第11話 晴人、勇気を振り絞って「告白」する!
4か国の東方諸国連合会議終了後、パルナ・パーニャ共和国の主催で懇親会が催された。パルナ・パーニャ共和国からは、セオドア上皇とエリス上皇后、ソフィーナ第一王女に、晴人国王と会議に出席した防衛軍事副長官兼軍師兼執事のボレロや陸軍総大将、ウイリアム公爵、陸軍大将のルーカス侯爵、オリバー侯爵、ヘンリー伯爵、戦略情報省長官のジェット、副長官の龍人族のドラゴル、諜報員のリーマン、ミックジャック、レイトン、 バンズが出席した。
また、ロンバルド共和国、ダ・マール・オデッサ共和国、ノールランド共和国の主だった面々も参加した。ロンバルド国王とダ・マール・オデッサ国王とノーランド国王は、セオドア上皇とエリス上皇后とソフィーナ第一王女に今日の話合いの顛末について嬉々として話したのだった。
その間、晴人は、調理室に自家発電電気魔法を付与した大型の冷蔵庫を4台、次元収納ストレージから取り出して設置し、コック長のエリックに透明で冷えたビールグラスとたくさんのビール瓶を渡し、女性には透明なグラスとスパークリングワインを渡した。晴人は、エリックに乾杯にはこれを使用するように頼んだのだ。
「ええーっ、それでは、無事に4か国の東方諸国連合の話合いが終了しましたので、懇親会を始めたいと思います。進行は、私、防衛軍事副長官兼軍師兼執事のボレロが行います。よろしくお願いします。なお、今から乾杯するの飲み物は、晴人国王からの贈り物です。それでは、乾杯を致します。」
「4か国東方諸国連合の益々の発展を祈念して、乾杯!」
「乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!乾杯!」
「美味い!何じゃ、このお酒は!泡がひっきりなしに出ておるではないか!」
「のど越しが最高ですなあ!味も最高です!」
「このシュワシュワした味がたまらないですね。また、この
などと、ビールは大絶賛された。また、女性に出されたスパークリングワインも
「お母様!ワインから冷たい泡が出て参ります。最高に美味しいですわ。」
「ソフィーナ、これは何と言うワインなのかしら。味も素晴らしいですわね。」
ソフィーナ第一王女もエリス上皇后もスパークリングワインに上機嫌だった。
席次は、日本と同じだったため、向かって右に晴人国王が座り、その左側に、セオドア上皇とエリス上皇后が座り、その左にソフィーナ第一王女が座っていた。ディナーのメインディッシュには、晴人が事前にエリックに頼んでおいた日本一に輝いた鹿児島産の黒毛和牛のステーキが振舞われた。そのあまりの美味しさに各国の要人だちは、大絶賛した。
「美味い!口の中で肉がとろけますぞ!」
「これは、素晴らしい肉だ。こんな肉を食べるのは初めてだ。」
「すまぬ、メイドよ。この肉のお替りはできるかのお?」
「はい、ございます。」
「誠か?万歳じゃ!」
そして、最後にメイドによって鹿児島名産の「白熊」が各テーブルに運ばれた。
「これは、何と言う食べ物じゃ?」
「晴人国王が以前、住んでいらっしゃった鹿児島の「白熊」というかき氷になります。」
「はて、どんな味がするのか食べてみるかのお。」
「う~ん、うまあーい!最高じゃあ!口の中で綿のような氷がとろけるぞ。ミルクの味が上手いのお。」
初めて食べる『白熊』も大絶賛された。
晴人は、立ち上がると、ビールとスパークリングワインを持って、セオドア上皇とエリス上皇后とソフィーナ第一王女にお酒を注いでいった。そのとき、ソフィーナ第一王女が「ありがとうございます。」とお礼を述べた後に見せた笑顔にドキッとしたのだ。「何て笑顔の似合う女性なのだ。」「俺が今まで出会ってきた女性の中でいちばん笑顔の似合う女性だ。何だ、このドキドキは。ソフィーナ第一王女の笑顔でドキドキが止まらなくなったぞ。」と晴人はこの気持ちをどうして良いか分からずに気恥ずかしい思いで顔を真っ赤にしていた。そして、ソフィーナ第一王女が中庭でバラを摘む仕草や、王室と王室の廊下にさりげなく飾ってくれたバラのことを思い出していた。
「あら、晴人国王様、酔ってしまわれたのですか?」
とソフィーナ第一王女に声を掛けられ、ソフィーナ第一王女の瞳と自分の瞳が合うと二人は、まるで魔法を掛けられたようにしばらく見つめ合ったままでいた。するとソフィーナ第一王女も晴人の瞳に魅了され顔を赤らめていた。晴人は、自分の席に戻ると、ミニッツに話しかけた。
「おい、ミニッツ、相談がある。」
「分かっていますよ。」
「何?」
「ソフィーナ第一王女のことでしょう⁉」
「何で分かったんだ⁉」
「ずっと前から分かっていましたよ。」
「本当か?」
「本当です。」
「ソフィーナ第一王女を見ると、ドキドキが止まらないんだ、なぜだ?」
「それが恋愛というものです。」
「これが恋愛?」
「まだ、何も始まっていませんけどね。」
「そうだな、何も始まっていないよな。」
「俺はソフィーナ第一王女のことが好きなのか?」
「心臓がドキドキするのはその証左です。」
「俺はソフィーナ第一王女のことを愛しているのか?」
「心臓がドキドキするのはその証左です。」
「ミニッツ、俺はどうすればいいんだ。」
「男らしく、お付き合いを申し込むことです。」
「そうか、そうなのか。『お付き合いしてください』と言えばいいんだな。」
「そういうことです。それから愛を深め合えばいいのです。」
「よし、分かった。ありがとう、ミニッツ。」
懇親会が進むに連れて、様々なテーブルに人々が集まり始め、意見交換をしたり、雑談をしたり、冗談を言ったりして笑い声が聞こえ始めてきた。
そして、晴人国王の前にロンバルド国王がビールを注ぎに来た。
「晴人国王、そなたは『天』の使徒であるにも関わらず、いばることもなく、実に素晴らしい好青年である。わしは気に入ったぞ。セオドア上皇とエリス上皇后、わしには年ごろの娘が2人もおる。セオドア上皇とエリス上皇后よ、どうかのお~、わしの娘を晴人国王に嫁がせようと思うのじゃが。晴人国王、わしの娘とお見合いをしてはくれぬか?」
とその発言を聞いた、ダ・マール・オデッサ国王とノールランド国王がやって来て
先ず、ダ・マール・オデッサ国王が、
「いやいや、わしにも2人の年頃の娘がおる。晴人国王よ、わしの娘から会ってはくれぬか?」
と言うと、その次に、
「いやいや、わしにも年頃の一人娘がおる。気立てが良く我ながら美人じゃぞ。晴人国王よ、わしの娘と婚約してくれぬか?」
とノーランド国王が言い始めた。
それが原因となって、3人の国王で言い争いになったのである。
「わしの娘のお見合いが先じゃ!」
「いいや、わしの娘が先じゃ!」
「いやいや、わしの娘は稀代の美女だぞ!」
その大騒ぎを見ていた者たちは、静まりかえってしまった。せっかくの懇親会がこんな状態になってしまうとは思わなかったからだ。
すると、椅子から立ち上がった晴人国王が全員がいる面前で大声で叫んだ。
「私には好きな人がいます。その人は、今まで出逢った中でいちばん笑顔の素敵なソフィーナ第一王女です。ソフィーナ第一王女、『私と付き合ってください』よろしくお願いします。」
と言って、ソフィーナ第一王女の方に向かって両手を差し出した。すると、ソフィーナ第一王女はゆっくりと歩き初め、晴人の手を握って言った。
「はい。喜んでお付き合いさせてください。いたらないところもありますが、晴人国王を想う気持ちはだれにも負けません。どうぞよろしくお願い致します。」
するとどこからともなく拍手が起こった。
「パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ。」
その拍手はしばらく止むことがなかった。
ロンバルド国王とダ・マール・オデッサ国王とノールランド国王は、いかにも「致し方ないのお」という表情をして席に戻った。
そのときである、思わぬ出来事が起こった。「透明化スルー魔法」で隠れていた護衛役だった。晴人タイガーと晴人フェンリルが晴人とソフィーナ第一王女を挟むようにして突然、現れ、懇親会場が割れんばかりの勢いで遠吠えをしたのだ。
「ガァオォォォォー!ガァオォォォォー!ガァオォォォォー!」
「ワァオォォォォー!ワァオォォォォー!ワァオォォォォー!」
会場のほとんどの者がその声の大きさに耳を
「あれは、聖獣のゴールデンサーベルタイガーと聖獣のイエローフェンリルだぞ!」
「本当だ!間違いない!」
「俺にも見せろ!そこをどけ!俺にも見せろ!」
すると、さらに大騒ぎになった。
「ボレロ殿、閉会の挨拶をお願い致す。」
と晴人タイガーがしゃべったのだ。
「は、はい。以上をもちまして、4か国の懇親会を終了としたします。3か国の皆様はメイドの案内に従って、お部屋に案内いたします。」
「我が
「うん、分かった。」
「ソフィーナ第一王女よ、ここは騒がし過ぎます。我が主と一緒に外に出ましょう。私の背中にお乗りください。」
「はい。わかりました。」
そういうと、目にも止まらぬ速さで城から出て行ってしまった。ロンバルド国王とダ・マール・オデッサ国王とノールランド国王は、
「な、な、何と!晴人国王は、めったに見ることができぬ聖獣を2匹も家臣として従えておるのか!」
と口をそろえて言った。しばらくは開いた口が塞がらない状態の3人であった。
セオドア上皇とエリス上皇后は、見つめ合ってあまりの嬉しさに抱き合っていた。
「晴人国王様、風が気持ちいいですね。」
「うん、気持ちがいいね。」
「ソフィーナ第一王女様、プライベートや二人きりのときは晴人国王様じゃなくて、晴人さんと呼んでください。」
「ええっ、良いのですか?」
「はい。」
「じゃあ、晴人さん、プライベートやふたりきりのときはソフィーナ第一王女じゃなくて、ソフィーナと呼んでください。」
「ええっ、呼び捨てで良いのですか?」
「はい。」
「晴人さん、今夜は満月で突きが綺麗ですね。」
「はい。綺麗です。」
「城の近くに丘があって、お花が綺麗なのです。そこへ行きませんか?」
「はい、そうしましょう。」
そういって、2人と2匹は、花々の咲き乱れる丘の花を月明かりのもとで長い時間ゆったりと愛でながらいろいろな話をした。
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