第8話 卑怯よ、卑猥よ、半分下さい...。
「う~ん、う~ん、はっ!!」
私はどうしたんだろう?確か...そう、デス・キラー病に感染し、ソフィーナとレイメントと一緒に、このバリジン森林地帯手前の街道に捨てられたはず。後は、魔物に襲われて死ぬはずだった。だけど、スライム使いの人が現れて、デス・キラー病を治してくれて...。
「あっ、そうだ!!」
私は意識を取り戻した。その時、一人の少年が私に向かって「お姉さん、大丈夫?」と声をかけてきた。
こ、この少年だ!彼こそが私の命の恩人だ。彼はデス・キラー病を治してくれたばかりでなく、奴隷紋を消してくれると言って、ボウ爺様というスライムを呼び出したのだ。
そのスライムが、私の首筋を...。そう、そこで意識を失ったんだ。
あの忌々しき奴隷紋。
手足と顔に大けが負った私を買った変態貴族。しかし、私がデス・キラー病に感染したことが分かると、「役立たずめ!せっかくお前みたいな欠損奴隷でも抱いてやろうと思ったのに!」と捨て台詞を吐き、私を捨てた。
私は言い返そうとしたが、奴隷紋の影響で心臓が激しく締め付けられ、言い返すことが出来なかった。こんな状況で、ソフィーナが男性器を嚙み千切るなんて、信じられない精神力よ。私には到底無理だわ。
おっと、そんなことを言っている場合じゃない。デス・キラー病を治してくれた少年なら、奴隷紋も消してくれた...はず。でも...確認したい。だが、まずは勝手に意識を失ったことを謝らなくちゃ。
「す、すみませんでした、急に意識を失って、その、あの...奴隷紋は、その」と私は目の前の少年、いや、ライル様に恐縮しながら声をかけると、「ああ、目が覚めた?奴隷紋?無事に消えたよ!」と言って、手鏡を差し出してきた。
"自分で確認してみて"という事だろう。
かつては日常的に使用していた手鏡を、いつの間にか見ることが無くなっていた。それは奴隷となったから?いや、それ以前に顔に深い傷を負った時から、一度も鏡を見ることはなかった...。
手鏡をついつい左手で受け取ろうとして、失ったことに気が付いた。左手を失って以来、全てを右手一本でこなしてきた...。しかし、手鏡だけは左手で使う癖が残っているのかな...。
まだ、ソフィーナとレイメントは起きていない。もう!ライル様に失礼じゃない!早く起こさないと!でも...奴隷紋が気になる。先に受け取った手鏡で奴隷紋を確認したい。ライル様が消したと言われた。だから、消えているとは思うけど...。
"すみません、ライル様...確認させてもらいます!!"と私は心の中でライル様に謝罪をし、手鏡でそっと自分の首筋を確認した。
うそっ...首筋にあったはずの奴隷紋が消えていた...。
あるのは右頬にある大きな傷。でも首筋の奴隷紋は完全に消え去っていた!そして、奴隷紋と心臓が繋がっているような違和感も、もはや感じられない!すごい...奴隷紋は完全に消えてしまったんだ。
「あ、ありがとうございます。あ、あ、ありがとう...」
その後、私はライル様の前で土下座をして、わんわんと泣き
でも、そのスライム達を呼び寄せてくれたのはライル様。もしライル様がいなかったら、もう死んでいたか、ゴブリンやオークに犯されていたかもしれない...。
私の大声で泣く声により、他の2人も目を覚ましたようだ。彼らは互いの首筋を見て、「まさか!」や「本当に?」と驚いていた。
馬車道付近に、不格好に土下座をして感謝の意を示す3人と、おたおたするライル君がいる。「そ、そんな、わ、分かったから!あと、土下座はやめて。ソ、ソフィーナさん!どさくさに紛れて靴にキスをしないで下さい!な、何かの契約みたいじゃないですか!」
まだ、ライル様はおたおたしている。そんなライル様は「ど、奴隷紋を外すことなんて、スライム街なら、皆んなが知っている事です!ですから、そんなに感謝をしないで下さい」と、私たちに向かって言った。
そして、「それに...」とライル様は話し始めた。まだ何かあるのでしょうか??
「それに、まだこれから、その欠損や やけど、それに深い傷を治しますよ?治ったら、僕たちの大切な仲間として、たくさん働いてもらいますよね、ハントさん!」と、ハントと3人の奴隷を交互に見ながら、ライル君は希望に満ちた笑顔を見せた。
「ラ、ライル様...」(私)
「若...」(レイメント)
「主様...」(ソフィーナ)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それぞれが、独自の呼び名でライル君を呼び始めた。中でもソフィーナさんは、教会の"祈りの間"で神に祈る信者のように、深い
そうなるよね...。
デス・キラー病を治し、奴隷紋まで取り除いたんだもん。それだけでも感謝の念は計り知れないよね。
でも...。
これで身体の傷まで治しちゃったら...この人たちは一体どうなるんだろう...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ボウ爺さん達が、「わしらはスライム街に帰るでな~。また何か困ったことがあったら、遠慮せずに呼ぶんじゃぞ。あと、あの"ツンデレ娘"に声をかけておくぞ...」と言い、羽織姿とネクタイを付けたスライムは帰って行った。
あ~あ、帰っちゃうんだ...。一緒に暮らしたかったのにな~。
2匹に向かってライル君は腕をぶんぶん振って別れを惜しむかのように「ありがとね~!またね~!」と大きな声で2匹を見送った。
平原にはちょっとした静けさが戻ったよ。こんなに風が吹いてたっけ?ちょっと肌寒いかも。色々なことがありすぎて、外が寒いことなんて忘れてた。
だが...もっと周りを感じさせなくするようなことを、ライル君が言い始めた...。
「さあ、皆さんの身体の治療も行うよ!遅くなると魔物も寄ってくるだろうし!え~と、ヒーリンちゃん!ソフィーナさんの火傷の傷を治してあげて!あと...」と言った途端、何もない場所から一匹のスライムが飛び出して来た!
「あ~レンちゃん!今、呼ぼうと思っていたんだよ!」と、ライル君は突然現れたスライムに声をかけた。また、見たことが無いスライムさんだ。手にはフラスコを持っている。科学者?何で今、科学者が来るの?
「ライルっち!おひさ!も~今忙しいのに、まあ、ライルっちの頼みなら、聞いてやんないわけでも無いけど...」と、ちょっとブツブツ言いながら照れてるみたい。なるほど...ツンデレ系?
でも、めっちゃ可愛い♡外見以上に態度がいい!!ツンデレ、ツンデレ~♡
「ライル君!この可愛らしいスライムさんの名前は何というの?」と、あまりの可愛らしさに聞いてみると「レンちゃんだよ!「錬金術」を扱うレンちゃん!欠損部位を再生しちゃうんだよ!」ってライル君が教えてくれた。
ライル君、簡単に言いすぎ!でも、「スライム街では当たり前だよ?」って、可愛い顔で言われるだけだしなー。う~ん、まあいいか!
それにしても、レンちゃん...。可愛いのに、えげつない能力を持っているよね。何?欠損部位を再生するって...。もう、エリクサー並みのスキルじゃない!ヤバイって...💦
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さあ、レンちゃん!リューファンの失った左腕と、右脚を治してあげて!」と、ライル君がレンちゃんに向かって大きな声で言った。
「もうライルっちたら、もう少し感動の再開を楽しんでもいいと思うけどー!まあでも、そんな鈍感なところが可愛いしー。まあ、いいっか!あんたね?ライルっちが治してあげてっていうから、治してあげるしー」
レンちゃんは自分の身体を薄く広げ、リューファンを優しく包み込んだ。
だが...。
それはもう丸呑みしている様にしか見えない。リューファンさんを包み込んだ後、消化液、いや違う、何か特殊な液体でリューファンさんの身体全体を浸した。リューファンさんは強制的に眠らされた様で、意識を失ったみたい。
身体全体が液体に覆われたことで、リューファンさんが溺れないか心配だったけど、「大丈夫だって。落ちつき~って。呼吸できてるしー」とレンちゃんに諭された。
不思議なことに、液体内でリューファンは呼吸ができているみたい。そして、ビックリしたんだけど、失った左腕と右脚の先端部分から再生が始まった。それもすごい速さで。
わずか5分程で、リューファンさんの左腕と右脚が元に戻った。さらに、顔にあった傷まで消えている。
「顔の傷はサービス。顔は女の命だし~。傷が無い方が超キレイだからー」とレンちゃんは言った。なんだかんだで、優しいスライムだ。
「す、すごい。失われていたはずの手足が再生している。あ、あなた様は神の使いですか?」と、普段は冷静なジュリーダ牧師様も、震えながらレンちゃんを見つめていた。
そんな牧師様に向かってレンちゃんは、「神でも無いし~。ただのスライム街に住んでいるスライムですけど~?」って、さらりと言い返した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ちょうどヒーリンちゃんも、ソフィーナの火傷の傷を綺麗に治してしまった。ソフィーナさんも意識を失っている。だが、頭皮には髪一つ生えていない。
あと、2人とも生まれたままの姿で、横たわっている。ソフィーナさん、お胸大きい...。いや、大きすぎるよ。エルフって私と一緒でスレンダーじゃないの?私と同じで貧乳じゃないの?
卑怯よ、
それにソフィーナさんって、滅茶苦茶キレイじゃない?信じられないぐらい顔立が整っている。髪の毛が生えたらもう、超絶美人になるのは確定路線じゃない!
レンちゃんがソフィーナさんの所にポヨーン、ポヨーンと近づいてきて、彼女の頭部に覆いかぶさった。すると、あっという間に美しい金色の髪の毛が元どおりになった。それは、あっという間の出来事だった...。
でも、レンちゃんは髪の毛を生やしたら、さっそうとその場を去っていった。恰好いい~、レンちゃん!
それにしても...。ソフィーナさんもリューファンさんもすごくキレイ!何も羽織っていない生まれたままの姿を見て、同性の身体に見とれてしまった。
「モーリー、毛布を用意して!男連中もいるんだよ!」と、一足先に我に返ったサルンサ姐さんが私に言った。ハントが、他の女性の身体に見とれているのが気に入らないのか、「ほら、あっち行って!」と旦那を叱っている。
でも、しょうがないよ...。綺麗だもん2人とも。お胸も大きいし...。
でも、何なのよこのスライム達...。ミスリル貨幣何百枚分の所業を、平然と目の前でやってのける...。スライムという名の、やっぱり神様たちじゃないの?
ただ...レイメントさんに対してはまだ、何の治療も行っていない。ライル君は、「待っていて下さいね。レイメントさんにとって最高の身体を、考えていますから」と言っていたけど...。
また、ライル君は何か企んでいるのかなぁ?
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