日々
第36話
「おいユア」
はぁ、なにようかしら。甥っ子ちゃん。仕事中に呼び出しやめてよね。
「おじから。宮本さんへ」
袋に入ってるけどこれ、金でしょ。
「結婚祝い」
「…ありがとうございます」
とりあえず受け取る。
「で、こっちは、盗まれた金」
…え?手提げバックに入ってるけど。
「200万あるぞ」
「…え、私がそんなに盗られてたってこと?」
「そうらしい。ユアは金全然使わないんだな」
「…何に使えばいいか、わからない」
「ナンバーワンのくせに」
「は?なにが?」
「はぁ?お前の売上」
「なにそれ?」
「店で一番稼いでる。知らねーのか」
「知らない」
「…そうか。別にやりたいことあんなら、辞めてもいいから」
「…やりたいこととか、わからない」
「適度にさぼってもいいぞ」
「…は?さぼっていいと思ってるわけ?」
「はぁ?そういう意味じゃねぇよ。お前は働きすぎなんだよ」
なにそのぶっきらぼうなの。
フロアに戻ると住職様が待っていた。
「すみませ〜ん。なんかあの人、最近いちいちうるさくて」
「そうですか」
あ、そういえば…素敵な方が現れる予感とか住職様が前に言ってた。
意味わかんない…って思ってたけど、それってコタローさんのこと?
いや、私からアプローチしたけど。
…ってことは、住職様は適当に言ったってこと?私が間に受けて、コタローさんを意地でも離したくなくなっただけなのかな。
「ユアさん、あなたは真っ直ぐなところが素晴らしいです」
「…?ありがとうございます」
唐突に何の話?
「日々が、楽しくなりましたか?」
「…はい、とっても」
「それはよかった」
噛み合ってるような、噛み合ってないような会話をした。住職様のことやっぱわかんない。
「あー、それで、さっきのお客さんが…」
「はい。聞かせてください」
コタローさんと生活してるけど、相変わらずいつも通りの業務をしている。
おかしい? えいみ @fukuharaeimi
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