第11話 地域猫について講習行ってみた

 地域猫について教えてくれる講習を区で開くというので、行ってみた。

 猫好きなら、当然しっておくべきだろう(フンスッ!)と意気込んでいざ会場へ。


 小さな会議室に二十名ほどの講習希望者。

 その講習希望者もきっと猫好きなんだろうななんて思えば、ちょっと親近感わく集団だ。

 その集団で獣医師を講師に教えてもらった内容でとっても大切だと思ったことを三点に絞ってみる。


●必ずその近隣の住民の了承をとること。

  これは、SNSで迷惑がられている野生動物餌やりおばさんと地域猫活動家で違いが出てくる点でもあると思う。

 自分にとっては神とも崇めたくなるような可愛い猫様でも、万人にとってそうとは限らない。ならば、愛する猫様を守る下僕としては、近隣とのトラブルを避けるべきなのだ。

 近隣の理解が得られないで活動を進めてしまえば、無実の猫様が悪者のされてしまう。


 猫様の家臣としては、主の無実を守るために周辺の人々との親交は欠かせないのだ!!(なんかまた妄想がさく裂している)

 


●あげたご飯はその場に残さない。残せば、猫以外の害虫害獣を呼び寄せる結果になり兼ねない。

 

 アライグマ、狸、テン、イタチ、アナグマ、ネズミ、カラス……。

 この世には、普段姿を現さないだけで、意外とモフモフにあふれている。

 動物好きの方ならば、どの生き物も可愛いとつい思ってしまうのだが、この諸侯を招き寄せてしまえば、また人間社会の反感を買う。

 なぜならば、この方々達、人間と親睦を図ろうと思わないワイルドな面々であるため、ゴミ箱を荒らしたり、人類にとって未知の病原菌を持っていたり、人間社会にとって困る存在なのだ。

 外来生物でそもそも日本に居ないはずなのに増えてしまったアライグマはともかく、そのほかの動物は、人間が気をつけて過度の増えないように注意して距離をとれば、何の問題もない。時々、チラリと姿が見られた時に、可愛い! おお、ラッキー! と喜んでいれば良い。


 だが、外猫様のご飯を残しておくことで、そのご飯目当てに増えてしまう恐れがある。増えてしまえば、可愛い! ラッキー! では済まなくなってしまう。

 そこにご飯がある。

 ならば、そのご飯の量に見合った量の野生動物が、そこを縄張りにしていついてしまう。単純で、どうしようもない真理なのだ。



●去勢・避妊を並行して行い不幸の連鎖を断ち切ること。


 ご飯が継続的に得られるならば、そこに野生動物が増えてしまう。

 これは、外猫様でも当然なのだ。

 だから、野良猫さん可哀想だからご飯あげなきゃならば、そのあげたご飯の分、増えてしまうことも念頭に置かなければならない。

 もちろん、そこに飢えた猫様がいらっしゃったら、猫下僕としてどうてもご飯を献上したくなる。その心情は、とってもよく分かる。

 そして、そんな猫下僕の家には、たいてい既に家猫様がお住まいになっておられて、一国一城の主としてお家を支配しているのだ。


 だったらどうするか。

 それの解決策の一つとしてのサクラ猫というものがある。

 

 サクラ猫とは、獣医によって去勢や避妊の済んだ猫のこと。

 地域猫として、元々住んでいた地域に返す時にお耳を少しカットする。

 そのカットされたお耳の形が桜の花びらに似ていることから「サクラ猫」と呼ばれているのだという。


 可愛い!!(あ、いや。可愛いかどうかは別にアレなんだが、つい心の声が)


 そして、その可愛いサクラお耳の猫を増やすことで、その地域に猫が増えすぎないように、コントロールできるのだという。すごい話だ。

 まあ、野生の外猫様を獣医にお連れする。それはそれは大変な行為なのだけれども……。




 地域猫について色々と見解を述べてきた。

 もちろん、地域によって、取り組みに違いはあるだろうけれども、市や区によっては、地域猫飼育の許可証を発行しているところもある。

 猫好きさん、人間とのコミュニケーションが苦手な方も多いだろうけれども、地域猫をしたい時には、まずお住まいの市役所や区役所に相談してからすすめていただきたい。


 善意の猫好きが迷惑猫好きおばさんに成り下がってしまったら、それこそ地域猫や野良猫様の評判まで落ちて、さらなる不幸を招きかねない。


 もちろん、この活動も数年後には、実はもっとこうするべきとか、いや、この行動は間違いでした! なんてものがでてくるかもしれない。

 お釈迦様は諸行が無常であると申した通り、仏法ですら無常であるのに、ましてや猫様のお世話をやなのだ。


 猫様の明るい未来のために、我々下僕は、日々精進して勉強しなければならないのだ!!

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