第3話 野生の生活開始。

野に放たれてから二日目になった。


3時間たった。寝てないが目はつぶっていた。昔母に、『眠れなくても目はつぶっておきなさい。疲れが違うから。』と言われたからだ。今はスライムで疲れずらいけど。


洞から外を見ると、いろいろと表示される。面白いが情報が多すぎると困るので一時鑑定を解除しよう。自動的に集中したときだけ見えるようになるだろう。


さて今日は何をするか。このあたりの探検だろう。感知を使いながら移動する。移動中に見つけた薬草は体に保存しておく。

河原に出た。

水は飲めるのか試すと、普通に飲める。水を保存してみるとこれもできた。便利だ。石を拾い投げてみるが、攻撃できるほどではない。下手に人間にでも見つかれば、すぐ殺されてしまうだろう。怠けていたら、即死亡だ。今こそ怠け者を卒業するとき。やるぜー。


一番先に鍛えたいのは物理耐性、出来れば魔法耐性もだ。物理耐性を鍛えるにはレベルを上げるのも一つだし、攻撃を受けまくればよいのではないかと思う。スライムだから核さえ護れば復活できそうだし。本当なのか?まあ検証したいが、怖い。

先ずとがった木の枝を探し、身体を貫いてみる。これだ。その前に、近くの高さ20㎝程の石によじ登り、頭から落ちてみる。ふむ、痛くない。少しづつ高さを上げていき、とうとう2mにチャレンジ。これも全く痛くない。崖を発見。10mはあるだろうし、下は土や草だとおもうが、あえて石の上に落ちることにする。ぽむ。生きている。体重の軽いこともあるかもしれないが。

いよいよ、枝で自分を刺す。最後に刺されて死んだときの恐怖を少し感じるが、今はスライム、度胸だ。

グサッ。

痛くないな。暫くこのままでいよう。体液が出るわけでもないようだ。枝から身体を抜いた。やはり痛くないし、跡もなし。自動で感覚を遮断しているのか?スライム最高!日本にいるときもスライムだったならば…。

今度は刺した状態で、体を横にずらして、身体を引き裂いてみる。斬られたら、こんな感じになるだろうし。

おりゃー。グサッ、ズシュ。

身体が途中から半分に裂けたが、大丈夫。ナイス。次はハード。身体を真っ二つにする。分裂があるから大丈夫だろうとは思うが、どうなんだ。半分のサイズになるのか?また、合体できるのか?ちょっとビビッて、こんな実験必要ないのでわと言い訳してしまう。悪い癖だ。実行しない言い訳を自分に言って、逃げを打つ。今まで十分後悔してきただろ。やるなら、今でしょ。

俺のテンションはマックスだ。今ならやれる。と思ったが、どうやったら真っ二つにできる?刃物があれば簡単にできそうなんだが、枝でできるのか?まあ、失敗してもいいじゃないか。スライムだもの。

というわけで、自分の体より大きな枝に飛び込むことにする。その前に、核を身体の端に移動させないと、不味い。その練習を始めた。

最初は核自体を感じることができなくて、どうしようもない。ひたすら集中して感じる練習をする。自分の心臓を感じれる奴がどれくらいいるっていうんだよ。ヨガの大先生ならできるかもしれないが。頑張った。つい他のことを感じてしまう。魔力だとか気配だとか。ステイタスチェックしたら、感知がレベル2になっていた(魔力感知と気配感知は感知で統合されてるようだ)。それぐらい頑張った。この日はただひたすらこれで終わり。塒でも続けたが…朝。全然感じられない。

気分転換にステイタスチェック。感知さらに上がって4。本当?外に向けて感知発動。おー、凄い。今なら半径12メートルの気配も魔力も感知できる。これは大きく安全に貢献。毎日続けよう。

物理耐性も2に上がっている。

五感向上も2に上がっている。ナイス。


考え方を変えよう。

核自体は感じられないが、核には魔力があるわけだから、感知できないか?

内に向かって魔力感知を発動する。感知範囲を自分の身体の入っている円にしてみる。おお、魔力がある。円のほぼ中心に魔力がある。もっと円を小さくしてみる。その中に魔力の玉がある。それをじーっと観察する。感知範囲をさらに小さくして、魔力の玉と同じぐらいにする。じーっと感知に集中する。魔力の円が小刻みに明暗しているな。暫く見ていると、リズムがあるようだ。成程、これがラノベで魔力を見て個人を特定する方法なのか。指紋みたいに同じものは無いとか言っちゃうのか。しかし、かなり難しいよな。このリズムとパターンを暗記できるのか?あ、このパターンは太郎だよ、なんて俺には難しい気がする…いや、ここで自分に限界を作っちゃいかんだろう。できる。やればできる。さもなくば、他の方法があるに違いない。これは宿題。兎に角核を動かしてみよう。

うおー、難しい。核がそこの円の中にあるのは分かる。だが、その中にある核をフィジカルに感じられるかといったら、無理でした。そうだよな。俺だって心臓がどこにあるかわかってても、それを感じられないよ。振り出しに戻ってきた。


気分転換に薬草採取と鑑定のレベルアップしに行こう。

感知もアップしたので活用、五感向上は常に活用、片っ端から発見、調べて、食べて、収納しまくった。薬草だけでなく、食べられる植物も手に入れた。ジャガイモみたいなジャーモ(弱毒性)や、大蒜(ニャーク)強壮剤と消毒等。うれしい発見だ。


夜、塒にて。

再チャレンジタイム。

目を閉じて考える。別に、スライムなんだから、核だけ動かさなくても、もっと全体的に、内部全部動かしても大丈夫じゃないか?人間なら無理だが、スライムだし。透けて見える限り内臓とかないし。

これも難しいが、腹を引っ込めようと思えばできたように、身体の形を先ず色々変えてみる。伸ばしたり、扁平になったり、縦横斜め。少し動いているが大体どんな時も体の中心にある。ダメだな。

ぼーっと考える。自分で動かせないなら、だれかに動かしてもらえばいいか…魔法か?魔力を身体にめぐらして身体強化したらできるか?試してみる。魔力は感知はできるので、魔力を身体中に広げて、体の中を血液のように流す。これは簡単にできた。血管のイメージはあるし、魔力は感じるし。いい気になってぐるぐるどんどん高速にしながら、ボーっとしていた。


朝になってました。何時間ボーっと魔力操作していたのか知らない。

ステータスチェック。一気に

魔力操作 4

身体強化 4

ぐるぐるの御蔭でしょう。これも続けた方がよさそう。


最後に思いつくのは器用だ。外に向かって触手を伸ばせるならば、内側にも行けるのではないか?先ずは外へ触手を伸ばし、それを内側に反転するようにしてみる。触手が引っ込んでゆく。核に向かって手を伸ばすように頑張っていくと、核に触れた感覚。よし。押してみよう。少しづづだが動かせる。しかし大変すぎるし、気持ち悪い。とてもではないが核を動かしながら、戦闘ができるとは思えない。俺のレベルが上がれば、もっとうまくできる気がするので、毎日続けるが、レベルアップを優先することにする。


レベルアップと言えば、スライムで吸収があるわけだから、兎に角食べることだろう。身体強化の御蔭か十分早く移動が出来るようになってきたので、狩りに出発だ。


まだ弱いので、先ずは攻撃されない植物や茸、鉱物等片っ端から食べました。この世に無駄なものなどない!


午後になって、蟲や小魔獣も視野に入れる。

人の手のひらサイズの毛虫を発見。結構な数がいるが、飛び込んで行って吸収。鳥に食べられないのかと思っていたが、結構な毒棘の持ち主、だが俺は異常耐性持ち。ごちそうさま。

さらに大きな芋虫を発見。これは手のひら三つ分ぐらいあるか。寄っていくと、口から糸を吐き出し、攻撃してきた。なんとか身体を扁平にして避けると、糸は後ろの木に巻き付き切り飛ばした。おお。更なる攻撃を倒木を利用してかわし、なんとか芋虫の右側へ、そして吸収しようとしたら、芋虫の体側からも糸が飛び出して下半分が切り裂かれた。吃驚している暇はない。俺の体はその分低くなってしまって、下手したら次の糸攻撃が核に当たりそうだ。俺はとっさに触手で芋虫を押し離すと、芋虫は傾いた分だけ糸は俺の頭の上を掠って越えていった。危ねー。この隙に後ろに回りこんで、後ろから吸収した。皮も結構硬かった。

だめ。反省。完全に運で生き延びた。よく考えれば弱いくせに俺には武器が無い。冒険をして失敗してもいいが、準備はしっかりしとかないと後悔する。俺の武器になりそうなのは何があるか再確認のためステータスチェック。




名前:タロウ(仮)

種族:スライム(Small)small -> medium -> large -> great -> huge -> giant -> gigantic->mammoth->monstrous->behemoth-> mountainous-> mighty->ultimate -> chaos

年齢:0

レベル:3

HP:8/14

MP:12/15

能力:成長促進:1 魔力増進:1 強運:1 異常耐性:2 自由、隠形、感知:5 五感向上:5 器用:1 変装、体捌き。

鑑定:5 毒:1(ジャーモ、茸、毛虫からか?) 魔力操作:4 身体強化:4 硬化 (今の芋虫からか鉱物からか?)糸操作(芋虫からでしょう)糸生成

種族能力:吸収:2 分裂、集合、収納:3、物理耐性:2 擬態:1(吸収した物に擬態できる)

加護:ラレイロ(小)


使えそうなのは器用からの触手、毒、硬化、糸操作ぐらいか。

どれも鍛えれば使えそうだ、なんといっても今死にそうになったからな。あの芋虫をさらに探して食うか、鍛錬するか…鍛錬一択だ。準備大切。


先ずは糸を出してみる。先ずは口から。スパイダーマンとさっきの芋虫のイメージがあるので簡単に達成。1m程先の直径3センチ程の枝を切ってみる。余裕。次は直径10センチ。これもOK。15㎝は切れるが何とかという感じ。次は距離のテスト。5m先の枝。届くが切れない。2m先の枝。OK。3m先の枝。何とか切れる。試しに魔力を通せるか実験。身体強化の延長で糸にも魔力を流してみる。3m先の枝、スパっといった。5m先の枝、問題なし。7m先の枝。完全には切れなかった。今は俺の魔力も多くはないが、将来は素晴らしい武器になると確認できた。罠にも使えそうだし、触手の先からも糸を出せたのも嬉しい。今は触手を二本出せるので二刀流ができる。大満足だ。MPが10に減っているので、魔力増進が有ってもまだ使いすぎは気を付けよう。


次は触手を強化。触手の先から毒を出してみる。じわって感じだが、もっとこうブシャって感じにしたい。2時間訓練を続け、風呂掃除洗剤みたいにできるようになった。さらに訓練を続け、水鉄砲みたいにもできた。成功。使い道ありそうだ。

何種類も毒が選べるのかと実験。鑑定によると:

神経毒:吸収後神経を冒す。呼吸困難や痺れなどを引き起こす。

実質毒:吸収後内臓を冒す。

腐食毒:接触した細胞を冒す。

血液毒:吸収後血液を冒す。一酸化炭素中毒等。


強力な武器を手に入れた。

今度は触手をとがらして硬化させ樹を攻撃してみる。身体強化との併用で10㎝ぐらいの幹なら貫通できた。地獄突きが生まれた。1000回ほど練習して自信を付けた。これも毎日しよう。 

これで、地獄突きからの毒注入コンボができるはず?弱そうな獲物から始めよう。


さっきは完全に忘れていたが、隠形スキルを活用すべきだろう、弱いんだから。

五感向上と感知も発動して、次の獲物を発見。こっそりと覗き見ると、大きな蜘蛛が巣に止まっている。タラバガニの様。鑑定してみると、レベルは5で明らかに格上で毒耐性ありだが、相手は全く気が付いていない。触手をググっと伸ばし、死角であろう後ろ側からお尻(腹部?)を狙う。触手の先端を尖らせ硬化。もう一本の触手も同様にして、自分の体の前に待機させておく。魔力を高速回転させて身体強化、

(おりゃあ!)

お尻への第一攻撃は貫通しなかったが十分に刺さった、と同時に神経毒を注入した。その時蜘蛛は巣から飛び離れてこちら側に頭を向けて、何かを吐きかけてきた。横に飛びながら、2本目の触手で蜘蛛の口を攻撃した。口の中を貫けなかったが、腐食毒をブシャと顔にかけてやる。上手くいけばそのまま死ぬし、だめでも目くらましになるだろう。そのまま横に回り連続で触手で刺しまくった。毒も効いたのか、蜘蛛の動きはゆっくりとなり、そのまま動かなくなった。


深呼吸。


生き残った。怖かった。最初の一撃が効いたからこその勝利だと思う。次も上手くいくとは限らないな。蜘蛛を吸収してやっと落ち着けた。蜘蛛の吐いた物はやはり腐食毒で、地面が変色している。躱して正解。

ラノベでいつも敵を倒した後に何故とどめを刺さないのかとか必ず首を切り落とせと思っていたが、戦いの後にそんなに冷静ではいられなかった。気が抜けてからの吸収。いかんね。止め、吸収、それから脱力しないと。反省。それに、今思うと、毛虫や芋虫等ももっと慎重に扱うべきだった。今生きているのは運が良かっただけだな。


ステイタスチェック。

おお、やっぱり最初はレベルが上がり易いな。レベル4になった。

HP:18/18

MP:20/20


異常耐性:4 

毒耐性:5 (異常耐性から独立したのか?)

毒生成:5 (複数の毒を持っていたのと、蜘蛛のスキルか?地球からの知識もあるか。)

糸操作:5 (巣が張れる。ねばねばした糸も出せるようになった。多様な糸を作れる)

器用:5

硬化:4

隠形:2


次の獲物を感知、湿った窪地を覗き込むと、カラフルな蛙がいる。30匹ぐらいか。赤、青、緑、蛍光色だ。蛙は自分とほぼ同じ大きさ。見るからに毒持ち。俺は毒専門スライムになるのか?それも良い。


蜘蛛と同じレベル5。行けそうだが、流石にここに突っ込んでいくのは、反省してないだろう。確実に勝てるようにしなくては。俺は3つ大き目な網を粘着糸で作り、こちら側にセットした。反対側に回り込み、強糸で大きな網を作り、触手を使って広げて蛙達に投げかけた。蛙は最初たいして反応しなかったので、さらに網をいくつもかけていった。本当に野生の蛙なのか?その上に乗った俺は触手で蛙達を確実に仕留めていった。蛙は逃げるに逃げられず一網打尽となって吸収された。大漁だ。たぶん蛙達は交尾のシーズンで他のことには気が回らなかったのだろう。生物は食事中、排泄中、交尾中がもっとも無防備というしな。気を付けよう。勝って兜の緒を締めよだ。

粘着網を吸収した。マナーだからね。


その後更に毒ガエルを発見して吸収した。根こそぎとりつくすことはやめて、ある程度残しておいた。欲張り過ぎは良くない。


ステイタスチェック。一気に上がった。


レベル:6

HP:30

MP:36

毒耐性:9

毒生成:9

糸操作:9

器用:8

硬化:6

隠形:6

水泳:3 (使えるのか?)


今日の狩りは終了。帰って日課の鍛錬をして寝た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る