第4話 猫に踏まれたい人生だった
小さな肉球が、人間の上をテフテフ通り過ぎる。
程よいプニプニ。
猫という生き物は、人間を座布団の延長線上でしか認識していないようで、平気で踏んづけて歩く。
踏んづけられたところで、猫の足の感触は、猫下僕には、ご褒美でしかない。
これは、あれだ。
ほら、谷崎潤一郎が、美女に踏まれたいと、『瘋癲老人日記』で書いていたやつだ。
墓石に美女の足型を刻みたいって、いう話。ちょっとどころではなくドン引きする性癖のお話だが、これを猫に変換して考えてみれば、世界は変わる。
我が猫達の足型を刻んだ墓石。
なんて素敵な墓石だろう。
この猫ガチ勢丸出しの痛墓、寝心地は良さそうだ。
まぁ、この墓石に作り替えた瞬間に、ご先祖様からお叱りを受けそうだし、お参りに来る人の「うわぁ……」という蔑みのこもった悲鳴が聞こえてきそうだが。
分かる。分かるぞ、踏まれたい気持ち!
あの可愛いらしい肉球が墓に刻まれ、永遠に踏まれ続ける! これは、かなり限界を突破した猫愛! とっても素晴らしい!
あ、でも……石なら触感は、プニプニではないのか……。
これは、ちょっと問題だ。
改善案を早急に考えるべきかもしれない。
※ウチの猫様達は、下僕の行き過ぎた猫愛に、日々冷たい視線を向けております。
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