第18話 晴人とソフィーナ、地球へ新婚旅行 Ⅰ
晴人は、凱旋祝勝パーティーの前に、国境のローニャ平原に進軍中の防衛軍事省副長官兼軍師であるボレロへ念話を入れ、戦争に勝った経緯を説明し、帰国するように命じた。
また、ロンバルド共和国3世、ダ・マール・オデッサ共和国のダ・マール・オデッサ共和国4世、ノールランド共和国のノールランド3世とスクリーン投影画像魔法で
4者会談を行った。冒頭に先立ち、ロンバルド共和国王からこの度の戦争で国を救ってくれたお礼を述べられ、「このご恩は生涯忘れません」と伝えられた。
会談の中で話し合われたことは、晴人がキムジョン帝国軍とキムジョン国城やロジア大帝国城と長距離大砲製造工場を破壊したこと、ジャイナ帝国城を破壊したことで最低でも帝国軍は、2年間、侵略戦争を仕掛けてくる可能性は低いと判断し、今後は国防軍の増強を図ることで一致し、閉会した。
翌朝、晴人はミニッツに念話を入れた。
「ミニッツ、昨日は助かったよ。お前のお陰だよ。ありがとうな。」
「いえいえ、晴人さんの決断の速さには感服しました。すごかったですよ。」
「ミニッツ、お前に相談があるんだ。お前も知っているように、この東方諸国連合はあまりにも人口が少なく、資金不足で武器が貧相なんだ。そこで、思い切って、ユニバースソードに付与されている『地球移動魔法』を使って、現在、侵略戦争を起こしている国々と、日本近海を脅かしている大国とロケットミサイルを発射してくる軍事国家に様々な魔法を駆使して、次元収納ストレージを使って兵器を奪い取ってこようと思うんだ。それを、惑星『フリースランド』に持ち帰って『物体再現魔法』で増産し、東方諸国連合に配ろうと考えている。それから、これはあくまでも私的なことだけど、ソフィーナを日本に連れて帰り、父と母に会わせたいんだ。」
「分かりました。『天』の許可をもらいますのでしばらくお待ちください。」
「・・・。」
「晴人さん、『天』は即答でした。OKをもらいましたよ。」
「本当か、ありがとう!ソフィーナには危険な目に遭わせることはしないから、そのように『天』に伝えておいてくれ。」
「はい、分かりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
「うん。ありがとう。」
晴人は、この話の内容を全てソフィーナに伝え、セオドア
「コン、コン。晴人です。入ってもよろしいでしょうか。」
「まあ、晴人ちゃん、どうぞ、どうぞ。あなた~、晴人ちゃんがお見えになっているわよお~。」
「おお、そうか、エリス、直ぐに入ってもらいなさい。」
「失礼します。」
「失礼します。」
「まあ、びっくりだわ。ソフィーナも一緒なのね。どうぞ、中に入ってソファーにお座りになって。」
「はい。」
「晴人ちゃんは、あなたから
「はい、ありがとうございます。」
「ソフィーナは、ミルクティーね。」
「はい、お母さん。」
「ほう、二人していったいどうしたのじゃ?」
「今度の土曜日に地球に帰ろうと思いまして、ソフィーナさんを私の祖国である日本に連れて行って、両親に会ってもらおうと考えています。そこで、お父上様とお母上様にお許しをもらいに参りました。」
「ほう、晴人さんは、地球に戻れる魔法までもっておるのか?」
「はい。」
「それは、なんと素晴らしい!して、晴人国王は、地球にソフィーナを連れて行き、結婚報告に行くのじゃな。」
「はい、そう考えております。」
「ありがたいことじゃ、ぜひ、ソフィーナをお父上とお母上に会わせて下され。」
「まあ、おめでたいことだわ。ソフィーナ、地球旅行に行けるのよ、楽しみね。」
「はい、心がウキウキしています。晴人さんのお父上様とお母上様にお会いするのも楽しみです。」
「はい、キリマンジャロとミルクティーよ。」
「ありがとうございます。」
「ありがとう、お母様。」
「ソフィーナさんを観光旅行に連れて行きたいので、地球に1週間ほど滞在してもよろしいでしょうか?」
「まあ、素晴らしいわ!ソフィーナ、新婚旅行じゃないの。楽しんで行ってらっしゃい。」
「ほう、それはいいのお。ソフィーナ、早く孫がみたいのお。地球で、頑張って来るのじゃぞ。」
「あなた、恥ずかしいこと言わないの。」
「ハハハハ、そうじゃった。そうじゃった。ソフィーナ、楽しんで参れ。」
「お父様、ありがとうございます。孫がたくさんできるように地球でも頑張って参ります。」
「こら、ソフィーナ、あなたまで恥ずかしいこと言わないの。晴人さんの顔が真っ赤じゃないの。」
「ハハハハ、ハハハハ。二人にとって大切な思い出に残る新婚旅行に行って参れ。」
「はい、ありがとうございます。」
こうして、セオドア
「地球へ行くのが楽しみですわ、晴人さん。」
「うん。ソフィーナをいろいろな場所に連れて行ってあげるね。美味しい食べ物もいっぱいあるんだよ。」
「晴人さん、いろいろな場所に連れて行ってもらうことも楽しみですし、美味しい食べ物を食べるものも楽しみですけど、私がいちばん楽しみにしていることってご存じですか?」
「うむ?何だろう?分かんないなあ。」
「夜ですよ、よ~る。」
「こら、ソフィーナ、恥ずかしくなるようなことを言うんじゃない。」
「だってえ、本当にいちばん楽しみなんですもの。これからはちゃんと中に出してくださいね。いっぱ~い、いっぱ~い、中に出してくださいね。」
「こら、ソフィーナ、はしたないことを言うんじゃない。」
ソフィーナには、悪い癖があって、晴人の顔を真っ赤にするのが楽しみだった。だからいつも、晴人に恥ずかしいことを言ったり、からかったりして、顔を真っ赤にさせるのが大好きだったのだ。
「晴人さん、今から部屋に行ってやっちゃいましょうか?」
「こら、ソフィーナ!まだ昼前だぞ!逃げるな、ソフィーナ、待て!逃げるな!」
仕事が関わっていないときの晴人とソフィーナは、いつもこんな調子でおチャラけていたので、城内の近衛兵やメイドさんたち、調理課の皆から大笑いされている存在だった。
そして、出発前日の金曜日の夜、ソフィーナは、晴人が次元収納ストレージから出した女性用の旅行バッグにドレスをたくさん詰め込んでいた。それに晴人が驚いて、ソフィーナに言った。
「ソフィーナ、地球ではね、そのドレスは皆、着ていないんだよ。ソフィーナ用に洋服とスカートを準備したから好きなものを選んで。」
「晴人さん、可愛らしい洋服とスカートですね。着替えてもいいですか?」
「うん。いいよ。」
すると、ソフィーナは何の恥じらいもなく、ドレスを脱ぎ始めた。しかし、晴人はソフィーナの体を見るのが大好きだったので、じぃーっと見ていた。
「ねえ、晴人さん、なぜいつも私の体をそんなにじぃーっと見ているのですか?」
「綺麗だから。」
「晴人さん、何だか照れますよ。恥ずかしいです。どうしてそんなに見つめるのですか?」
「美しいから。」
「私の体って、そんなに美しいのですか?」
「うん。体のラインが絶妙に綺麗です。感動します。」
「じゃあ、洋服を着ますね。これなんかどうですか?」
「ソフィーナ、全部着てください。その中から何着か選びましょう。」
「ええーっ、そう言って私の体が見たいだけなんじゃないんですか?」
「はい、そうです。」
「晴人さんのエッチ!」
「はい。エッチです。ソフィーナの体って本当に綺麗なんですよ。宇宙一綺麗なんですよ。」
「それが理由で、一緒にお風呂に入っているときも私の裸を、じぃーっと見ているんですか?」
「はい。」
「ソフィーナの全部が宇宙一綺麗なんです。」
「ええーっ、恥ずかしいわ。」
「いいじゃないか、もう夫婦なんだから。ソフィーナはもう俺だけのものです。」
「アハハハ!晴人さ~ん、超おもしろい!晴人さんも私だけのものです!」
そうやって、2時間もかけてソフィーナの洋服選びを楽しむ二人だった。
夜、晴人に腕枕をしてもらっているソフィーナが、晴人の方を向いて尋ねた。
「ねえ、晴人さんは、私のどこがいちばん好きなの?」
「全部です。」
「晴人さん、そうじゃなくて、いちばん好きなところを聞いているのよ?」
「全部です。」
「それ、どういう意味ですか?」
「全部がいちばんです。」
「キャハハ、全部がいちばんって、初めて聞きましたわ。」
「マジです。俺のマジはマジマジです。」
「晴人さん、それって心も体も全部ってことですか?」
「はい。」
「私、ふくらはぎが大きいから目立たないけど、自分では足首が太いところがいやなんですけど。」
「全部です。全部大好きです。全部愛しています。足首は大事なところです。細すぎると、骨折しやすいから、今の足首が好きです。」
「晴人さんって、ちょっと変わっていますよね。」
「そうですか?」
「そう思いたくなります。」
「ソフィーナは、その魂もその心も、その体もひとつになってのソフィーナです。コインには表と裏があります。分けられないひとつのものです。ソフィーナの魂も心も体も分けられないひとつのものになってソフィーナになっています。だから、ソフィーナの全部が好きです。」
「なるほど、ようやく分かりましたわ。晴人さんが時々、言葉にする『理解➡納得➡
「良かったです。ソフィーナの魂をひとつだけ取り上げたらソフィーナでなくなります。ソフィーナから心だけ取り上げてしまったら、ソフィーナでなくなります。ソフィーナの体だけを取り上げてしまってもソフィーナでなくなってしまいます。その全部がひとつに存在してソフィーナになっています。だから、ソフィーナの全てを愛しています。」
「なるほど、なるほど、さすがは晴人さんです。」
そういいながら、うとうとと晴人の腕枕でいつの間にかぐっすりと眠りに落ちるソフィーナであった。晴人は、そのソフィーナの顔をいつまでもいつまでも優しい眼差しで見つめていた。
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