二冊目【脳内ビジュアルを強化する+αの本】
『中国時代劇歴史大全』扶桑社
その他、中国時代劇ドラマ&映画ガイドブック
中国制作の古代から現代ものドラマなど100本以上を紹介するガイドブック。いわゆる「ムック」で人気俳優のピンナップがついていたりします。
資料といえば学術系の書籍と考える人が多いかもしれませんが、ビジュアルを思い浮かべて書くタイプだと文章メインの書籍のみでは情報が足りません。書きたいジャンルのドラマや映画などは見て損はありませんし、見る数が多ければ多いほど、頭の中で自在にビジュアルを思い浮かべられるでしょう。
そこでこのガイドブックです。
ドラマの内容くらいwebでわかる、とお思いでしょう。
私は最初はそう考えていました。でも実際にwebで探すとなると、個人のブログならおすすめ数作のみ、動画配信サイトなら膨大なうえにジャンル分けもあまりない。ジャンル分けされていても「ラブロマンス」「歴史ドラマ」みたいな感じだし。何を見ればいいのか。時間が有り余っているわけではないので、片っ端から見るようなことはしたくない。
特に自分が知りたかったのは、どの時代をベースにしたドラマか、なのですが、配信サイトのあらすじなどを読んだだけではわからないのが大半です。そもそも史実をベースとしない完全ファンタジーも混ざっています。
前述の本で設定がふんわりと決まり、唐~宋くらいの文化で書きたいと決めていたので、該当するドラマが見たい!
この本を買うと決めたのは時代別にドラマを紹介しているページがあったからです。
三国志前後の時代は6作
南北朝~唐~宋は14作
元~中華民国は13作
各作品紹介には、「前漢」「後漢」「南北朝」というふうに明確に記されています。
そして、時代分けごとの歴史年表、各時代の特徴、地図、政治や文化の解説が4Pにわたって図入りで書かれていて初心者には超便利! こういう史実がコンパクトにまとまっているものはwebではなかなか探し出せませんでした。
ドラマの紹介ページの写真で時代ごとの衣装などがわかるのもとても良い。
時代設定が明確ではないドラマもたくさんあり、時代別ではなく「異世界もの」とか「男装ヒロイン」とかジャンル分けで紹介しているページも多いので、時代別紹介はごく一部です。
ただ巻末には
「中国歴史人物伝」~よくドラマに出てくる人物 4P
「中国時代劇映画セレクション」~映画を時代別に紹介 6P
「中国時代劇史跡めぐり」4P
「中国時代劇ドラマ用語集」2P ~「中原」「江湖」などドラマでよく出る用語解説
巻頭ピンナップは
「中国歴史年表&最重要人物相関図」
というふうに、ドラマ紹介以外の役立つ情報もたくさんありました。
このガイドブックは毎年出ているようで、最新版は2024年度版です。私が所持しているのは2023年度版なので内容は大きく変わっているかも。
また、似たようなガイドブックが何種類かあって、Amazonでざっと調べたところでは
『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』キネマ旬報
『中国時代劇完全ガイド』COSMIC MOOK
などなど、複数あります。
書店に行ける人は実際に内容を見て選ぶのが良いでしょう。私はweb通販で購入しましたが、書店では芸能人関連の雑誌コーナーで見かけたことがあります。
中華ものと言っても、ファンタジーや架空の国設定なら、史実を気にしすぎなくても良いのでは、という考え方もあると思います。私も架空の国設定で書くと決めたので史実とは違うのですが、ある程度把握していないと詳しい人が読んだときに違和感だらけにならないか、と。違和感はノイズになります。
たとえば武士が活躍する和風の話を読むときに、戦国か江戸時代か未来SFかくらいは気になります。
幕末の設定で、武士が太刀を持っていたら「ん?」と思います。幕末は短めの打刀が多かったので。読者が「なんで太刀持ってるんだ」と疑問に思ってしまうと、それがノイズになります。書いている側が知らなければ最後まで説明なしです。でも知っていて太刀を持たせていたら、そこに理由ができキャラができます。たとえば「流行りに染まりたくない」「使わない飾り」「先祖代々伝わる刀」など。
なので、ノイズをできるだけ発生させたくない、場合によっては活かせるよう情報を得たいと思いました。いろいろ混ざっているファンタジーではなく、時代が明確なドラマを探したのはそのためです。
ちなみに、華流ドラマを見ていると「サンザシ飴」という食べ物がよく出てきます。
串団子みたいに串に赤い実がいくつも刺さっている屋台売りの飴です。
見ていたドラマにも出てきたので、かなり昔からの食べ物なんだな~と思っていたら、どうやらそんなに昔のものではないようで。webで調べた限りだと、唐の時代に流行っていたとは考えにくい。
え、じゃあなんで唐代設定のドラマで出てきたんだ?
と思いましたが、ドラマを作る側はわりと適当に、昔からおなじみの食べ物として出しているみたいです。それにその時代に食べていた記述が残っていなくても、サンザシの実自体は存在していたでしょうから、架空の国の話なら「ここでは既にあった」としてもおかしくはないですね。
そんなわけでかなり悩みましたが……サンザシ飴を、そのまま作中に書くのはやめておきました。が、せっかく調べたので、その情報をもとにほかの形で書きました。
TVドラマは服装や建物、文化など把握して脳内でイメージするのに本当に役立ちましたが、ドラマなのでフィクションも混ざっている前提で見た方がいいですね。
私はNHKの大河ドラマが大好きですが、史実をベースにしながら「if」で意外な人との繋がりを描く、史実にはないけど、存在しなかったという記述もない。あの感覚で中国時代劇も見ています。
実はこのガイドブック、ほかの使い道でも大変役立ちました。
それは、人名です。
中華ものを書くにあたって、人名をまずはwebで探しました。
「中国 人名」で検索すると、現代の名前がたくさん出てしまいますし、昔の名前と最近の名前が、正しく判別できているか自信がなくなります。日本でたとえると戦国時代の話なのに「翔平」みたいになってしまってないか……という。
そうなるとやはり、歴史ドラマで探すのが確実なわけですが、これもまた探しにくい。ドラマ探しと同じで、配信サイトに華流ドラマがまとまっていても、人名はいちいち各紹介ページのあらすじを見なければなりません。簡単そうで意外と手間なんですよね。
そこで書籍ですよ。
ペラペラめくって探せる書籍のメリットが最大限活かせます。
見開きで4~8本くらいドラマが紹介されていたら、そこにそれぞれの人名が出ています。適当に組み合わせて使えます。これは本当に重宝しました。
手元にあるのは一冊ですが、かなり役立ったので、ほかのも買ってみようかなと考えているところです。
おおまかな時代設定も固まり、脳内でビジュアルをイメージする準備も整ったところで、より詳しい資料がほしいな……と図書館で何冊か借りました。ガイドブックの便利さでもわかりましたが、書籍は見開きで読みたいところをすぐ探せるし、ビジュアルが豊富。文章のみじゃなく資料になる図や写真がある学術的な本はないか。
Amazonで調べると、各時代ごとに何冊も出ているシリーズが何種もあります。そのうちの一冊が、政治、文化などを豊富な図や写真と共に幅広く紹介していて、とても役立ちました。次回はその本を紹介します。
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