第27話 東南諸国軍事同盟の結成

 晴人と晴人タイガーと晴人フェンリルが、フリースランド大陸の西側のアルメディア帝国軍とベラルシ帝国軍とイスラルド帝国軍を全滅させ、各城とそれぞれの街を半壊させた出来事から2週間後、南方諸国連合国のコアベイル連邦国とアルゴン連邦国とアレクサンデル連邦国からそれぞれ晴人へ親書が届いた。


「晴人国王陛下、南方諸国連合国のコアベイル連邦国王とアルゴン連邦国王とアレクサンデル連邦国王から届いた親書の内容は、どのようなものでしたか?」

 とパルナ・パーニャ共和国の防衛軍事省副長官兼軍師であるボレロが晴人に尋ねてきた。


「ボレロ、南方諸国連合の3か国は、東方諸国連合と軍事同盟を考えているらしい。

6月14日にこのパルナ・パーニャ共和国で南方諸国連合と東方諸国連合の軍事会議の申し出があったよ。」


左様サヨウでございましたか。」


「ボレロよ、お前の考えを聞かせてくれ。」


「はい。南方諸国連合国には失礼ではございますが、正直に申し上げますと、南方諸国連合国は軍事力が決して強いとは言えません。各帝国が2、3年後に軍備を整えたならば、必ず真っ先にターゲットにされ、滅ぼされるかと存じます。そうなれば、このフリースランド大陸には、人間と多民族からなる国家が東方諸国連合の4か国になってしまいます。したがって、南方諸国連合からの軍事同盟を受けた方が得策かと存じます。ただし、南方諸国連合と東方諸国連合が同盟を結んだからといって、7か国が軍事的に強くなったわけではございません。この2、3年の間に、強力な軍事国家にする必要がございます。そのためには、不適切な発言ではございますが、晴人国王にご尽力いただき、有効な方策を講じる必要があると考えます。」


「うむ。さすがボレロだ。俺もそう考えていた。ボレロよ、もし、お前が『天』の使徒で無限の力を持つ『メビウスの輪』の力を持っていたら、どのような方策を講じるのか申してみよ。」


「はい。正直に申し上げます。先ず、守備を強化いたします。各帝国軍の侵略を阻止するために、7か国を取り囲む強固な城壁を建設します。次に、攻撃力を強化いたします。その城壁の上に、最新鋭の武器を装備いたします。その最新鋭の武器の使用については、パルナ・パーニャ共和国で武器使用の研修を開き、各国の兵士に習得させる必要があろうかと存じます。」


「さすがだ、ボレロ。俺と全く同じ考えだ。よし、お前がこれらの考えを7か国軍事会議で説明してくれ。俺がバックアップしよう。」


「ハハーッ。」


 

 その後、晴人はスクリーン投影画像魔法を用いて、東方諸国連合のロンバルド共和国王とダ・マール・オデッサ共和国王とノールランド共和国王と今回の南方諸国連合からの軍事同盟の申し出に関する会議を開いた。

「ロンバルド共和国王のご意見をお聞かせください。」


「この軍事同盟は締結すべきかと存じます。」

 同様に、ダ・マール・オデッサ共和国王とノールランド共和国王も軍事同盟の締結には賛成の考えだった。


「では、6月14日にお待ちしております。これにて会議を終了いたします。」



 6月14日になった。パルナ・パーニャ共和国に、南方諸国連合のコアベイル国王とアルゴン国王、アレクサンデルが到着し、国王会議室で東方諸国連合のロンバルド共和国王とノールランド共和国王、ダ・マール・オデッサ共和国王、パルナ・パーニャ共和国王の大和晴人がテーブルをはさむかたちで7か国軍事同盟に関する協議が行われた。7か国とも各帝国軍の復活と侵略が喫緊の課題であったため、正式な同盟の締結がなされた。

 そこで、晴人は、6か国の国王へ呼びかけた。


「みなさん、我が国のパルナ・パーニャ共和国の防衛軍事省副長官兼軍師であるボレロから提案がございますので、お聞きください。」


「パルナ・パーニャ共和国のボレロでございます。大変恐縮ですが提案をさせていただきます。忌憚キタンなく正直に申し上げます。7か国が軍事同盟を結んだからといって、軍備が強くなるわけではございません。また、各国は『天』の使徒である晴人国王様の偉大な力を頼りにしているかと存じますが、複数の国に複数の帝国軍が攻めて来て、侵略戦争が始まれば、万事休すです。したがって、大和晴人国王だけの力を頼ってはならないのです。そこで先ず、全ての国の守備を強化いたします。各帝国軍の侵略を阻止するために、7か国を取り囲む強固な城壁を建設します。次に、攻撃力を強化いたします。その城壁の上に、最新鋭の武器を装備いたします。その最新鋭の武器の使用については、パルナ・パーニャ共和国で武器使用の研修を開き、各国の兵士に習得させる必要があろうかと存じます。そのためには、全宇宙を司る『天』の使徒である大和晴人国王陛下にご尽力していただく必要がございます。具体的な方策については、晴人国王陛下にご説明していただきますが、以上の説明に賛成していただけますでしょうか。」


「異議なし!」

「異議なし!」

「異議なし!」


「全7か国が基本方針に賛成のようですので、ここからは、パルナ・パーニャ共和国

大和晴人国王陛下にご説明をお願いいたします。」


「大和晴人です。我が国の防衛軍事省副長官兼軍師であるボレロから提案がございましたように、各帝国軍の侵略を阻止するために、7か国を取り囲む強固な城壁を建設します。次に、攻撃力を強化いたします。その城壁の上に、最新鋭の武器を装備いたします。」


「晴人国王、具体的にはどのような城壁と最新鋭の武器なのでしょうか?」

 とアルゴン連邦国王が質問をした。


「すみませんが、この部屋の電気を全て消してください。では、この映像をご覧ください。」 

 晴人は、スクリーン投影画像魔法を用いて、城壁と新型の武器の動画を見せた。


「オオー!デカい、デカいぞ!」

 6か国の国王たちは一様に驚嘆の声を上げた。


「この城壁は、長さが200m、高さが100m、幅が25m、あります。また、城壁が倒れないように地面の下に城壁の基礎となるコンクリートをいう固い物資が20mほど埋められております。今、映し出しているのが城壁の壁面になります。私が転移してきた『地球』という惑星から持ち運んだ『マグネシウム合金』という物質です。軽くて非常に硬い金属になります。鉄砲や大砲の弾丸を1万発当てても破壊することはできません。これを特殊な液剤で張り付けてあります。この城壁は私が無限の力をもつ『メビウスの輪』を使って建造いたしました。」


「晴人国王、今、映し出されている城壁で長さは何mになるのでしょうか?」

 とノールランド共和国王が質問した。


「はい。100mです。これを、物体再現魔法を使って増やしていきます。もう、城壁は私が完成したのです。あとは、これを、私の部下である晴人タイガーや晴人フェンリル、晴人ブラックドラゴン、晴人レッドドラゴン、晴人ブルードラゴンなど多くの部下に命じて、コアベイル連邦国の端からロンバルド共和国の端まで繋げます。」


「晴人国王、全長はどのぐらいになるのでしょうか?大変失礼ですが、本当にそのようなことが可能なのでしょうか?」


「はい。全長は1万kmになります。建設は可能です。私と私の部下にお任せください。この長城を『万里の長城』と名付けます。」


「それでは、皆様、先ほどのスクリーンをご覧ください。ここは、パルナ・パーニャ共和国の大砲射撃場になります。まず、『カラシニコフAK22ライフル銃』の威力をご覧ください。」


「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ。」


「なんじゃと!連射式の銃ではないか!」

「このような銃を見るのは初めてじゃ!」


「この武器を7か国全員の兵士に持たせます。勿論モチロン、各国から、百名ずつ優れた曹長を選抜して、我が国に派遣してください。今回お見せする武器の正しい使い方を指導します。今からお見せする武器の使用方法を習得しましたら、その曹長が各国で兵士全員の指導的立場になります。」


「では、次の武器をご覧ください。『コルド重機関銃』といいます。岩盤に向けて連射しますので、その威力をご覧ください。」


「ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド。」


「オオー!なんという大きな音と破壊力じゃ!岩盤が粉々になっていくぞ!」


「皆さん、『コルド重機関銃』で敵の大型大砲を簡単に破壊することができます。」


「な、な、なんと、すごい銃じゃ!」


「銃じゃないぞ、晴人国王は、重機関銃と申したではないか!」


「皆さん、再度、スクリーンをご覧ください。これらは、『コアリツィヤSV自走式りゅう弾砲』といいます。早く動き回る超破壊力大砲だと思ってください。では、画面の大きな岩石をご覧ください。」


「ドドーン!ドドーン!ドドーン!ドドーン!ドドーン!ドドーン!」


「ボッカーン!ボッカーン!ボッカーン!ボッカーン!ボッカーン!ボッカーン!」


「ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、スドーン!ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、スドーン!」


「ハァ、ハァ、ハァ、な、な、なんという兵器じゃ!この世のものとは思えんぞ!」

 画面を見ていた国王全員が開いた口が塞がらない状態であった。


「皆さん、この兵器は、敵の城門や城壁や城をいとも簡単に破壊します。このりゅう弾砲は野戦のみならず城壁にも設置可能です。」


「それから、空を飛んで爆弾を落とす兵器をご覧ください。これは、人が乗る必要はありません。」

 晴人は「落下爆弾式ドローン」の画像を見せた。リモコンで晴人がプロポを操作する画面が映っていた。そして、数発の爆弾を投下すると、大型大砲が破壊された。

やはり、6名の国王全員が開いた口が塞がらない状態であった。


「最後に、この画像を見て下さい。」

 晴人は、大型貨物列車の映像を見せた。やはり、6名の国王全員が開いた口が塞がらないままであった。


「皆さん、この大型列車を私が責任をもってロンバルド共和国からコアベイル連邦国まで走らせます。人や食料、武器を輸送するために使います。」


 すると、全7か国の中で最も強い軍事力を持っているダ・マール・オデッサ共和国王が発言した。

「皆さん、このようなことは『天』に選ばれし人間にしかできぬ。わしらと晴人国王は格が違うのじゃ。晴人国王は、国王であって、国王に非ず。全宇宙を司る『天』の使徒であるぞ!よって、晴人国王を『7か国軍事同盟総長』にいたそうぞ!」


「異議なし!」

「異議なし!」

「異議なし!」

 6か国全員の国王が晴人を『7か国軍事同盟総長』にまつり上げたのだった。


「それから、7か国軍事同盟の会議がこのスクリーン投影画像魔法を用いて話し合いができるようにコアベイル連邦国王とアルゴン連邦国王とアレクサンデル連邦国王には、特殊な映像装置をプレゼントいたしますので、国王の間に設置してください。」


「晴人国王、このような便利な装置をいただき心から感謝いたします。」

 コアベイル連邦国王とアルゴン連邦国王とアレクサンデル連邦国王は、晴人の計らいに感謝の意を表した。


「それから、私が7か国の国王全員で『念話』が使えるようにしますので、6か国の国王は、私の前に集まってください。」

 晴人は、ユニバースソードの柄を握ると、各国王に大念話の魔法を付与した。加えて、それぞれの国同士で念話ができるように魔法を付与した。虹色のオーラが現れ、そのオーラが各国王の頭の中に吸収する姿を見て、国王たちは驚愕キョウガクしていた。


「みなさん、これで7名全員で『念話』が使えるようになりました。また、話し合いたい国王と『念話』で話し合うことも可能ですので、有効にご活用ください。では、試しに7名全員の『念話』を行ってみましょう。」


「コアベイル連邦国王、アルゴン連邦国王、アレクサンデル連邦国王、ロンバルド共和国王、ダ・マール・オデッサ共和国王、ノールランド共和国王、今日はお越しいただきありがとうございます。」


「コアベイル連邦国王です。本日はありがとうございました。」


「アレクサンデル連邦国王です。晴人国王に感謝いたします。」


「どうですか?私の声とコアベイル連邦国王の声とアレクサンデル連邦国王の声を全員、聴くことができましたでしょうか?」

 他の国々の国王全員も声の確認ができたようであった。


「では、以上で、7か国軍事同盟の会議を終了いたします。」




 その日のうちに6か国の国王たちは晴人に敬礼をし、帰路に着いた。全ての国王には、安堵アンドの表情がウカガえた。


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