第35話
「みやもと、あゆ」
「ほら、ここに出てくるよ!」
しゃべりかけると、スマホより大きい画面に文字が出た。
「宮本の漢字、わかる?」
「わからない…」
「旦那さんに聞いたらわかる?」
「はい」
「これをね、こうやって、大きくしたらわかる?」
「あ!私の名前」
「お!読めてる!私大きい字なら、うずまきにならないんだよ」
「へぇ、そうなんですね」
「旦那さんに連絡はどうしてるのかしら?」
「…できなくて、電話してもらってます」
「なら、設定してもらいましょ!先生〜!スマホの設定してちょーだい」
呼ばれた先生にスマホを手渡す。
「個人情報は漏洩しませんので」
慣れた手つきで、スマホを触る。
「旦那さんはなんと設定されてますか?」
「コタロー」
「漢字ですか?」
「わかりません」
「これかな、宮本虎太郎さん?」
「はい」
「じゃあ、コタローに電話って言えばかかります。話しかけてみて下さい」
いきなりスマホを向けられた。
「コタローに電話」
…え、音がする。かかってる?
「あゆちゃん?」
ええ!
「わ!電話してる!すごい!」
「もしもし?あゆちゃん?」
「電話できた!」
「え!すごい!」
「先生に設定してもらったよ。他にも教えてもらうからね。コタローさんも、協力してほしい」
「もちろん!」
「ちょっと旦那さん、奥さんに優しくね?」
「え。誰すか」
急に声が低くなった。ひゃーやばい!
「あ!えっとみんな私と似てて文字が読めなくて、それで、どうやったら読めるかなって今話してて」
「あゆちゃんの友達?よかった」
「…うん。じゃあ、仕事頑張って」
「はい!」
友達…
「元気な人ね」
「あ、はい…そうです」
「あゆちゃんって呼ばれてるの?」
「そうです」
「いいねぇー若いねー!」
「あの…友達に…なってもらえますか?」
「あら、いいの?」
「嬉しい!あゆちゃんって呼んでいい?」
「あらやだ、ずうずうしくない?」
「…私、友達いないから…」
「まぁ〜!それなら好都合!お茶したりしましょ!」
「連絡先先生に入れてもらっちゃお!」
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