第10話 晴人、東方諸国連合会議に参加する

 それから2週間後、パルナ・パーニャ共和国の会議室で東方諸国連合の外交会議が秘密裏に行われた。参加国及びその代表者は、フリースランド大陸東側の上から順に、ロンバルド共和国のロンバルド3世、パルナ・パーニャ共和国の大和晴人国王、ダ・マール・オデッサ共和国のダ・マール・オデッサ4世、ノールランド共和国のノールランド3世である。

 外交会議の提案者であるパルナ・パーニャ共和国の大和晴人国王は、3か国に書面をしたため、極秘事項を含むため、参加者を、国王、軍師、陸軍総大将、陸軍大将、

戦略情報省長官(暗部長官)、戦略情報省(暗部副長官)、諜報員(暗部)だけに絞り込むよう依頼した。なお、パルナ・パーニャ共和国の参加者は以下の通りである。


 【パルナ・パーニャ共和国】

 ①国王:大和晴人

 ②防衛軍事省

  防衛軍事省長官:パルナ・パーニャ共和国 大和晴人国王

  副長官兼軍師:パルマ・パニーニャ共和国 ボレロ執事

  陸軍総大将:ウイリアム公爵

  陸軍大将:ルーカス侯爵、オリバー侯爵、ヘンリー伯爵

 ③戦略情報省

  戦略情報省長官:ジェット

  副長官:龍人族のドラゴル

  諜報員:リーマン、レイトン 、ミックジャック、 バンズ


「それでは、ただ今より、ロンバルド共和国、パルナ・パーニャ共和国、ダ・マール・オデッサ共和国、ノールランド共和国の外交会議を始めます。進行は、パルナ・パーニャ共和国の防衛軍副長官兼軍師兼執事のボレロが行います。会に先立ちまして本国の大和晴人国王が挨拶を致します。」


「初めまして、この度、異世界から召喚された『天』の使徒である大和晴人です。どうぞよろしくお願いします。今回の会議は、外交会議を銘打っておりますが、その内容は軍事の決まり事を策定することです。現在、ロジア大帝国やジャイナ帝国、キムジョン帝国、イスラルド帝国、ベラルシ帝国、アルメディア帝国といった人間至上主義を標榜とする『ロジア大帝国連合国』が、世界各地の国々に侵略戦争を仕掛け、罪のない大勢の市民や多民族を殺害し、多くの国を滅ぼし、領土を広げております。このフリースランド大陸には、もはや聖バルト公国連合の3か国、南方諸国連合の3か国、東方諸国連合の4か国しか残されておりません。諜報員の話によると、帝国軍は「国王、王妃、王子、王女はじめとする王族や貴族、国民に至るまで殺害したり、奴隷にしたりしているそうです。尊い人間と多民族の命と財産を守るのが国王の務めです。1か国では帝国に立ち向かことができません。手を携えて助け合いながら帝国軍に立ち向かって参りたいと存じます。ご協力お願いいたします。」


「では、東方諸国連合の軍事同盟について、戦略情報省長官のジェットが今後の軍事同盟の在り方について、提案を致します。」


「はい! 戦略情報省長官のジェットです。我々4か国は、軍事同盟を締結しておりますが、具体性に欠ける部分がございます。したがって、4か国同盟のある1か国が帝国軍に侵略戦争を仕掛けられた場合、残りの3か国は、5万人以上の軍隊を応援部隊として戦地に赴かせ参戦するという軍事条約を締結することを提案いたします。」


「それは妙案じゃ。」

 とロンバルド3世が賛同した。


「そういう具体性があれば、敵も容易には侵略戦争をしかけてはこれまい。」

 とダ・マール・オデッサ4世も賛同した。


「うん。気に入った、大賛成だ。」

 とノールランド3世も賛同してくれた。


「他に意見はございませんか。無いようですので、4か国同盟のある1か国が帝国軍に侵略戦争を仕掛けられた場合、残りの3か国は、5万人以上の軍隊を応援部隊として戦地に赴かせ参戦するという軍事条約を締結いたします。」


「パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ。」


「それではここで、極めて重要な極秘事項について、本国国王大和晴人様から話がございます。」


「近衛兵、入って参れ!」


「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ。」


「外鍵を全てするのだ!」


「イエッ・サー!」

「イエッ・サー!」

「イエッ・サー!」


「何事じゃ!晴人国王!」

 とロンバルド国王が叫んだ。


「どうしたというのだ!何の真似です、晴人国王!」

 とダ・マール・オデッサ国王とノールランド国王が大声を上げた。


「お静かに、どうかお静かに。ロンバルド国王、ダ・マール・オデッサ国王、ノールランド国王、私のそばに参ってください。」


「どうしたのじゃ?晴人国王?これは何じゃ?腕時計ではないか?」

 とノールランド国王が晴人に質問をした。


「これはただの腕時計ではございません。3人の国王にプレゼントしますので、左腕に付けて下さい。」


「では、腕時計の左ボタンのスイッチを押してください。」


「おおー!ここにいるみんなの姿が映っているではないか!」

 とロンバルド共和国王が驚いた、そして、


「ゲバル陸軍大将が赤く光り、暗部のザイルは黄色く光っておる。なぜなんだ!」

 と叫んだ。


 すると、ノーランド国王も、

「ザージ陸軍大将が赤く光り、暗部のウッドとガンスが黄色く光っておる。」

 と叫んだ。


 その瞬間、晴人は、

「近衛兵、この者たちにタングステンの手錠を掛け、タングステンのワイヤーロープで捕縛せよ。」

 と命じた。直ちに、この5名は捕縛された。


「ロンバルド国王、ノールランド国王、私の国の者たちとダ・マール・オデッサ共和国王の者たちを見て下さい。全て青色に光っております。これは国王に忠誠を誓っている証拠です。ところが、赤色に光っている者は、国王の暗殺を企んでいる者です。そして、黄色く光っている者たちは、情報を帝国に流している者たちの証拠になります。したがって、ロンバルド国王、ノールランド国王は、後日、暗殺される予定なのです。」


「晴人国王よ、にわかには信じられぬぞ。」

 とロンバルド国王は言った。


「では、もっと信じられる証拠をお見せしましょう。」

 そう言うと、『スクリーン投影画像魔法』で画像による証拠を見せた。




「ゲバル陸軍大将、して、ロンバルド国王はいつ暗殺するのだ。」


「はい、外交会議が済んだ後、帰国する際に人目の付かぬ森で、馬車の中で刺し殺します。夜中に刺し殺しますので、他の者たちには、侵入者が馬車の中に入り込んで刺し殺したと伝えますのでご安心を。」


「暗部のザイルは、ロンバルド王の暗殺の見張りをしておけ。それから、会議の中で話し合われた内容を伝書鳩を使って、キムジョン帝国に届けるのじゃぞ。」


「ハハーッ。」


「どうです。これが確たる証拠です。ロンバルド国王の陸軍大将と暗部の者1名は、キムジョン帝国のスパイです。では、次に、ノールランド共和国のスパイ活動の映像を見せます。」


「プライズ陸軍大将、ノールランド国王はいつ暗殺するのか?」


「帰国までに2週間ほどかかりますので、10日頃に心臓を一突きします。」


「失敗は許されぬぞ、よいか。」


「どうぞ、ご安心を。」


「それから暗部のウッドとガンスよ、会議の内容を報告書にまとめて、ジャイナ帝国の国境付近の一本杉で手渡すのだ。期日は20日後の午前2時とする。」


「ハハーッ。」



「ロンバルド国王、ノールランド国王、これで信じてもらえましたかな?」


「晴人国王よ、よくぞ教えてくれた。命が助かったのだ。もうすぐ死ぬところじゃった。これほどうれしいことはない。心から感謝致す。」

 とロンバルト共和国王は感謝の意を伝えた。また、ノールランド共和国王も

「ふう~。殺されるところだった。晴人国王には何とお礼を申し上げて良いものか。本当に命を助けてくれてありがとう。このご恩は決して忘れませんぞ。」

 とノールランド国王も感謝の意を述べた。


 晴人は、ロンバルド国王とダ・マール・オデッサ国王とノールランド国王に、


「この腕時計は、『天』より与えられし『大宇宙の秘宝』です。3名の国王に3本ずつプレゼントします。残りの2本は王妃と国王が全幅の信頼を寄せる参謀にお渡しください。食事や飲み物に入っている毒も検知しますので、それを王妃にお伝えください。それから、王の護衛の人数を増やしてください。そのときは、信頼を寄せる参謀に検知させてください。併せて、王妃や王女、王子の護衛役を抜擢するときにもお使いください。」


「ここまでして下さり、誠にありがとうございます。感謝いたします。」

 と3名の国王は感激して晴人に謝意を述べた。


 するとここで、進行役のボレロが国王以外の退席を命じた。

「4人の国王陛下による会談が実施されるため、他の皆さんは隣室へご退席を願います。」


「ロンバルド国王、ダ・マール・オデッサ国王、ノールランド国王、このままの状況では、『ロジア大帝国連合国』に負けてしまうでしょう。勝利するにためには、情報戦で勝つことと新型の武器を装備することです。まず、情報戦ですが、私たちの戦略情報省は諜報員の人員を倍増します。その情報を東方諸国連合で共有するため、投影画像魔法装置を使用します。この画像装置は自国にいながらにして会議することができる装置です。自国に持ち帰ったら秘匿してください。私が3名の国王に念話ができる魔法を掛けますので、その念話で会話をしながら映像を見る装置です。大切にお持ち帰りください。それでは、念話ができるようにしますので、お一人ずつ私の前に立ってください。私が、国王の額にそれぞれユニバースソードの鞘を額に当てます。ユニバースソードから念話のエナジーが3人の国王に付与されますので、ご協力をお願いします。」

 そう言って、晴人は3人の国王に念話の魔法を付与した。


「では、試しにやってみましょう。口を閉じて心の中で話をします。行きますよ。」


「ロンバルド国王、ダ・マール・オデッサ国王、ノールランド国王、晴人です。聞こえますか。ロンバルト国王です、聴こえます。ダ・マール・オデッサ国王です、聴こえます。ノーランド国王です、聴こえます。では、皆さん、自由に話し合ってみて下さい。こちら、ロンバルド国王です。これは素晴らしい秘密兵器ですな。ノールランド国王です。誠に素晴らしい。ダ・マール・オデッサ国王です。これなら誰にも聞かれる心配がないですぞ。では、一台ずつ投影画像魔法装置を使いますので皆さん、それぞれ一台ずつ持って部屋の四隅に行って、投影画像装置の黄色のボタンを押してください。おおー!3人のお顔が映っているではありませんか!これはすごい!顔を見ながら念話ができるのですな。はい、そうです。これで、これからは、極秘の内容を4人で話合いに使いましょう。それは有り難い。素晴らしい装置じゃ。これは秘匿ゆえ、鍵の付いた机の下に隠さねばな。ワハハハハ。では、以上です。黒のボタンを押してください。画像が閉じます。ポチッ。」


「どうでしたか、皆さん。」


「さすが、全宇宙を司る『天』の使徒である晴人国王じゃ。有効に使わせていただきたいと存じます。」

 3人の国王陛下は、大喜びだった。



 そして、その夜、晩さん会が開かれた。そこで、大きな出来事が起こるのである。

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