第2話 晴人、死の「骸骨の森」で邂逅する

 暗君、パルマ・パニーニャ共和国王が晴人を追放したことを忸怩ジクジたる思いで後悔していた頃、既に晴人は、死の大魔境と恐れられ、何人ナンピトたりとも近寄らぬ「骸骨の森」の中にいた。

 しかし、晴人は、宇宙で唯一無二の名刀「ユニバースソード」と自分の目で物事の本質を見抜く六芒星が宿った『天啓の瞳』と天の声として晴人の付き人をする「天」の息子の「ミニッツ」の存在のおかげで、寂しさも恐怖心も一切なかった。


「晴人さん、ここが死の大魔境と恐れられ、何人ナンピトたりとも近寄らぬ『骸骨ガイコツの森』です。」


「なあ、ミニッツ、どうして『骸骨ガイコツの森』と呼ばれるのだ?」


「はい、この森にはSランク以上の魔獣や魔人しか棲んでいないため、生きて帰ってきた人間がいないためです。足元を見て下さい。この白い骨はこの地に踏み入った人間たちの骨や魔獣、魔人の骨が転がっているためです。また、大秘宝があるという伝説のダンジョンがありますが、その大秘宝を奪いに来た各国の軍隊が全滅し、数百万人の骸骨ガイコツ頭蓋骨ズガイコツが転がっているからです。」


「本当だな。歩いてみると良く分かるよ。人間の頭蓋骨ズガイコツが山ほど転がっているぜ。なあ、ミニッツ、数百万人の軍隊が来ても、勝てない魔獣や魔人がいるってことなのか?」


「実際は、数万人の軍隊がダンジョンの大秘宝を奪いに来ているのですが、全員殺されて、その累計が数百万人という意味です。」


「なあ、ミニッツ、父上は『死の森』デスウッズで、ゴールデンサーベルタイガーとイエローフェンリルを息子にしたって話を詳しく聞いたことがあるが、本当か?」


「はい、本当です。」


「やっぱり父上はすごいんだな。なあ、ミニッツ、俺もゴールデンサーベルタイガーとイエローフェンリルを子分にしたくなったぞ。骸骨ガイコツの森に棲んでいるのか?」


「はい、済んでいます。ゴールデンサーベルタイガーとイエローフェンリルが1体ずつ棲んでいます。」


「よし、決めた。どうすれば子分にすることができるんだ?」


「はい、晴人さんには、お約束した通り、無限の力を持つ『メビウスの輪』と物事の本質を見抜く『天啓の瞳』とコスモソードを進化させたユニバースソードを差し上げております。特に、ユニバースソードには、土魔法、水魔法、火魔法、風魔法、雷魔法、レーザービーム魔法、物体再現魔法、細胞再生魔法、治癒魔法、完全治療魔法、疲労除去魔法、身体強化魔法、超高速攻撃魔法、高速物体スロー再生魔法、言語変換魔法、望遠魔法、遠距離聴覚魔法、思念伝達位置特定魔法、透明化魔法、無音無臭魔法、幻惑魔法、幻惑・幻覚・幻視・幻聴・思念伝達操り魔法、全耐性魔法、転移魔法、座標軸特定移動魔法、超高速移動魔法、空間飛行魔法、防衛用バリア魔法、魔獣・魔人服従魔法、ダンジョン全体魔獣・魔人服従魔法、3D拡大縮小魔法、瘴気無力化魔法、高速物体スロー再生魔法、薩摩示現流勧善懲悪悪魔斬り魔法、透明化スルー魔法、物体浮遊魔法、酸素吸引魔法、獣人化魔法、錬金術魔法、念話、大念話、スクリーン投影画像魔法、地球移動魔法、影武者魔法、自家発電電気魔法、大拡声器魔法、何でも保管できる次元収納ストレージの46の魔法が付与されています。魔法名をユニバースソードの柄の部分を握り、口頭或いは念頭で唱えれば、その魔法が発動します。ユニバースソードの柄の下の部分にはレベルダイヤルが0から10まであります。レベル0だと、ユニバースソードが日本刀だけになります。大宇宙一文字という名刀です。レベルが10になれば、銀河系の太陽ですら斬ることができます。基本的には、レベルを6以上にすると、惑星が斬撃で真っ二つになりますので使わないようにお願いします。」


「おい、ミニッツよ、覚えきれないぞ。」


「晴人さん、追い追い使い方を教えますので、一度に覚えなくていいです。今回は、ゴールデンサーベルタイガーとイエローフェンリルを子分にするということですが、

晴人さんのお父上の彰様が10年前に働きかけて、『天』がゴールデンサーベルタイガーを聖獣に格上げしました。したがって、ゴールデンキングサーベルタイガーとイエローフェンリルは聖獣になります。」


「聖獣って凄いのか?」


「はい、この銀河系の中では、私の父の『天』であるホワイトドラゴンの次に強いです。」


「はあ?他のドラゴンたちよりも強いのか?」


「はい、ブラックドラゴンやレッドドラゴン、ブルードラゴン、グリーンドラゴンなどがいますが、どのドラゴンよりも強いです。しかも、晴人さんがユニバースソードの魔法を付与することが可能です。」


「ミニッツ、ということは、無敵のゴールデンキングサーベルタイガーとイエローフェンリルがさらに無敵になるわけか?」


「はい、そうです。しかし、天下無双の薩摩示現流の免許皆伝である晴人さんに勝つことはできません。」


「そうなのか。ミニッツ、ゴールデンキングサーベルタイガーとイエローフェンリルを今から子分にする。居場所を教えてくれ。」


「晴人さん、では、最強のゴールデンサーベルタイガーのいる洞窟へ転移することにします。ユニバースソードの柄を握ったまま、1156JIと唱えて下さい。」


「分かった。1156JI!」


「スッ。」


「パッ。」


「晴人さん、ゴールデンサーベルタイガーの棲む洞窟に着きました。透明化スルー魔法と無音無臭魔法と超高速移動魔法を使って、ゴールデンサーベルタイガーの頭の前に近付いて、ユニバースソードの柄を握りながら、『魔獣・魔人服従魔法』と唱えて下さい。」


「よし、分かった。では行くぞ!」


 晴人は、超高速移動魔法であっという間にゴールデンキングサーベルタイガーの顔の前に到着した。晴人はその体躯タイクの大きさに驚いた。しかも、ゴールデンキングサーベルタイガーは目を覚ましており、晴人に話しかけてきた。


「晴人様ですね。お待ちしておりました。『天』と我が父『アキラタイガー』から話は聞いております。さあ、どうぞ、『魔獣・魔人服従魔法』と唱えて下さい。」


 晴人は、その言葉の内容に驚いたが、それはさておき、ゴールデンキングサーベルタイガーに「魔獣・魔人服従魔法」を付与した。


 すると、晴人のユニバースソードから虹色のオーラが広がり、ゴールデンキングサーベルタイガーを包み込んだ。そして、その虹色のオーラはゴールデンサーベルタイガーの頭の中に入っていった。すると、ゴールデンサーベルタイガーは、すくっと起き上がった。体長80m、体高40m程の大きさであった。ゴールデンサーベルタイガーは、すぐさま、お座りの格好になった。


「晴人様、晴人様との絆を強固にするために我が名をお決めください。」


「よし、では、『晴人タイガー』の名を与えよう。」

 すると、晴人と晴人タイガーの周りに虹色のオーラが出て、グルグルと回り出したのだ。

「晴人さん、ミニッツです。完了しましたよ。」

「そうか、完了したか。」

「はい。」


主様アルジサマ、ご自分のお名前を私に頂き、誠にありがとうございました。この命を晴人様に捧げます。どうぞよろしくお願いします。」


「うむ。こちらこそよろしく頼む。だが、死んではならぬ。これは命令だ。」


「ハハーッ。」


「して、晴人タイガーよ、イエローフェンリルのみかを知っているか?」


「はい、存じております。イエローフェンリルと私は義兄弟の契りを交わしております。イエローフェンリルもアルジ様のことを待っております。どうぞ、背中に乗ってください。案内致します。」

 すると、目にも止まらぬ速さで洞窟から飛び出し、背中から突然、白い翼が生えてきた。


「晴人タイガーよ、お主は美しい翼をもっているな。」


「ハハーッ。褒めていただき、ありがとうございます。あと10分ほどでイエローフェンリルの洞窟に到着します。」

 周囲の景色が見えぬほどの速さで晴人タイガーは飛んだ。そして、あっという間にイエローフェンリルの洞窟に着いた。


「では、アルジ、イエローフェンリルのところへ参りましょう。」

 洞窟の中を進んでいくと、そこには、晴人タイガーとほぼ同じ大きさのイエローフェンリルがお座りの姿で晴人が来るのを待っていた。


「晴人様ですね。お待ちしておりました。『天』と我が父イエローフェンリルから話は聞いております。さあ、どうぞ、『魔獣・魔人服従魔法』と唱えて下さい。」


 晴人は、その言葉の内容にさらに驚いたが、それはさておき、イエローフェンリルに「魔獣・魔人服従魔法」を付与した。


 すると、晴人のユニバースソードから虹色のオーラが広がり、イエローフェンリルを包み込んだ。そして、その虹色のオーラはイエローフェンリルの頭の中に入っていった。すると、イエローフェンリルは、すくっと起き上がった。晴人タイガーとほぼ同じ大きさの体長80m、体高40m程の大きさであった。イエローフェンリルは、すぐさま、また、お座りの格好になった。


「晴人様、晴人様との絆を強固にするために我が名をお決めください。」


「よし、では、『晴人フェンリル』の名を与えよう。」

 すると、晴人と晴人フェンリルの周りに虹色のオーラが出て、グルグルと回り出したのだ。

「晴人さん、ミニッツです。完了しましたよ。」

「そうか、完了したか。」

「はい。」


主様アルジサマ、ご自分のお名前を私に頂き、誠にありがとうございました。この命を晴人様に捧げます。どうぞよろしくお願いします。」


「うむ。こちらこそよろしく頼む。だが、死んではならぬ。これは命令だ。」


「ハハーッ。」


「晴人タイガー、晴人フェンリルよ、3D拡大縮小魔法を使って、お主らの背中の高さが俺の頭の高さになるようにしてくれないか。そのままの大きさでは話しづらいのだ。」


「ハハーッ。」


「グ、グ、グ、グ、グ、グ、グ、グッ。」


「主よ、これでよろしいでしょうか。」

 と晴人タイガーが尋ねた。


「よし、これでいい。では、話をしよう。二匹とも横になれ。」


「ハハーッ。」


「『天』とそなたたちのお父上からどのような話があったのじゃ。」


「はい、では、2匹を代表して晴人タイガーが説明いたします。『天』からは、この惑星『フリースランド』のパルマ・パニーニャ王国に主様が異世界侵略戦争を勧善懲悪するために勇者として転移してくるため、主従関係を結び主に協力せよと命じられました。また、我が父と彰フェンリルの父は、主様のお父上である彰様が我らの父を子どもとして大切に育ててくれたため、その御恩に報いるよう粉骨砕身尽くすように言われました。それが、今日、実現できて大変光栄に存じます。」


「そうか、そうであったか。俺もそなたたちと主従関係の契りが結べたことを光栄に思うぞ。ところが、パルマ・パーニャ王国に転移したところ、俺の力を測定されたのだが、そのあまりのエナジーで大きな水晶玉が割れ、暗君の国王に追い出されてここに来たのだ。」


「それは、とんでもないことです。我々が退治して参りましょうか?」


「いや、よい、よい。あれは誤解なのだ。王妃と第一王女は気付いている。だからシバラくは、そなたたちと一緒に住みたいと思う。それで良いかな。」


「ハハーッ。有難き幸せです。いろいろご案内いたします。」

 と晴人フェンリルが応えてくれた。すると、晴人が

「住みやすい家を出してやろう。この家は、そなたらの父上たちも暮らしていた家なんだ。私の父からの贈り物だ。」

 晴人はそういうと、父、彰たちぼっけもんずの本拠地であったログハウスを次元収納ストレージから洞窟前の広場に出した。突然現れた大きなログハウスに晴人タイガーも晴人フェンリルも目が点になって驚いていた。




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