第11話 星間連盟

第4期コスモツアーが始まって270年ほどたった頃。


「予想より遅かったけどやっぱり面倒くさい奴が来たわ。」


ピータンがホールのモニターの一つを指差す。


そう言っているとモニターの画面は連盟の艦隊を映した。


月に並ぶほど巨大な球形の宇宙船が無数にディスプレイの視界の及ぶ全てを覆い尽くしている。


第5種知性体レベルだと完全に威圧されちゃうね。


ところがピータン達連合は何もしない。


もちろん連合艦隊やキミちゃん帝王様も動じない。


シナイと同型の航行バスが待機しているぐらい。


とはいえ第2種知性体惑星ヴァイ籍の航行バスなのでシナイとはスペックがぜーんぜーん違う。


おそらくこの1器体で連盟の艦隊以上の戦力がある。


連盟の艦隊がピタリと停止する。



「あんた達、自分達だけで楽しいことを好き勝手にやっちゃっているじゃない。」


連合とは反対側の星域で勢力を伸ばしている第327星間連盟の代表 文明レベル第4種知性体ウェクイ惑星人ルキルカだ。


どうやらしびれを切らした様だ。


やはり高度知性体の特徴でもあるネオテニー(幼形成熟)でペコ人の12歳前後の子供と同じ年頃に見える。


まあ今ではエデン人(かつてのペコ人)もネオテニー化しているので同じなんだけれど。


「まぜろ。」


簡単に言う。


大まかには連合と連盟の間でテリトリー協定が取り交わされている。


ピータンは今は熱いじゃがバターを食べていて相手が出来ないので一応部下のミルゥカが牛串を片手に持ったまま話しをする。


「ルキルカーぅ、今頃来たの?」


「知ってたし、知ってはいたわ。」


「2回言うのねぅ。」


「なんで誘ってくれないのよー。とと、と、と、友達だと思ってたのにー。」


「そこぅ、どもっちゃうんだぅ。恥ずかしがり屋なんだからぅ。連絡したと思っていたんだけどぅ。」


「知っていたんだけど、連絡がなかったから待っていたの。でもでもでもでも。」


「我慢出来なくなったってわけねぅ。」


ミルゥカは持っていたちょっとかじった牛串を差し出して謝る。


「ごめんねぅ。」


「え?あ?う?うん。」


ルキルカはちょっと涙ぐんで牛串を受け取って口の周りをタレだらけにしてかじる。


宇宙戦争は避けられた様だ。


「あ、ブラウスにタレがついちゃった。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る