第31話
「え、なに?誰」
「あゆさんの、夫です」
「はぁ!?相当ヤンキーじゃんやば!」
コタローさんは、私の隣に座った。
「彼女の側には俺がいるんで、もう彼女と会わないで下さい」
「え?なんなの」
「じゃあ帰りましょうか」
手を引かれた。
「え…待って…お、お金」
驚きすぎて声がなかなか出ない。
「何を注文した?」
「…きみこのだけ」
「じゃあ帰ります」
「ちょ、ちょっと!私を置いてくの?それ、最低じゃないの?」
どうしたらいいんだろ…
「ちょっと!あんた!こいつ字が読めないし、書けないしバカだよ?知ってんの?」
だけど、コタローさんに手を引かれたから、そのまますーっと、立ち去った。きみこはずっと大声出してたけど、コタローさんは反論しなかった。
「あゆちゃん、家で待ってたら兄貴が連絡くれて」
しばらく歩いたあと、話し始めた。
「兄貴?」
「あゆちゃんが、友達に俺のこと紹介してくれるって話をしてたんだけど、なんか、見張ってたみたいで」
「え」
「ごめんね。あゆちゃんが俺の事ヤクザだったって話さないか心配したみたいで」
「あ、そうなの…」
「それで…恐喝されてるみたいだって連絡があって。…あの子とこれからもいたい?」
「…ううん」
「なら、もう会うのはやめよう」
「…でも、…今までお世話に…」
「本当に?」
手を繋いで歩きながら考える。きみこは、なにをしてくれた?
保健室登校の私に話しかけてくれた。
スマホの契約書を書いてくれた。
家の契約書は、…あれは大家さんだ。スマホの登録…使い方も、大家さんだ。
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