第4話 領地への道中

ガラガラ……ドシン、ドシン、ガラガラ……。


馬車の進む音と人型兵器の歩く音がする。

馬車の窓から見える景色は歩く魔動人と農民達が四角い畑を鍬で耕しているとことか道に沿って切り開かれた森とかで変わり映えはあんまりしない。

人型ロボットを除けば中世の空気感って感じなんだろうね。

The田舎。

道もコンクリじゃないから魔動人はちょっと馬車から離れたところ、道じゃないところを歩いてる。まぁコンクリでも重さに耐えられるのかは知らないけど、ギリギリ耐えられそうかしら。


「どうでしょう、リバーシやチェス、絵札やTRPGと呼ばれるものなんかをして過ごすのは。過去の勇者様が作ったものと聞いてまよ。勇者様は戦いに強いだけでなく農法や娯楽を授けた存在と言われています」


「あぁ、転生テンプレね……」


やるわね、転生者。


「やらないわ。それで、領地まではどれくらいなの?」


「暗くなるまでにはつきますよ」


護衛の馬車や空飛ぶ大鷹や人型ロボットを連れた陣営を率いる馬車の中には護衛のメイドさんと私とレイナだけだ、護衛のメイドさんは私を確認できないからただ黙々といるかたまにレイナに相槌をうつだけだ。このメイド、プロフェッショナルね。


「結構かかるのね……まぁこの遅さじゃしょうがないけど……」


馬車は思ったより速いが遅い……という感じ。人型ロボットの感動も薄れてきた。


「これでも速い方なのですけれど……辺境伯の馬車なので、当然、先触れもあり、道は独占なのですよ?」


高速道路貸切みたいなものね。

さすが階級社会。

と言うかこんなに護衛いる?

中世だし治安悪いか……街の外に法とかなさそうな感じよね。


「でも商人は通してあげなさいよ……。まぁ車に比べたらね……それにこれ揺れすぎよ。魔動人の音、というか振動もあるし」


ガラガラというよりガタガタよ。ガタガタドシンドシンと……。

私が幽霊じゃなかったら尻が裂けてること確実ね。あれ、馬車にはスプリング導入は転生者のテンプレよね……でもそう言うのもなさそうね。


「クルマ、ですか?」


おっと、クルマに興味があるらしい。

なかなか可愛く聞くじゃないの、レイナはループしている人とはいえ一応見た目は5歳児の幼女である。


「こっちの、なに、まぁ鉄の馬車よ。馬を使わず、爆発を回転に変えて走るの。燃料はいるけど馬要らずよ」


私が発明したわけでもないけどこうやって異世界で前世のことをドヤれるのは転生者の特権ね。新大陸で未開人だ〜ヒャッハーするような人にはならないようにしないと。

まぁこのレイナが許さないだろうが。


「ほう、爆発ですか? 銃みたいなものでしょうか」


「銃はあるんだ? それでも巨人に勝てないのか〜」


「いえ、ま、ありませんよ……大砲はいくつかみたことはあります。巨人に有効打を与えられることもあるそうですよ」


まだと言おうとしたのね。いずれ装備するようになると。メイドがいるからあまり言いづらいのかしら。


大砲に耐える程度の戦闘力を持つ巨人ねぇ……。


あもやっぱり巨人の話は暗い顔をするねぇ〜。

まぁドシンドシンと馬車の周りを歩く魔動人の持っている武器は剣と弓だったから銃に関してはお察しね。


「まぁまぁ、クルマのはエンジンって言ってね、銃や大砲とは違うわよ。エンジンがないって事は、列車とかは通ってなかったり知らなかったりするのかしら」


「エンジン……列車……我が国にはないでしょうね。北方の島国にはあると言う話は……」


「北方の島国は進んでるのね…」


「彼らには余裕がありますから」


まぁ後方国家も後方国家ならばいろんなことができるわよね。前線にはいろんなものが売れるだろうし……うーん、気になってきた。


「お船とかってどうやって進んでどれだけ大きいのかしら? 川とかで使ってたりする?」


「外洋のお船は多分、そうですね、80メートル程度の帆船ですよ」


「大鷲とかって荷物を運んだりするのかしら?」


「いえ、大鷲は人を乗せるので精一杯ですよ。手紙など簡単なものは運びますが……」


「はぁ、やっぱり気になるわね。」


「なんです?」


「その割にはあんなものを運用できてるのはどうしてよ?」


そう言って私は魔動人を指差す。


「?」


全く理解できない感じで返された。

私はつい熱くなった。


「あんな代物、とんでもなく物資とリソースを消耗するでしょう? あんな動く鉄とかパイロット育成とかそもそもどうやって動いてるのよ。燃料は? 整備は? なんであんなのがあって畑は人力でこの馬車で、車も列車もないのよ!? しかも船は帆船? ありえない!? どういう物流よ」


私は大事なことなので物資にリソースと頭痛が痛いみたいな言い方をした。


「物流?」


何度もループしてる癖に、私にわからないことを尋ねるときはただの可愛い幼女だった。



馬車……この国にはスプリングもない。鉄道もない。


魔動人と一般の技術格差

(貴族制かつ対巨人へのリソース特化の弊害、軍事技術の民間利用が広まってない)

農法なんかは比較的近代的、土地は整理され、クローバーや豆類つかってます。

ボドゲもあるよ。

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