第18話 カカカカカカ、カァ~!!
冷静さを取り戻し周囲を見渡すと、リューファンやレイメント、ドル、ヨハン、サルンサ、そしてシルバーフォックス達までもが、ドン引きした表情を浮かべている。
いや、シルバーフォックスの中には、昨日、レイメントやリューファンに見せた服従の姿勢を取っているモノ達までいる。ええ~、私にはそんな姿勢をとる必要はないから~💦
無茶苦茶恥ずかしい。きっと、顔が真っ赤になっていると思う...。
ゆでタコさんだよ💦
そんな私に対して、サルンサが「何だい、あんなに冒険者の野郎達から猛アプローチを受けてきたモーリー様が、一人の男のために命を懸けるなんて...いじらしいじゃないかい」と、にやにやと悪い表情を浮かべながら私に話しかけてきた。
う、ううう...恥ずかしい💦私が顔を真っ赤にしてオロオロしていると...。
「冗談だよ、冗談。本気の恋というものは、そういうもんだよ。私だってハントが一人でバリジン森林地帯に向かおうとした時、危険を顧みずに付いて行こうと決めたんだ。ごめんよ、からかって。私とあんたは同じだよ。これからも仲良くしておくれよ」と、サマンサが汚れない目で私を見つめてきた。
サマンサ...。えへへへへ。何だか...嬉しい。
「あとは、あの鈍い子にあんたの気持ちをどう気づいてもらうかだね。だけど、ハントと同じくらい鈍感そうだし...ライバルも多そうだよ...」と周りを見渡した。
ライルく~ん、私の気持ちに気がついて~💦
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「橋付近で何があったかと言われてもな...」と、ハントはサマンサの尋問に対し、オロオロとした表情を浮かべる。そしてハントの視線は、ジュリーダ牧師様やソフィーナの方へと移り、その瞳は明らかに助けを求める子犬のような哀愁を漂わせていた。
もう、話の中心は、シャドークロウたちを連れて帰ってきたハントたちへと移り変わっていた。
何だかんだとしているうちに、朝日がすっかり昇り、心地よい風が頬を撫でていく。う~ん、暖かくなってきた♡小鳥さんたちも、暖かな春の陽気に心を躍らせ、ピーチクパーチクと賑やかに
そんな中、サマンサの尋問に耐えているハントに対し、ソフィーナが静かに手を差し伸べた。
「ふふふふ...。それほど大したことではありませんよ。偶然にも、シャドークロウさん達と橋の近くで出会い、少しお話をしたら、お互いの想いが一致して...。シャドウクロウさん達の問題を解決することが前提となりますが、彼らは私たちを向う岸、つまりバリジン森林地帯へと案内することを約束してくれました。ねえ皆さん?」
ソフィーナは、ライル君達の後ろに控えているシャドークロウに対し、微笑みを浮かべながら言葉を投げかけた。
すると、ソフィーナの後ろに控えていたシャドウクロウ達は、"そうです、その通りです!"と言うかのように「カァーカァー!」と鳴いた。
さらに、ソフィーナは「でも、ここまで順調に事が進んだのは、主様が呼び寄せたスライムさん、"ペラちゃんズ"のおかげでしたが...」と、彼女は皆んなに聞こえるかどうかのギリギリの声で呟いた。
ふふふふふ。私は耳がとてもいい。10匹の猫が同時に鳴いても聞き分けることが出来る。でも、それはあんまり意味がないか...。それよりも、またライル君が私の知らないところで新しいスライムさん達を呼び寄せたようだ。
"ペラちゃんズ"?ペランペランのお魚系のスライムさん達かな?エンゼルフィッシュさんのようなスライムちゃんだったりして。会うのが楽しみだな♡
そんなことを考えながら、ソフィーナの話を聞いていたら、突然...。
「あ、今よろしゅうでっか?わて、この集団の
上機嫌で、私の脳内に直接語りかけてくる声が聞こえた。聞いたことのない話し方だ。誰が語りかけて来たのだろう?
無意識でクワナやミエの方を見つめると、それぞれが首を横に振り、「私たちではございません。どうやら今、声をかけてきたお方は、片羽を上げているお方の様ですよ」とクワナが教えてくれた。
クワナに教えられて、視線をライル君の後ろに移すと...。
ライル君たちの背後には、約20羽のシャドウクロウが密集していた。クロウ達の多くは体長が約1.5mほどで、翼を広げるとその
そして、その集団の中に一際大きなモノがおり、片羽を上げている。あの子がネビュラの"モモ"なのだろう。だって、あの子の後ろに他のシャドークロウ集まっている。体長が3mほどあり、翼開長に至っては6m程あるように見える。とにかくデカい。でも...つぶらな瞳が可愛らしい。
さらに、そのネビュラは話を続けて、「わてのこと、気楽に"モモちゃん"と言うてぇーな。名前はモモやけど、男の子でっせ。お父はんの気まぐれ?でもな、モモなんてな~。もうちょい男の子らしい名前がよかったんやけどな~。桃之助とか、桃太郎とかなぁ。そう思いまへん?それと、わての好きな食べ物はビッグワームワームで、嫌いな食べ物はサツマイモですわ。それで、好きなタイプは...」と、怒涛の如く話しまくる。
と、止まらない。好きなタイプについて語った後、ひな鳥からの生い立ちを詳細に語り、今やっとこ2歳のお正月を迎え、お餅を喉に詰まらせて危うく死にかけたことについて熱く語っている...。
「いや~おまはん、あん時は死ぬかと思ったで~!!なあ!逆さまにされてお父はんの右羽で背中をベシベシと、息ができへん苦しみと背中の痛さで天国にいるはずの
バリジン森林地帯とはまるっきり関係の無い話を、モモちゃんはひたすらと語り続けている。
モモちゃんの長話に対し、他のシャドウクロウたちは私たちに対して、申し訳なさそうに頭を下げる。
どうやら、モモちゃんの話を誰も止められないようだ。私自身もおしゃべりな方だけど、さすがにモモちゃんの話がまだ続くことに、げんなりとしてしまう。ちなみに、ライル君はソフィーナにもたれて、うとうとしている💦
モモちゃんのトークショーはまだ続いている...。終わりが見えないよ~💦
皆の表情が疲れ切っている。だって、話が長いんだもん!
だがそんな時、周囲のシャドウクロウたちは何かに気づき、騒ぎ始めた。
カカ―、カカカッカー!!
カカカカカー!カカカー!
上空から、また一羽のシャドークロウがこちらに向かって飛んで来ている。その口には風呂敷のようなものをくちばしでくわえている。
敵⁉
いや、他のシャドウクロ―達の様子を見ていると、明らかに仲間の様。歓迎ムードを感じる。
そんなモモちゃんのトークショーに、新たなシャドークロウが上空から舞い降りてきた。
だ、だけど...。
ま、まさかモモちゃんの相方じゃないわよね...。相方なんて登場したら、一晩中でもノンストップで話されそうじゃない...💦
こ、今度はどんな子がやって来たの⁉ねえ皆んな、早くバリジン森林地帯に向かおうよ~!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます