そうなるわね。」
「それでやっぱり帰ってくれない?」
「それはそうしない方が良いと思うわ。第一にネリーの心というか魂というかはこの体の中に在る。私とまだ話せないけど、その内に出て来たくなるわよ。私たちが楽しそうにしていれば。天の岩戸作戦と呼称します。」
「それ本当にうまくいくか?俺だったら、俺がいなくても楽しそうだったら邪魔しないように出ていかないことにするぞ。」
「根が暗いわね。ドーンと生きなさいよ。人に憚らずに。」
「君、悪魔だよね。」
「そうよ。上級よ。」胸を張る。
「第二にこの体痩せすぎよ。もたないわよ。」
「それは俺も心配していた。」
「第三にこっちも面白そうじゃない。剣と魔法の世界なんでしょう?」
「そうだけど、よく知ってるな。」
「私はラノベとマンガで育った悪魔なのよ。」
「どんな悪魔だよ。」
「悪魔も基本暇なのよ。『デスノート』があったら私が落っことしてたわ。林檎も好きだし。こっちに林檎ある?」
「あるよ。アポーって呼ばれている林檎そっくりな果物が。」
「ふふふ、素晴らしいわ。兎に角暇だから人間界の物に興味があるのよ。悪魔に拠るけど、私はラノベとマンガ。これで実体も持てたし、堪能できるわ。」
「ネリーが戻りたくなったら、ターシャは帰るのか?」
「その時次第ね。ネリーが私を追い出したいか、共存したいか分からないし。最悪マスターに憑依することもできるわね。カスタムボディだし。でも、マスター人間ぽくないわね。」
「俺はスライムだからな。」
「えっ?『転生したらスライムだった件』を地でやってるの。逸材ね。」
「こっちに転生するときにダーツさせられて、スライムが当たったんだよ。」
「変わった神様なのね。面白いわ。」
「あー、使徒さんな。神様にはあったことが無い。」
「とにかく今はしょうがないわよ。私がネリーの体を動かすわ。」
「そうだな。おーい、ネリー、出て来たくなったらいつでも出て来いよ。いざとなったらターシャは俺の分身に入る手もあるし。しまった。ネリーは俺がスライムということを知らなかった。」
「いつかは知ることよ。気にしたら負けよ。」
もしここでターシャを受け入れなければ、ターシャはすんなり帰っていたのかもしれない。しかし、俺も少しラノベ仲間が増えて嬉しかったことを否定しない。
「ターシャはどんなことが出来るんだ?」
「そうね。魅了とか洗脳とかできるわよ。後は普通に大抵の魔法には適性があるけど、今は弱いから大したことないかな。でもカスタムされたボディだから分からない。」
「ステイタスチェック。」
名前:ターシャ(仮)
種族:悪魔(上級)
年齢:12010
レベル:3
HP:100/100
MP:1000/1000
能力:成長促進:5 魔力増進:5 異常耐性:5 感知:5 変装:40 物理耐性:5 魔力操作:5 身体強化:5 魔法耐性:5 隠蔽:5 洗脳:10 魅了:10
種族能力:水魔法:5 火魔法:10 土魔法:5 風魔法:5 光魔法:5 闇魔法:5 状態異常魔法:5 無属性魔法:5 飛行:5
所属:タロウ(仮)(仮)
「おお、かなり強いぞ。まだレベル3だけど。MP1000もあるし。HPも100あるから安心だし。」
「さすがステイタスチェックは異世界必須よね。」
「助かってます。試しに魔法を撃ってみてくれよ。上に向かって。魔力1000も興味あるし。」
「そうね。威力は知っておかないと困るわよね。私は火魔法が得意だったから、ファイアーボールでも撃ってみるわ。」
「楽しみだ。」
「行くわよ。ファイアーボール。」
ターシャの手からファイアーボールが飛び出して上空に行くと、
ドッッガガーーン。
猛烈な爆発を引き起こした。
「何だ!」
「何で?」
二人して爆風で吹っ飛ばされそうになる。ステイタスチェックをすると魔力のほとんどが使われていた。
「おい、危ないだろう。」
「私が昔全力で打ったファイアーボールなんて街で売ってる花火ぐらいだったのよ。魔力1000近くも使ったからだわ。」
「次は加減してくれよ。気が付いたら街が無かったなんて嫌すぎるぞ。」
「分かったわ、今後気をつける。」
「そうしてくれ。」
後は俺の今の状況を軽く説明した。
「ばれないようにしているんだ。人に優しくして、いつか人間になろうとしているの?」
「ここの使徒さんはダーツで決めるから、それはない。ただ、おとなしく人生を謳歌しようというのがコンセプトだ。」
「分かったわ。協力するわ。上級悪魔の名に懸けて。」
「よろしくお願いします。今夜はもう寝よう。」
「ベッド一つだけど…。」
「俺は基本寝る必要が無いけど、ネリーの為に横になっていた。」
「悪魔は寝なくて平気だけど、この体は睡眠が必要だから、寝るわ。襲わないでね。」
「心配するな。ネリーを傷つけたりしない。とっとと寝ろ。俺はスライムの形に戻る。」
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