第14話 文豪と猫(大佛次郎)

 猫好きの文豪の一人、大佛次郎様。

 かの文豪は、五百匹を超える猫の世話をしていたのだそうだ。

 当然、全ての猫を一度に飼ったわけではないが、それでもすごい。

 亡くなった猫が飼い主を待ってくれているという虹の橋のたもとには、大佛の猫で村が出来ていそうだ。


 ええ、当然、外飼い。


 現在だったらご近所にかなり叱られるし、多頭飼い認定されること間違いなしな案件だ。

 きっと現代で大佛様の真似をすれば、SNSは地獄の業火よりも炎上してしまうだろう。


 だが、大佛様が生きた時代では、特に問題にもならなかったようだし、大佛様が決して愛情のない飼い主だったわけではない。

 黙々とご飯を食べる一列に並んだ猫を、いい感じの笑顔で眺める大佛様の写真が今でも残っているのだ。


 現代とは知識も違い、周囲の状況も違う。きっと大佛様が現代で猫を飼ったならば、適正頭数を室内飼いしたことだろう。


 現代も大佛邸は残っているそうだ。

 それだけの頭数の猫様が出入りした場所だ。ひょっとしたら猫様が残した足跡などが所々残っているかもしれない。


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