「なろう系」とは何か

「なろう系」とは何なのでしょうか?


 この問いは、Web小説発の小説が、アニメになることが珍しくなくなった頃など(2016年~辺りからでしょうか)に、私は初めて考え出したような気がします。


 その頃から、「なろう系」の作品は、マイナーチェンジを繰り返しながら今も存続しています。その構造は基本的には同じです。


 主人公は現代の日本人で、辛い現実があるなどし、トラックにひかれる。そして女神に同情され、異世界に転生することになり、その際、なにかのスキルを与えられる。それが「チートスキル」だったり、「外れスキル」だったりなどは、色々あり変遷がありますが、基本のフォーマットは変わりません。


 主人公は異世界の中で冒険をして苦労して能力を得るのではなくて、「誰か」からなのです。


 そしてこれらの作品群を考えるにあたって、私はこの「貰い物の能力」というのが、「なろう系」を端的に表していると考えました。


「なろう系」の作品というのは、基本的に構造がすべて同じです。それは本当に判を押したように、どれを見ても同じように転生するし、その転生先は大体中世ヨーロッパ風(ナーロッパなどと呼ばれます)だし、「レベル」とかいう概念があるし、「スキル」とかいう概念も当然のように存在します。


 そして、これらの構造は、みな、「貰い物」です。つまり、かつてのファンタジー小説、「ゲド戦記」や「指輪物語」などとは違い、自分で一から世界を作っているのではなくて、誰かが作ったフォーマット、共通分母の多い異世界へのイメージ、世界観(ドラクエやFFなど)を借りているのです。

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