第24話 「フリースランド大陸」の危機
「晴人さん、起きて!晴人さん、起きて!」
「ふぁ~、良く寝た。スッキリだ。」
「晴人さん、私たち、丸一日以上寝ていたのよ。さあ、布団から起きて、顔を洗ってらっしゃい。」
「は~い。」
晴人は、時計を見ると午前10時だと気付いた。晴人の父、彰も妻の百合子から同じ時間に起こされていた。
遅い朝食だったが、お母さんの手作りのヒレ肉を使ったトンカツだった。晴人の大好物だった。ソフィーナは、早く起きて、晴人のお母さんからみそ汁とヒレ肉を使ったトンカツのつくり方を教わっていた。
「うまーい!やっぱりお母さんのトンカツは最高だ!」
「晴人のトンカツは、ソフィーナちゃんがつくったのよ。」
「ええっ、マジで?」
「はい、お母さんにみそ汁のつくり方とヒレ肉を使ったトンカツのつくり方を教えていただきました。」
「良かったな、晴人。これで、これからソフィーナさんにみそ汁とヒレ肉を使ったトンカツを食べさせてもらえるぞ。」
「ソフィーナちゃん、差し上げたお味噌は、次元収納ストレージの中では腐らないから、物体再現魔法を使って増やしてね。ヒレ肉もお米も次元収納ストレージの中では腐らないから、物体再現魔法を使って増やして食べてね。」
「はい、お母さん、ありがとうございます。私、晴人さんの大好物がつくれるようになれてとっても嬉しいです。」
「ソフィーナちゃん、そう言ってもらえると嬉しいわ。」
「あっ、そうだ!お母さん、地震用のために保存食でカロリーメイトを何種類か持っていたよね。ソフィーナの棲む惑星『フリースランド』は食べ物で困っている人が大勢いて、今、周辺国にもさつま芋を分けて栽培しているんだけど、非常食がなくて困っているんだ。カロリーメイトに物体再現魔法を使って増やして次元収納ストレージの中に入れてもいいかな?」
「あら、そうなの。食糧難は辛いわね。晴人、持って行きなさい。ソフィーナさんの国でどんどん増やせばいいわ。」
「お母さん、ありがとう。」
食後、晴人とソフィーナは、客間から見える植木を眺めていた。
「晴人さん、植木がとっても美しいですわ。」
「うん。お父さんが見栄えが美しくなるように
「お父様とお母様にはとっても良くしていただいた上に可愛がってもらって、
「お父さん、お母さん、もうそろそろ東京に行くね!」
「晴人、もう、行くのか?」
「晴人、もう、いっちゃうの?寂しくて涙が出ますわ。」
「お父さん、お母さん、俺には『地球転移魔法』があるからまた来るよ。」
「お父さん、お母さん、私を大切に可愛がって下さった御恩は忘れません。今度は、孫を連れてきますから楽しみにしていてください。」
「そうか!それは楽しみだ。晴人、毎晩、頑張れよ!」
「孫が待ち遠しいわ。晴人、頑張るのよ!」
「お父さん、お母さん、恥ずかしいこと言わないで下さいよ。」
「ギャハハハハ!アハハハハ!ギャハハハハ!アハハハハ!」
「お父さんとお母さんにお土産を渡し損ねましたので、今、渡します。」
晴人は、ダンジョンで取ってきた金銀財宝をテーブルの前に出した。すると、父の彰が、
「要らん、俺は東京ドーム10個分の金銀財宝を持っているからな。晴人、お父さんの次元収納ストレージの中を覗いてみろ!」
「ウワァァァァー!本当だ!これ、全てお父さんのものなの?」
「当り前だ!それだけ惑星で苦労したんだぞ。だから、テーブルに出した金銀財宝は次元収納ストレージにしまいなさい。気持ちだけもらっておくから。」
「はい。」
「それになあ、俺と百合子にとって一番のお土産は、宇宙一綺麗で美人のソフィーナさんと出逢えたことだからな。」
「お父さん、お母さん、私もお父さんとお母さんと出逢えて本当に幸せです。孫を楽しみにしていてくださいね。」
そうして、晴人とソフィーナは瞬間移動で東京ディズニーランドに向かった。
「ソフィーナ、アタッシュケースは次元収納ストレージにしまおうか?」
「そうですわね。」
晴人とソフィーナは、様々なアトラクションを楽しんだ。ソフィーナは、お城の皆に渡すお
「ソフィーナ、あなたにお
と尋ねると、ソフィーナはミッキーマウスとミニーちゃんの大きなぬいぐるみを選んだ。
「晴人さん、ありがとうございます。」
「ソフィーナが喜んでくれると嬉しいよ。ソフィーナ、最後に行きたいところがあるんだ。付き合ってもらえるかな?」
晴人はそう言うと、二人で銀座のデパートへ転移した。晴人の向かった先は日本でも有名な宝石店だった。
「ソフィーナに婚約指輪と結婚指輪を買ってあげたい。お金のことは全く気にしなくていい。気に入ったものを選んでくれるかい?」
「まあ、本当ですの?」
「うん。」
「とっても嬉しいですわ。涙が出てきます。」
「ソフィーナ、ここで大泣きするなよ。店員さんもお客さんもビックリするからがまんしてね。」
「はい。」
「すみません、婚約指輪と結婚指輪を買いたいのですが、お勧めなものを紹介してください。お金ならたくさん持っています。」
晴人が店長にそう伝えると、店長自らソフィーナに指輪を見せてくれた。また、晴人も婚約指輪をソフィーナと同じものにしたい旨を伝えた。ソフィーナは大きなダイヤモンドの宝石を結婚指輪に選んだ。
「晴人さん、婚約指輪は私と同じ種類にしてくださるのですよね。」
「うん。ソフィーナが気に入った指輪を選んだら、そのペアリングにするよ。」
「店長さん、5月生まれの宝石はどれになりますか?」
「はい、エメラルドになります。このショーケース全てがエメラルドです。エメラルドはエメラルドグリーンと言いまして、心を癒す色でございます。宝石の言葉は、幸福、幸運、愛、希望です。」
「ええーっ、ソフィーナの誕生日って5月なの?俺と一緒じゃん。」
「まあ、晴人さんと同じ5月生まれなのですね。嬉しいですわ。私は5月8日生まれなんです。」
「エエーッ!俺と同じ日じゃん!」
「まあ、本当ですの?奇跡ですわ!嬉しくて涙が出ます。」
「よし、ソフィーナ、エメラルドグリーンのとってもデッカイやつにしちゃえ。目立つぞお~。」
「店長さん、じゃあ、これをください。」
「晴人さん、これはとても素敵ですが、私には
「ソフィーナ、いいじゃん。宝石も大きいしキラキラしているよ。」
「では、ご主人様は男性用のエメラルドグリーンの入った指輪になりますね。」
「ソフィーナ、あなたが俺の指輪を選んでくれ。ただし、他の指に当たって邪魔にならない、さりげないものがいいな。」
「じゃあ、これなんてどうでしょう?」
「ソフィーナ、気に入ったよ。これが欲しい。」
「では、お二人の指のサイズを確かめましょう。おお、選んだ指輪とサイズまでピッタリです。このようなことってあまりないのですよ。お二人はとても強い絆で結ばれている証拠です。」
「お買い上げはクレジットカードでよいでしょうか?」
「いや、現金払いで。晴人が、税込みの金額まで計算して、一万円札の束を山ほど積んだ。」
その光景に店長も店員も他のお客さんも開いた口が
そのときだった、ミニッツから念話が入った。
「晴人さん、惑星『フリースランド』が大変です。今すぐに戻って来られますか?」
「ミニッツ、緊急な用事か?」
「はい、フリースランド大陸の西にある聖バルド騎士団王国と神聖バルド公国と聖エディオン騎士団公国が、アルメディア帝国とベラルシ帝国とイスラルド帝国によって滅ぼされました。」
「分かった、直ぐに転移する。その念話はソフィーナも聴いているんだろう?」
「はい、常に共有念話です。」
「晴人さん、どうしましょう?3つの国が滅ぼされました。」
「ソフィーナ、大丈夫だ。心配するな。」
「ミニッツ、取り敢えずはパルナ・パーニャ共和国に転移させてくれ。」
「はい、了解いたしました。では、行きます。」
「スッ。」
「スッ。」
「パッ。」
「パッ。」
転移した先は、パルナ・パーニャ共和国城のセオドア上皇エリス上皇后の部屋であった。
「お母様、ただ今、新婚旅行から戻りました。」
「あなたー!ソフィーナと晴人ちゃんが新婚旅行から戻って来たわよ!」
「おおー!お帰りなさい、ソフィーナ、晴人国王。」
「さあ、ソフィーナ、晴人ちゃん、ソファーに座って、コーヒーと紅茶を飲みながら新婚旅行の話をゆっくりと聞かせて。」
「お父上様、お母上様、実は、コーヒーをいただいたら、新婚旅行より重大な話があります。新婚旅行の話は後日、ソフィーナさんからお話をお聞きください。」
「何と!晴人国王、新婚旅行の話よりも重大なことなのか?」
「はい、お父上様。」
「あなた、晴人ちゃんはコーヒーのキリマンジャロが大好きなのですから、コーヒーぐらいゆっくりと飲ませてあげて。」
「うむ。そうじゃのお。エリスの言う通りじゃ。」
それから10分後。
「お母上様、コーヒーありがとうございました。実は『天』から連絡がありまして、フリースランド大陸の西にある聖バルド騎士団王国と神聖バルド公国と聖エディオン騎士団公国が、アルメディア帝国とベラルシ帝国とイスラルド帝国によって滅ぼされました。」
「な、な、なんと、聖バルド騎士団王国と神聖バルド公国と聖エディオン騎士団公国が帝国軍の侵略戦争によって滅ぼされたのか・・・。晴人国王、すまぬ。気が動転して言葉を失ってしもうた。神聖バルド公国のバルド国王とは、
晴人は、ここで何か手を打っておかなければ、帝国軍は、南方諸国連合のコアベイル連邦軍とアルゴン連邦国とアレクサンデル連邦国が勢いづいたアルメディア帝国とベラルシ帝国とイスラルド帝国がこのまま侵略戦争を続け、この南方諸国連合軍をも
滅ぼすのではないかと危惧していた。
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